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【現役MBB社員作成】戦コン内定のための全て

2024年12月

はじめまして!ハイクラス向け転職エージェントPrism代表の野条です。

こちら1年前に匿名で書いた記事なのですが、ありがたいことに600スキを超え、戦コン内定した読者様から直接 Xのdmにて感謝の言葉を頂戴するなどしていました。

今回、新卒で入社したBainを卒業し、人材紹介事業で独立したので、こちらの記事も実名で公開することにしました。

新卒・中途問わず、コンサルティングファームを志望される方々の選考対策に少しでも役立てられれば幸いです!

(弊社HP↓)

(弊社note↓)

(私のXアカウント↓)

https://x.com/d_nojo_?s=21


p.s.
愛猫を飼い始めてからもちょうど1年経ちました✨

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キャットフードで作った誕生ケーキ





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(以下2023年12月に執筆)

戦略コンサルを目指す全ての人にぜひ読んでほしい記事を書きました。

【私について】

普段は、MBBのジュニアとして働きながら、Xの猛者の皆様から日々お勉強させていただいております。

また、内定者時代には、大学の後輩を中心に数名にケース面接対策指導をし、全員が戦略コンサルからオファーを獲得しました。

長くコンサルワークをする意志は今のところはなく、起業家志望です。



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです!




※本記事はあくまで筆者個人の見解であり、特定のファームの採用基準を反映したものではありません。(筆者は2023年の9月に入社したばかりであり、本記事執筆時点の2023年12月時点で、採用メンバーにアサインされた経験もなければ採用基準も知りません)


尚、これより先は、読解コストを下げるために敬体ではなく常体で書きます



0. このnoteのバリュー、目的



他人から学んだだけにすぎない真理は、我々に付着しているだけで、義手義足、入歯や蝋の鼻か、あるいはせいぜい他の肉を利用して整形鼻術がつくった鼻のようなものにすぎない。

が、自分で考えた結果獲得した真理は生きた手足のようなもので、それだけが真に我々のものである。

ショーペンハウアー著「読書について」


↑は、僕が本noteにて最も強調したいことであり、座右の銘の1つでもある。

思考の能動性、答えの暗記で終わらず深部にある本質を探ろうとする思考態度、飽くなき探求心

これらが何よりも重要であり、このnoteはあなたの思索を助けるツールでしかない。

具体的にどう助けるか?

このnoteの至上目的
=「戦略コンサルからオファーを勝ち取ること」を目的とする人間のインプットにおいて、世にある全ての書籍を副読本化すること

つまり、このnoteと市販されている書籍を合わせることで、戦コン対策におけるインプットを完成させる手助けをしたい。

実際に取るべき行動としては、

インプット(このnoteと書籍)
→アウトプット(インプット内容の要約、模擬ケース/ジョブ、日常の思索)
→インプット(このnoteと書籍)

このサイクルを回すことを推奨するが、3:7くらいの比率でアウトプットの方が重要である。

それを理解した上でインプットに役立ててほしい。

では、解説していく。

(要点を絞ったつもりだが、2万字を超えてしまったので、ゆっくり読み砕いていただけるとありがたい。)


1. 戦コン受験者のレベル3段階



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戦コン受験者を3層に分解した


まず、上図の通り受験者を三段階のレベルに分類する。

存在割合としては、レベル3が1%、レベル2が4%、レベル1が95%といったイメージだ。

これはざっくり要諦を押さえた分類である。

例えば、Tier1ファームの選考ではレベル2「ジョブ参加者」と評価される人も、Tier3ファームの選考ではレベル3と評価され、「内定者」になったりするし、

”MBB内定者の中でも”問題解決力の高さにはかなりバラつきがある。(当たり前だが)

また、レベル1が具体的にどのような状態か?についてはこちら↓の記事が非常にわかりやすい。


こちらの記事でTAさんも述べている通り、レベル1の対策廚っぽいアウトプットは、戦コンの面接官には通用しないことが多い。


有名なフレームワークや因数分解を思考停止で当てはめたのか?
あるいは、自分の頭で深く考えたのか?は、

「具体的には?」
「なぜそれで顧客に選ばれるのですか?(ニーズがあるか、競合に勝てるか)」
「その主張が正しいと言える論拠はなんですか?蓋然性はどのくらいだと思っていますか?」
「それで全体をおさえられているとする論拠は何ですか?どんな構造が他に考えられますか?」


等の質問を投げかければすぐわかる。


この記事では、まずさっさとレベル1を脱しレベル2へ到達する方法、さらにはじっくり時間をかけてレベル3へ到達する方法と、分けて説明する。


また、レベル0(←WEBテ落ちる、フェルミできない、3Cも4Pも知らない)からレベル1になるには、ググって出てくる情報だけで充分だ。


2. レベル2への到達法


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レベル2を改めて定義すると、

ケース面接を通過できるがジョブで落ちる状態、

つまり、本質的な問題解決力は内定レベルではないが、内定者の筋の良い解答例を転用できる状態

である。

別の言い方をすれば、

30分程の短時間であるケース面接という”ゲーム”においては、まるで内定レベルであるかのように見せられる状態

を指す。

実際にジョブに行くと、ジョブ参加者のうち5人中3~4人くらいはレベル2であると分かるだろう。

過去問を使った具体例で解説する。

例えば、「エアコンの売上向上施策を考えよ」と、ケース面接で出題された時に、ある内定者は、以下のように回答する。

結論、地方自治体や町内会を通した特別割引オファーを高齢者向けに出すべきだと思います。

論拠及び背景について話します。

エアコンは、①メーカーごとに製品の差がほとんど無いコモディティ商品である②浸透率が既に非常に高い③買替年数が10年程度と長い、と3つの重要な特徴を持っていることから

