スライ・ストーン死去(享年82歳) ファンク、ロック、ソウルを融合させたファミリー・ストーンの創設者

スライ・ストーン 1973年撮影(Pohto by MICHAEL PUTLAND/GETTY IMAGES)

1960年代後半から70年代初頭にかけて、ロック、ポップ、ファンク、ソウルのジャンルの垣根を打ち破った最も影響力ある音楽家のひとり、スライ・ストーンが現地時間9日(月)に死去した。享年82歳。家族によると、死因は「COPD(慢性閉塞性肺疾患)と他の基礎疾患による長期にわたる闘病」と発表された。

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スライの家族は声明で次のように述べた。「愛する父、スライ・ストーンの死去を深い悲しみとともにお知らせします。スライは、3人の子どもたち、最も親しい友人、そして拡大家族に囲まれ、安らかに息を引き取りました。彼の不在を悼む一方で、その比類なき音楽的遺産がこれからの世代にも鳴り響き、インスピレーションを与え続けてくれることを慰めとしています」

さらに家族は、スライが「最近、自伝映画の脚本を完成させた」とも明かし、「このプロジェクトを然るべき時に世に届けることを楽しみにしています」と語った。

自身のバンド、スライ&ザ・ファミリー・ストーンは1966年から67年にかけて結成された。実際に“ファミリー”的な構成で、兄妹のローズとフレディに加え、いとこのグレッグ・エリコとジェリー・マルティーニ、ラリー・グラハム(ベース)、シンシア・ロビンソン(トランペット)といった面々が参加。1968年の「Dance to the Music」でブレイクを果たし、男女混成・人種混成のバンドがロックとソウルを融合して演奏するという当時としては稀有な存在となった。

その後、「Life」「Stand!」「Everyday People」「Hot Fun in the Summertime」といった連帯と希望を歌うアンセムが続々とヒットし、1969年のウッドストックで披露された「I Want to Take You Higher」のパフォーマンスは伝説となった。同年の大ヒット「Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)」は、陽気なファンクの裏に不安と皮肉が潜んでいた。

from Rolling Stone US

Translated by Rolling Stone Japan

史上最高のベーシスト50選

左からブーツィー・コリンズ、フリー、エスペランサ・スポルディング(Photographs used in illustration by AP/Shutterstock; Joseph Okpako/WireImage; Elaine Thompson/AP/Shutterstock)

ファンクマスターからプログレの神童、スラップ奏法の達人から超一流のセッションミュージシャンまで。ローエンドとは何たるかを体現してきた史上最高のベーシスト50人をカウントダウン形式で紹介。

「ベースこそが土台なの」数々の名演を残した伝説的セッションミュージシャン、キャロル・ケイはかつてそう語った。「ベーシストはドラマーと一心同体となってビートを生み出す。彼らの演奏は音楽を支える枠組みになる」

ポール・マッカートニーによるヒプノティックな「カム・トゥゲザー」のリフ、ジェームス・ブラウンの「セックス・マシーン」におけるブーツィー・コリンズの狡猾なバンプ、あるいはトーキング・ヘッズのティナ・ウェイマスが「サイコ・キラー」で刻むミニマルなパターンまで、優れたベースラインはまるで呪文だ。永遠に鳴り止むことがないかのように感じられるそのフレーズは、聴けば聴くほどに豊かさを増していく。ギタリスト/シンガーや管楽器奏者がスポットライトを浴び、ドラマーが溢れんばかりのエネルギーを全身で表現するのに対し、ベーシストは曲が終わった後も頭の中で延々と鳴り続けるような、楽曲における根本的な何かを生み出す。

ベーシストは然るべき評価を得られないことも多く、バンド内でさえ過小評価されることもある。「一番人気のあるパートではなかった」スチュアート・サトクリフ脱退後にベーシストとしてビートルズに加入したときのことについて、ポール・マッカートニーはそう語っている。「誰もベースはやりたがらなかった。みんな目立とうとしてたからね」

ポピュラー音楽に不可欠なベースという楽器は独自の歴史を築き上げてきた。デューク・エリントンのオーケストラでアップライトベースを弾いたジミー・ブラントン、ビバップのパイオニアたるオスカー・ペティフォード、ジャズ界の巨人チャールズ・ミンガスやロン・カーター。あるいは、セッションミュージシャンとして無数の名演を残したキャロル・ケイやジェームス・ジェマーソン。ロックの闘士ことクリームのジャック・ブルースやザ・フーのジョン・ウェントウィッスル。ファンクの達人ブーツィー・コリンズやスライ&ザ・ファミリー・ストーンのラリー・グラハム。プログレの神童たるイエスのクリス・スクワイアやラッシュのゲディ・リー。フュージョンの代名詞となったスタンリー・クラークやジャコ・パストリアス。パンク/ポストパンクを極めたティナ・ウェイマスやミニットメンのマイク・ワットまで、歴史に名を残すベーシストの枚挙には暇がない。オルタナロック全盛の時代には、直感的なプレイでソニック・ユースの核を成したキム・ゴードンや、プライマスで超絶テクニックを見せつけたレス・クレイプールが登場した。より最近では、エスペランサ・スポルディングやサンダーキャットがローエンドを基調とする音楽的世界観を確立してみせた。

【ランキング一覧】ローリングストーン誌が選ぶ、史上最高のベーシスト50選

ここでは本誌が発表した「史上最高のドラマー100選」と同様に、あらゆる時代やスタイルを選出対象としている。本企画は単にテクニックの優れたプレイヤーを讃えるのではなく、「偉大な」ベーシストの基準を定めようとするものでもない。ここで選出されているのは、ロックやファンク、カントリー、R&B、ディスコ、ヒップホップ等、半世紀に及ぶ歴史の中で誕生した(ケイの言葉を借りるならば)ポピュラー音楽の土台の構築に貢献したベーシストたちだ。超絶技巧で知られるテクニシャンもいれば、ミニマルなコンセプトによってバンドの音楽性を支えたプレイヤーも登場している。

「手に取り、ネックの上で指を滑らせ、感触を確かめるんだ」レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーは以前、ベースの魅力についてこう語っている。「スラップしたり引っ張ったり、弾いたり叩いたりするうちに、自分が魔法にかかったように思えてくる。運が良ければあらゆる思考から解放され、自分自身がコードとスピーカーを通じて伝わってくるリズムの媒体となって、神から与えられたベースという楽器と一体化できるんだ」

ベースという楽器の魅力の虜となり、音楽史に大きな足跡を残したベーシスト50人を以下で紹介する。

Translated by Masaaki Yoshida

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