空気供給再開を忘れALSの入院患者死亡 大分の看護師に禁錮1年を求刑

大分市の病院で令和5年、人工呼吸器の空気供給再開を怠り、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の入院患者を死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた看護師、加藤文枝被告(53)の公判が9日、大分地裁(辛島靖崇裁判長)であり、検察側は禁錮1年を求刑した。弁護側は執行猶予付き判決を求め、結審した。判決は来月15日。

検察側は論告で、過去に2度同様の過失を起こした際、自らの対策として「呼吸器を中止せずに加湿の水を入れる」などと報告していた上、加温加湿器の水補充時に呼吸器の空気供給を止めずに作業できると認識していたと指摘。病院の体制不備や指導不足によるものではなく、被告の不注意が原因だと述べた。

弁護側は最終弁論で、加温加湿器の水補充時に、空気供給を止めてはいけないという指導はなかったなどと主張した。

起訴状によると、5年3月4日、自発呼吸が困難な女性=当時(85)=の人工呼吸器にたまった水の除去作業をしていた際、空気供給を再開しなかった過失により、急性呼吸不全で死亡させたとしている。

会員限定記事

会員サービス詳細