売上向上のためには、製品戦略より販売戦略が重要で、販売戦略においては、例えばテレビCMをマス向けに打っても視聴者のほとんどは買替がまだまだ先なので、広告が届いた直後に買替行動を取る確率が高い顧客セグメントを特定し、ダイレクトマーケティングを行うのが費用対効果が高いと考えました。

その顧客セグメントとして、地方に住む高齢者が好ましいと考えました。
理由を話します。まず、「まだ使えるから」「なんとなく」という背景から、耐用年数を超えて使用している割合が高いのではないかと思われます。
また、熱中症への危険性が高いこと、高額な商品を買うにあたり貯金額が高いことから、購買行動を起こしやすいと思います。
ただ、売上向上インパクトの大きさが懸念なので、思考時間が追加されたら簡単に試算してみたいと思います。

この施策でちゃんと売上向上するの?

と思った人もいるだろうが、ケース面接は施策のクオリティではなく「思考過程」が評価の対象なので、

実際のコンサルpjでこの施策が提言になることはまずないだろうが、ケース面接ならこれでいい。

この回答を数分で考えられる実力なら、ディスカッションもやれるので、まず通過する。

(というか、3分でエアコンの売上向上施策考えろって言われて企業がまだやってないけどやるべき施策が出てくるとは流石に期待してない。もし出てきたら「日立もダイキンも経営陣は何してんねん」って話になる)


ケース面接は形式上は超短縮したコンサル実務だが、実態としては、実務やジョブ選考とはまた別物の思考ゲームだと僕は思っている。

実際、「ケースの通過率は悪魔的に高いがジョブで全然勝てない就活生」と、その逆が一定数存在する。


通過する具体的な回答例を示したので、次に、「では、どうすればこれを作れるようになるか?」を説明する。

結論、それが冒頭で示した「筋の良い解答例を転用できる状態」である。

先ほどのエアコンの問題を解き、玄人に教わった経験があれば、①コモディティ化が非常に進んでいる②浸透率が既に非常に高い③買替頻度が低いという特徴を持つ商品

具体的には、冷蔵庫、スーツケース、オフィスプリンタetcがケース面接で出題された時に、

今回のエアコンの回答例の上流のロジック(=セグメントを高齢者と特定するところまで)を転用できるだろう。

あるいは、家電に限った話だが、

コモディティ化が進んでおりハードウェアで差はつきにくい。なので、

ソフトウェア開発
(ex. XXで時短ができるIoT家電)
ペルソナが明確な尖ったデザイン考案(ex. ダイソンやAppleの製品)
既にあるブランドイメージを横展開(ex. Panasonicの美容家電)

のどれかで差別化する。

といった方向性もありえる。

こういった示唆を、様々な出題タイプ別に蓄積し、半固定的にうまく組み合わせてアウトプットを作れる状態こそが

レベル2:ケース面接を通過できるがジョブで落ちる状態

である。


これは、ある程度型化された思考ではあるが、半固定的であり、目の前のケーステーマに適合したアウトプットが出てくるので、レベル1の対策廚とは明確に異なる。

そして、ケース面接は「数分で思考して数十分ディスカッションする」という特殊な設計であり、本質的には実務とは乖離したある種の"思考ゲーム"なので、

経営学の古典的名著や実際のコンサルティングファームの最終報告書を読んで勉強しても、パフォーマンスは向上しにくい。

そうではなく、優れたアイデアや論展開のパターンを蓄積していき、面接官との議論で即座に取り出せる状態を目指すべきだ。

なので、1. 自分でケースをたくさん解いて作る 2. 上位内定者や社員から盗む、のどちらかのアプローチが有効だ。

ただ、2. の質には注意してほしい。

具体例で説明する。例えば、

👨‍💼「A社の属す××市場は縮小傾向にあるので、成長市場であるyy市場を狙うべきです」

という論展開は、コンサル就活生がケース面接で頻繁に言うセリフだが、

明確な間違いであることが多い。

例えば、「じりじりと縮小するトレンドにありいくつかの企業が潰れていた米国コーヒーショップ市場に後発で参入して大成功したスターバックス」が反例だし、

出題実績のあるブライダル事業の問題においても

少子化と未婚率上昇がすぐに市場縮小要因として浮かぶが、

着実に成長しているブライダル事業の会社はググればバンバン見つかる。

そもそもブライダルはかなりフラグメントな市場かつ地域性も大きいので、緩やかに市場がシュリンクしても個社の売上は2倍3倍に現実的になりうる。

要は、市場縮小=撤退は浅すぎるのだ。

これをスルーしてFBとして指摘できない内定者メンターがけっこう多い。


なので、最後に頼れるのは自分だけであり、たとえ相手がアインシュタインであっても鵜呑みにしない姿勢が大事だ。

また、選抜コミュニティのメンターは7割程度が上記を指摘できない浅い思考の持ち主なので、頼るならココナラやXで元社員(1回1万円が相場)を探した方が結局"コスパ"はいいと思う。

大学受験と違って就活にはお金をかける習慣が世間的に無いからか、できるだけお金をかけずに内定したいと強めに思っている就活生が多いが、ROIという概念をちゃんと知っていれば、四則演算ができれば、

数十万円程度の投資で戦コン内定確率が数%上がる投資は明らかにROI◎だ。

かつ、これが副業や株式投資のような可逆性のある投資なら挽回が可能だが、今後一生肩書きとして付き纏うファーストキャリアを決めるチャンスは一度きりである。

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以上が、レベル2 : ケース面接を通過できるがジョブで落ちる状態、への到達法についての解説だ。

次章では、レベル3:本質的な問題解決力が高い状態、への到達法について解説していく。


当然、こちらの方が重要だ。


3.レベル3への到達法

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以下の三段階で本質的な問題解決力を伸ばしていく。

1.「What is 戦略コンサル?」を”正しく”理解する

2. コンサル式の問題解決フレームをインプット

3. インプットしたフレームをアウトプット(←本記事は対象外)


レベル2への到達は再現性が高いかつ、比較的少ない投下時間(30時間くらい?)で可能な一方、レベル3は本質的なので時間がかかる。

かつ、大学受験の数学やテニスの競技力のようなもので、1次関数的に一定のペースで伸びるというよりは、最初の成長角度は低く、学習したものが脳内で有機的に繋がり始めた段階から急に伸びていく指数関数的なものである。

新卒戦コン内定への道は、レベル3に到達するかレベル2でジョブに参加しまくってラッキーパンチを放つかの2択だ。

もちろん僕はレベル3への到達を強く推奨する。


3-1. 「What is 戦略コンサル?」を”正しく”理解する


ほとんどの就活生はなんとなくふわっとしか戦略コンサルを理解していないし、僕もオファーを貰った頃はそうだった。

ただ、ここの理解は早ければ早いほど良いので、就活生の今、この記事に偶然たどり着いたあなたはラッキーだと思う。

コンサルティングファームがクライアントから何を期待されているのか?

への解像度が高ければ、

その期待されているものを届けるために必要な人材はどんな人材?

への解像度も高くなり、目指すべき方向性が明瞭になる。



では、

コンサルティングファームがクライアントから何を期待されているのか?

について解説していく。



結論、こちら↑の中林さんの質問回答が非常に本質を突いているように思う。

ヘッジファンドの経営者で不確実性の研究者で、「ブラックスワン」等の著者として有名なタレブ氏も、著書の中でコンサルのことを「企業官僚」と表現している。
(米国Amazon本社の幹部は、課題図書としてブラックスワンを読むことを義務付けられているらしい)


要は、経営の3要素の内、サイエンス(=経営理論×秀才の稼働)を外注することである。

経営の3要素について
アート(直感)、サイエンス(分析)、クラフト(経験)の3つが会社を成長させるために必要である、という有名な理論。
(北野唯我さん著「天才を殺す凡人」という本がこれを明瞭に解説しているので、ぜひ読んでいただきたい。)


アートについては、例えば、iPhoneという別に最先端ではない要素技術をかき集めて哲学的なビジョンを具現化したプロダクトや、

見知らぬ他人に自分の家の空き部屋をホテル代わりに貸してしまうエアビー、のような破壊的なイノベーションを指す。

これを戦略コンサルティングファームが起こすのは、期待されていないしそもそも不可能である。

クラフトについては、実は、世界初の戦略コンサルティングファーム、つまりマッキンゼーが誕生するまでは、むしろコンサル=クラフトを提供する会社であった。

いわゆるグレイヘアコンサルと呼ばれるもので、ある業界に長年いたシニアが、その業界の会社に経営アドバイスをするというコンサルティングサービスだ。(ADLは元々はグレイヘアコンサル)

そして、戦略コンサルが提供する「サイエンス」とは、具体的には、

・ふわっとした経営課題を明文化、定量化、整理し、議論、意思決定するために役立てる
-ex 1) 事業ポートフォリオをPPMマトリクスに整理し、再編の意思決定に活かす
-ex 2) 進出すべきか検討している新地域を、Market Attractiveness/Ability to winマトリクスに整理し、意思決定に活かす
-ex 3) GEの経営指標重視型マネジメント、P&Gの定量分析をコアにしたマーケティングなど、定量アプローチにおけるエクセレントカンパニーの手法を、クライアント企業にうまく当てはまるようにテーラーメイドで作る

・無駄を特定し、省き、コストカットを実現する
-ex) phase1 診断:ずさんな管理の財務Excelを解読し、見通しの良い軸で切って再整理し削減余地を特定する phase2 施策:利益率が高い同業他社、ビジネスモデルが似ている異業種他社、社内の優等生部署のベストプラクティスを調査、導入し実際にコスト削減する

・ある会社を買収すべきか?を判断する
-ex) その会社の属す市場の成長性・安定性があるか?、その会社がシェアを保てるか?、シナジーはどの程度あるか?をBDDの型にはめて分析する


等である。

これらは、秀才(IQ130前後)が強い。

IQが140以上の天才になってくると、前頭葉が刺激に過敏になって、対人関係や長時間労働へのストレス耐性が下がるので、適性が低い。(戦コンにIQ140以上がいないとは言っていない。あくまで傾向の話。)

平均IQが125程度であるとされる東大生の中で上位2割くらいのIQの人が戦コンからオファーをもらっていると言われると、体感的にしっくりくる。(""東大生の上位2割""。内部生以外の早慶生や非東大の国立大生ならば超対策してやっと追いつけるゲーム、である可能性が高い)

東大の上位1%である最上位層は戦コンではなく研究方面に行っている印象が強い。実際、戦コンの中でスターである大前研一氏も安宅和人氏も博士課程だ。

これは、ジェフ・ベゾスが、大学の同期が賢すぎて物理学者になるのを諦めてビジネスの世界に進んだのと似ている。(勿論、戦略コンサルタントよりベゾスのほうが何倍も優秀で稀有であるが。)


結論を繰り返すと、戦略コンサルが出しているバリューはサイエンス(=経営理論×秀才の稼働)であり、


選考では、秀才であることを示すのが重要である。


そして、秀才度=問題解決力の高さ、勤勉さ、GRITと言い換えても過言ではない。
(天才度=創造性の高さ)


次章以降で、問題解決力を高めていく方法論を解説していく。

【コラム】「官僚≒戦コン」という主張の補足、時代の変化

先ほどから繰り返し述べている官僚≒戦コンという主張に対する補足をする。

最初に引用した中林さんの質問回答や僕が具体化して説明した戦コンのバリューとは少し違った切り口で説明する。

それは、東大生のトップ層が、昔は官僚に行き、今は戦コンに行っている原因が、国が主役の時代から企業が主役の時代へ変化したことではないか?ということだ。

まず、今も50年前も、東大生の性質は変わらない。入試システムが変わってないからだ。

繰り返しになるが、その性質とは、秀才性であり、

秀才性の高い人材が長時間労働するのが官僚と戦コンの共通点だ。

変わったのは新卒就職の環境だ。

給与の高さ、昇進の速さ、持てる社会的影響力の大きさ等から、官僚より戦コンの方が人気になった。

それは、経済をトップダウンで司る役割を担う主体が国ではなく大企業になったからだ。

そしてこれは、大前研一の予言通りである。

世界最高クラスのコンサルタントだった彼が、まさにその時代の境目で仕事をしていたと言える。

⇩スティーブ・ジョブズと大前研一の対談動画。2:14〜をぜひ視聴してほしい。





では、本論に戻り、問題解決力を高めていく方法論を解説していく。



3-2. コンサル式の問題解決フレームをインプット


大前提、全てを完全に理解できるならば、大前研一の企業参謀を読めばいい。

あれより優れたものを僕が書けるなんて1ミクロンも思っていない。

ただ、あれらは、実務を前提として書かれたものであり、選考対策を前提としていないため、

それらを理解し、選考に活かすのはけっこう困難だし効率が悪い。


なので、僕が選考対策を前提として書く。

それがこの章のバリューだ。




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コンサル式問題解決の全体像
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(下層2段目について)アクションベースの時系列整理


まず、ブロックを積み上げたような上図を見てほしい。

これは、僕がオリジナルで作成した「コンサル式問題解決力の全体像」だ。

下にあるものほど普遍性・汎用性が高く、人間の土台となる能力である。

これらは完全な上下関係にあり、IQと教養が弱い状態でイシュー/ロジ/クリを鍛えても全く意味が無いし、

イシュー/ロジ/クリが弱い状態で経営理論及びハードスキルを鍛えても全く意味が無い。

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つまりこういうこと



では、選考対策として鍛えるべきブロックはどれか?

まず、IQは不可変だし、教養は養成にものすごく時間がかかる(選考の日がdeadlineという前提においては、これまでの人生で既に確定している)

逆に、浅い層に位置する経営理論とハードスキルは、誰でも習得可能な再現性が高いものであり、選考では全く重視されていない。


故に、下から2層目の「イシュードリブン、ロジカルシンキング、クリティカルシンキングの3つをいかに向上できるか?」が戦コン選考対策のセンターピンになる。



僕自身、イシュードリブン、ロジカルシンキング、クリティカルシンキングの3つは、就活生の時に大きく高めた実感がある。

就活生だった大学3年生の頃の僕は、論点という言葉の意味を知らなかったし、ロジックツリーとイシューツリーを全く同義のものだと思っていた。

構造化の速度も精度も、言語化能力も、あらゆる能力が今より圧倒的に低かった。

では、それらの能力をどうやって高めてきたかと言うと、

インプット
→多読と思索を経て得た体系的な理解
アウトプット

→良質なFBがもらえる環境での実践

の両輪で高めてきた。

冒頭部の繰り返しになるが、あなたの体系的な理解をサポートすることが本記事の目的である。


<目次>
1. イシュードリブン
2. ロジカルシンキング
3. クリティカルシンキング
4. 経営理論


3-2-1. イシュードリブン

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まず、イシュードリブンに関する重要な言葉の定義を明確化する。

これは、ググっても出てこない。(というか、ググって上位表示されるものは、解像度が低い人が書いたとしか思えない。)

論点:何かしらの意思決定を伴う問題を解くために分解されたその問題よりも小さな"問い"

仮説:ある論点に対する"仮の答え"で、それは何かしらの論拠に支えられている(=ただの「予想」ではない)

イシュー:論点の中で、特にイシュー度(=解けた時のインパクトと解ける可能性)が高い"問い"
※上記定義ではなく論点=イシューとして全く同じ語義で使っているコンサルタントもいるので、擦り合わせが必要

論点思考:問題解決にあたり、論点を分解し、分解した論点に優先順位を付ける”思考スタイル"

仮説思考:論点に対して答えを出すにあたり、情報収集をする前に、まず仮の答えと論拠を作り、情報収集はその仮の答えが正しいか否かを検証するために行う"思考スタイル"

イシュードリブン:論点思考と仮説思考の両輪を回す”思考スタイル"


この定義は、初めて聞いてもイマイチはっきりしないと思うが、非常に重要なので、適宜読み返して理解度を高めてほしい。

上記定義を踏まえ、レベル2の時と同様、イシュードリブンの具体例で解説をしていく。

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実務で書くホワイトボードのイメージ


上図を見てほしい。

これは、「XX市場に属す△△社を買収すべきか?」というBDDをイメージして作った。

ジョブ選考やコンサル実務のディスカッションの時にホワイトボードに書く内容イメージだ。

(余談だが、この論点はBDDの中でもPEファンドがクライアントの場合を前提としている。「事業会社がクライアントの場合はどうなるか?」はぜひ自分で考えてみてほしい。)

コンサルの問題解決は、「まず論点を整理し、初期仮説を出し、それらを検証する過程で仮説と論点が進化する」という一連のサイクルを高速で回す。

僕がジョブに参加した時はそんなこと知らなかったので、真ん中の仮説だけホワイトボードに書いてディスカッションをする、というのを素でやっていた。

だが、知ってるならば、論点と検証アプローチの方も明文化し、上図のようなマトリクスに整理してやったほうが良い。


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ホワイトボードの論点の部分をツリーにしたもの


また、この事例を使って、イシューツリーについても解説したい。

最初に提示したホワイドボードの左側にあるやつをツリーっぽくビジュアライズしたものが上図だ。

全ての論点が疑問系で文末に?があることに注目してほしい。

先述した通り、論点は問いなので、必ず疑問系である。

就活生がよくやる誤用は「市場という論点について検討したいんですけど、」みたいな発言だ。

市場は論点ではなく領域だ。

「〇〇市場に参入すべきか?」などの問いになってはじめて論点と言える。

さらに言えば、これはトーキョーハーバーさんの書籍の引用だが、論点の文末は常に「~すべきか?」と"べき"を入れた方が良い。

なぜなら、論点は最終的には行動を決めるためのものであり、行動まで結びつかなければ財務インパクトはゼロだからである。

私は全ての論点に「べき」を入れているわけではないが、最上位論点が何かしらの"意思決定"を伴うものであるよう徹底することで部分的に実践しているつもりだ。

ちなみに、僕が就活生の時は、ロジックツリーイシューツリーを混同していたが、これらは明確に異なる。

また、アサーションツリー(←要は構造化)というものも重要なので、ついでにここで明確化する。

(※アサーションツリーは、イシュードリブンではなくロジカルシンキングに属す)


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ロジックツリー(要素分解)


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ロジックツリー(Why/What/How)


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アサーションツリー


上図の通りだ。

つまり、以下の整理となる。

ロジックツリー
=分解した何かしらの事象を階層ごとにグループ分けしたもの

イシューツリー
=問題を解決するために分解した大論点、その大論点を解くために分解した中論点、小論点を階層構造に整理したもの

アサーションツリー
=イシューツリーの各論点に対する答えを同じく階層構造に整理したもの

ロジック(論理)という単語の語義は「言葉と言葉の関係性」なので、ロジックツリーは広義な概念であり、イシューツリーとアサーションツリーはロジックツリーに包含されていると言える。


アサーションツリーはWhy?ツリーの一つだ。(=アサーションと論拠の関係は細かく分解すれば帰納か演繹以外に無い)

ただ、「結果と原因のWhy」と「主張と論拠のWhy」は、同じくWhy?の関係に分類されてはいるが全く異なるものであり、アサーションツリーは、後者の主張と論拠の関係を指す。

この2つの混同は本当によく見る。主張をしたいのか、事象の分析結果を述べたいのか、明瞭に分けるべきである。


イシューツリーは、イメージとしては、ロジックツリーの進化版と捉えて差し支えない。

「イシューから始めよ」で有名な安宅和人さんもブログ記事で下記の通り述べている。

これは「イシューアナリシス」と呼ばれるコンサルティング現場では秘宝のように鍵とされている方法論で、体系的にトレーニングをしても、実際には日々の実践で身につける以外の方法はない。

基礎レベルであっても身に付くのはそれなりの時間がかかるし、その課題についてのセンスがあるほど、そして経験を積むほど、レベルが上がる。その書いてあるものを見ただけで、老練な人ならすぐにproblem solverとしての質が分かるぐらいの大切なものでもある。

ちなみにこの辺りはコンサルティングをドロップアウトしたような人の本には、説明しても分からないと思うためか、うまく説明できないと思っているせいか、あるいは極意すぎて書きたくないと思うせいか、ロジックツリー以上のことは殆ど書いてない。

圧倒的に生産性の高い人(サイエンティスト)の研究スタイル(https://kaz-ataka.hatenablog.com/entry/20081018/1224287687)



ここまでがコンセプチュアルなイシュードリブンの解説だ。


この後は、このnoteの内容を念頭に置きつつ、イシューから始めよ等の書籍を副読本として繰り返し繰り返し読み込んでほしい。

ただ、インプットにかける労力が10だとしたら、アウトプットには1000の労力をかけてほしいと思うくらいには、アウトプットをしないとイシュードリブンができるようには絶対にならない。

読んでたらとても簡単に見えるが、実際に自分でやるとなるとマジでできない。(というか僕もできない)


論点の分解が特にできない。(仮説思考もできない就活生が大半であるが、論点の分解はMBB内定者でもあんま出来てないことが多い)

具体的にどう出来てないかと言うと、

①論点に対して仮説が具体的すぎる(つまり、論点を分解してない)
②分解しているものの、分解軸が教科書的すぎて機能してない

だいたいこの2つのどちらかだ。

これはコンサルタントの中核的な能力なので、質の高いFBをもらう環境を就活生の時点で買ってしまうのはかなり賢いと思う。

成長には複利が利くので、投資が早ければ早いほど雪だるま式にリターンが大きくなるからだ。

ちなみに、僕が就活生の時は、Prismの共同創業者の郷中にお金を払ってケース指導をしてもらっていた。

彼は、学生時代に英語ディベート日本一を経験しており、彼が所属していた19卒の慶應ディベート部は、15人程度の部員数の中で7人が戦コンを受験し、そのうち6人が外資戦コンに内定したらしい。

なので、彼の指導にはディベートの型(論点/仮説思考そのもの)が根底にあり、周りの就活生がパターン暗記に走ってしまうことが少なくない中、本質的な対策ができていたように思う。


【イシュードリブンに関する書籍紹介】

推薦書籍について話す。
ここで書評まですると冗長になるので、紹介にとどめる。

まず、元BCGの内田さんが執筆された、論点思考/仮説思考は、王道の対策本だが、個人的にはそれほど良い内容だとは思わない。

どちらも大衆向けに”あえて”浅く分かりやすく書かれていると感じる。
(内田さんがBCG時代にクライアントにデリバリーしていたアウトプットはとんでもなく高クオリティだったに違いない。大衆と経営層では前提が全く異なるので、評価されるコンテンツも全く別物になる)

他も含め、推薦書籍をおすすめ度が高い順に並べた。
時間の許す限り熟読してほしい。

【推薦書籍】

・「図解」問題解決入門: 問題の見つけ方と手の打ち方
・イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」
・戦略「脳」を鍛える―BCG流 戦略発想の技術
・ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム
・アナロジー思考
・戦略思考コンプリートブック


【推薦動画】

アナロジー思考の本質を楽しく学べる神動画↓



森岡さんのUSJのやつ(バチイケのイシュードリブン)をより客観的に解説した神動画↓


Column 「仮説」という言葉の厳密な定義

先ほど、仮説という言葉の定義を「ある論点に対する仮の答え」としたが、これは厳密には異なる。

イシュードリブンという概念をまず掴んでいただくために敢えてそう定義した。

実際は、「仮説=答え」では必ずしもない。問題解決の過程においては、様々な「仮説」がある。

仮説
ー現状についての仮説
ー原因についての仮説
ー論点についての仮説
ー答えについての仮説
ー論拠についての仮説

上記を踏まえて「仮説」を再定義すると、

仮説とは、「なんらかの事象に対する一定の論拠に支えられた初期的見解」のことである。

つまり、かなり広い概念なのである。

また、仮説は"アウトプットそのもの"ではなく、アウトプットに早く至るための”道具”なので、道具としての使い勝手が最重要である。

そのためには、”精度”(正解への近さ)よりも”具体度(解像度)”を追求して仮説を立てた方が良い。

外れる=筋が悪い、と潜在意識で思ってスタンスが取れなくなり、ふわったとした粒度にとどめたくなる状態、が現役社員の中でも仮説思考が弱い人にあるあるの課題らしい。

と、抽象的なことをツラツラ書いたが、別に理解できなくてもよい(笑)

対策をしっかりと実践して、1か月後、3か月後などに改めて読みに来てはじめてきちんと理解できるはずだ。





3-2-2. ロジカルシンキング

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【演繹と帰納】

有名な話だが、論理とは演繹と帰納の2つを指す。これら以外は存在しない。

演繹から解説していく。


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演繹的論証

まず、演繹を図示すると上記になる。

「前提」を"複数"置き、それらを組み合わせて「結論」に至るその処理過程を「導出」と言う。

つまり、演繹の結論が間違いとなる場合、前提と導出のどちらかあるいは両方が間違っている。

例えば、以下2つの例について、結論が間違っている可能性を考えてみてほしい。

例1
A社は〇〇市場に属す
〇〇市場は成長市場である
故に、A社は成長市場に属す

例2
A社の東京支社にはコンプラ違反の社員がいる。コンプラ違反の社員は一般的に倫理観が欠如しており、SNS等で A社のレピュテーションを毀損するリスクがある。しかし、A社にはコンプラ違反の社員に関するリスク以外のリスクは存在しない。故に、東京支社を売却すれば、A社は安全だ。



どうだろうか?

間違いの可能性に気づけただろうか?

解答例を示す。

まず、例1は、「導出は正しいが前提が間違ってる可能性がある例」で、

例2は、「導出が間違ってるので仮に前提が正しかったとしても確実に間違ってる例」だ。

例1の解答例

「A社は○○市場に属す」について、例えば、A社はコンサルティング業界に属しているが、利益の9割がファンド事業として株式を保有するペット保険会社によるものなので、実態としてはペット保険市場に属しているかもしれないし、

「○○市場が成長している」は、信頼性の低い出典を引用してしまっていたり、そもそも調査会社の市場の定義が間違っていて、実は成長していないかもしれない。

例2の解答例

コンプラ違反社員が東京支社以外の支社にもいるかもしれない。

(↑前提の疑わしさはいろいろ考えられるが、ここでは導出の間違いのみ記載)


戦コンの選考においては、まず導出の精度は常に100%であることが求められる。

前提の蓋然性が常に100%になることはそもそもあり得ないが、「蓋然性が明らかに低い前提を全く置かずに論証できるか?」はかなり見られている。

あくまで僕の体感だが、戦コン就活生の98%がその水準に達していない。(偉そうに言っているが僕も最初は達していなかった)

選考までには必ず到達させよう。

鍛え方としては、やはり競技ディベートをやるのが最もおすすめだ。

相手は自分と同レベルの人ではなく、自分より明らかに演繹処理に強い人とやってボコされてFBをもらわなければ、高い成長角度は期待できない。


次に、帰納について解説する。

帰納とは、複数の事象の共通点を発見し、新たな一般法則を結論として見出すこと、だ。

この操作で共通点でないものを共通点とみなしてしまうというミスをする人はまあいないだろう。

どちらかといえば、共通点を発見する能力に伸び代がある。

これは仮説思考とも被る能力で、すなわちアナロジー思考である。

一般法則を具体事象に適用するのが演繹で、具体事象から一般法則を生み出すのが帰納、だと理解しておけばよい。
(これは、英語の"de"duction(演繹)"in"duction(帰納)ならそのまんまでイメージが湧くと思う。訳がイケてない。)

また、演繹、帰納に続く第三の論証形式として、アブダクションというものがある。

正直僕も深くは理解できていないのだが、要は帰納亜種で、仮説を出す過程、閃きに論理的な形式を与えたものらしい。

アブダクションを学習する優先度は、戦コンに内定するだけでよいならば正直かなり低いので、余力があったらでいいと思う。

アリストテレス、パース、ポパーあたりがアブダクションについて哲学的な功績を残した著者だ。


【Collumn】「思考」をどう言語化するか

アナロジー思考がまるで仮説思考とロジカルシンキングの下位概念であるかのように僕は書いているが、見方を変えれば上下関係は逆である。

思考を極度に抽象化すると、

素材とアナロジー

の2つしか存在しない。無から有が生まれることはありえないからだ。

何が言いたいかというと、

イシュードリブン→ロジカルシンキング→クリティカルシンキング

という僕がこの記事で設定したフレームは、コンサル実務/選考対策を前提としており、目的が違えば適切なフレーミングも変わってくるということだ。

また、どんなに多読をして優れた言語化に触れようとそれだけでは不十分で、自分で悩み考え抜く過程でしか現場で使える思考力は強化されない、ということをここで改めて強調したい。





【ロジックツリーとアサーションツリー】

次に、ツリー構造について解説する。

演繹と帰納よりもこちらの方が抽象度が低く実践的だ。

まず、イシュードリブンの章の図を再掲する。

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ロジックツリー(要素分解)
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ロジックツリー(Why/What/How)


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アサーションツリー


上図の通りだ。

ロジックツリーは簡単で、わざわざ解説するほどのことでもない。
practicalには、フェルミ推定ができるようになれば充分だ。


アサーションツリーについて話す。

アサーションツリーは訓練が必要で、僕も日々の実務で議事録のTakeawayを高速抽出する際に頑張って書いているが、まだまだ成長途上だ。

お互い頑張ろう。

アサーションツリーには大きく2つのルールがある。

①縦の関係:主張⇆論拠(Why so?⇆So what?) or 骨子⇆肉付け(つまり、要約のこと)の関係になっている
②横の関係:粒度と属性が全く同じである

これらを常に遵守するのは、簡単なようで難しい。

縦の関係のルールを言い換えると、「下層のメッセージは常に1つ上の層のメッセージをサポートするものでなければならない」ということだ。

""サポートするもの""だ。"'論理的に関連するもの""ではない。(関連すればなんでもいいというわけではない)

以下でダメな例を示す。


【ダメな例】

✔︎縦がダメ

・A社は××市場に進出すべき
ーB社を買収して進出すべき
ー××市場の他には△△市場も候補である

「こんなきもちわるいミスしないよ」と思った方もいるだろうが、就活生の9割はこのレベルのミスを頻発している。

1つ目は、WhatとHowの関係なのでメインビュレットと同レイヤー

2つ目は、「考慮すべき市場の範囲は?」という論点に対する答えなので、むしろメインビュレットより上位レイヤーの命題

(尚、レイヤー上下の定義は文脈依存だが、ここではアサーションツリーを作る場合を前提とする。)

✔︎横がダメ

・A社は××市場に進出すべき
ー××市場が魅力的だから
ー××市場には強い競合がいないから

これはどちらも論拠を述べていて、縦の関係は合っているが、粒度が合っていない。

次に、合ってる例を示す。

【合ってる例】

・A社は××市場に進出すべきだ
-××市場が魅力的だから
-××市場で勝てそうだから
-××市場には強い競合がいないから
-A社の△というアセットがかなり活きるから



簡素な例を使ったので楽勝に見えるであろうが、

徒然なるままに様々なことを述べてくるクライアントの主張を理解し、完璧に構造化された議事録のTakeawayを書くのは、思いの外むずかしい。


出来るようになるためには、これも演習以外無い。

家で簡単にできるエクササイズとしては、日経新聞の記事や本の内容を要約、アサーションツリー化してみる等が良いと思う。

また、選考本番ではタイムプレッシャーが重いので、そのために負荷をかけるという意味では、やはり競技ディベートが最適だ。




【フロー構造、循環構造】

言いたいことはシンプルで、

ツリー構造
→論理関係を分かりやすくビジュアル化する上で世界一汎用性の高い構造。しかし、静的なものしか扱えず、時間軸や相互作用などの動的な関係性は落とし込めない
フロー構造、循環構造
→ツリー構造より汎用性は劣るが、動的な関係性もうまく表現できる。

これだけだ。

ツリー構造が正しく扱えれば戦コン選考では充分に高評価だが、ツリー構造にも限界があることは覚えておくとよいだろう。

具体的には、分解した各要素は独立変数ではなく互いに連動することがほとんどだがその連動関係を表現できない、静的なスナップショットであり時間軸を表現できない、そもそも会社は複雑系であり全てを構造化できるわけではない、等だ。


画像


これは、ベゾスがレシートの裏に書いたとされている循環構造だ。

日本語で説明すると、まず優れた顧客体験を提供する→トラフィックが増える→出品したい企業が増える→商品の種類が充実する→さらに優れた顧客体験が提供できるようになる→トラフィックが、、という好循環1

好循環1で企業として成長する→規模の経済とマージン交渉力の向上で低コスト構造に→低価格でサービスが提供できる→さらに優れた顧客体験が提供できるようになる、、といった好循環2

という2つの好循環を分かりやすくビジュアル化している。

これをツリー構造でやるのは不可能だ。

ただ、当然に難度が高く、急いで習得を目指す必要は全く無い。



【大前研一先生の考えに対する僕の解釈】

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大前研一著「企業参謀」より引用


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僕なり解釈


めちゃくちゃ余談だが、企業参謀で大前研一先生がおっしゃっていることをリフレーミングすると、上記図になるのではないかと思っている。

要は、「静的にMECEにロジカルに分解/整理しただけでは、当たり前のことしか出てきませんよ、イシューから始めましょ、動的なものをちゃんと動的なまま扱いましょ」ってことではないか?と思う。


【推薦書籍】

イシュードリブンの時と同じく推薦書籍を紹介する。おすすめ度が高い順だ。


・超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術
・思考・論理・分析―「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践
・ロジカル・シンキング
・ロジカル・ライティング
・構造化思考トレーニング コンサルタントが必ず身につける定番スキル
・日本語作文術


バーバラ・ミントの「考える技術・書く技術」は、入社後には絶対に読んだ方が良いが、内定確率を上げることにはあまり寄与しない気がする。難度高めなので、実務と並行して読んだ方が効率が良い。





3-2-3. クリティカルシンキング

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例によって語義の確認から入る。

Critical=批判的な、批評的な、懐疑的な

という言葉の通り、「クリティカルシンキング」とは、俯瞰的な視点から正しさを疑い、客観的に正しい結論へと至る思考力のことである。

金槌を使うのが上手いと全ての問題が釘に見えてくる

出典:忘れた

有名な言葉だ。

イシュードリブンやロジカルシンキングといったコンサルの問題解決ツール、あるいはアカデミックな経営理論やファイナンス理論といったものが金槌に該当する。

釘に見えやすくなっている自分をいかにメタ認知できるか?がクリティカルシンキングであるとも言える。

クリティカルシンキングができている具体例を示す。

「あるコンサルティングファームA社が過去10年の間に支援したクライアントはの平均企業価値成長率は、市場全体の上場企業の企業価値成長率の4倍だった。故に、A社の支援はクライアントの企業価値向上に大きく貢献してきたと言える。」

という主張があったとする。これに対して、

「それを因果関係だと断定するのは間違っていると考える。なぜなら、A社への高いフィーを払う余裕のある儲かっている会社は、業界内のシェアが高く、自然に成長する可能性が高いからだ。例えば、10年前時点でのROICと売上高成長率が近い水準の会社のみを集めてセレクションバイアスをなるべく減らしてから算出すべきではないだろうか?」

と考えるのが、クリティカルシンキングの一例だ。

この程度のクリティカルシンキングなら割と誰でもできるが、例えば、パラダイムの変化に気づき、今までのゲームルールの延長で考えない、といったクリティカルシンキングは非常に難しい

ベイカレントが大躍進を遂げ、DIの業績が全く振るわない未来を2010年代に予測できたコンサル業界人が何人いただろうか?


どんなに強い論拠に支えられた仮説でも常に反証可能性にさらされていることを自覚し、

視野を広げ、枠外から物事を考える姿勢が重要だ。

ただ、イシュードリブンとロジカルシンキングに比べると優先度はかなり低いので、戦コン対策としてはいったん無視でいいと思う。

というか、再現性高く向上する方法を僕も言語化できていない。言語化からの逃げになるが「人生経験の質」が鍵な気がしている。

例えば、株式投資が唯一の収入源である人生を歩めば、投資先選定、損切り等の大小様々な意思決定のインパクトが大きく、多角的に判断材料を集め自身にかかってるバイアスを特定する営みを超高頻度で行うため、自ずと批判的思考が癖づいた人間になるであろう、など。

また、これはクリティカルシンキングに限らずイシュードリブンとロジカルシンキングにも通底する重要なもので、本noteで一貫して思考"過程"ではなく、思考"力"にフォーカスしているのはそういうことだ。

内定者の時に就活生から高頻度で聞かれた質問として、「回答を作る時の野条さんの思考過程を教えてください」があるが、これは間違った姿勢だ。

思考過程をインプットしその通りに真似して考えれば内定する、といった簡単なゲームなら全員内定してしまう。戦コンの倍率は早慶以上の母集団で200倍だ。

大事なのは、「意識」より「無意識」。明文化された思考フローを意識的に辿っていては遅いし、枠組み間の結合、コラボレーションが生まれないので深い示唆は出ない。

なので、思考"過程"ではなく思考"力"にフォーカスし、「ケース模範回答の再現」ではなく「(論理、論点、仮説)パッシブスキルとしての思考力の強化」を目指すべきだ。


3-2-4. 経営理論(≒MBAで習うこと)

画像


グロービスの教科書でも買って読みましょう。

以上。



4. まとめ


いろいろ書いたが、結局1番大事なのはマインドセットだ。

気合い、根性、パワー。


人生で1度しか無い就活、悔いのないよう心を燃やすことを推奨する。


また、僕はまだ1つしかPJを経験していないが、戦略コンサルはとても社会的意義のあることをしていると感じた。

知的好奇心と熱意のある学生さんにぜひ入社していただきたいと、1社員として強く思う。



愛を込めて。

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コメント

3
通りすがり
通りすがり

発達障害者の適切な見抜き方、避け方、(自分の人生からの社会的)殺し方 (特に高学歴で擬態してるタイプ)について、大真面目かつ具体的な方法論を語って共有いただければ幸いです

なおき
なおき

Last autumn, Rishi Sunak really did interview Elon Musk on stage. To repeat, a serving head of government took the junior role to a businessman at a public event. As piercing and Socratic as his questions were (“What is it that you are particularly excited about?”), Sunak demeaned his office...Whether good, bad or hard-to-place, these thrive when no nation is strong enough to command the global or even regional picture.(Ganesh, 2024)

という先日のFTにおける記述と、「企業官僚」の話に類似性が感じられました。

Astranttera
Astranttera

「金槌を使うのが上手いと全ての問題が釘に見えてくる」は、アブラハム・マズローの言葉ですね

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京大工学部→戦略コンサル→人材領域で起業
【現役MBB社員作成】戦コン内定のための全て|野条 大樹 (Daiki Nojo)
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