日本勢にのしかかる損失
この粉飾決算により、かつて10億ドル超とされたイーフィッシェリーの企業評価額は一気に暴落。株式の実質価値は「紙くず同然」となり、ソフトバンクグループは数百億円規模を投じていたとみられるが、9割以上が回収不能に陥ったという。
一部報道では「1ドルあたり8~9セント程度しか返金されない見通し」とされるなど、ソフトバンクにとって、ウィーワーク問題に続く痛手として注目を集めている。
さらに日本の農林中央金庫が運営するファンド「農林中金キャピタル戦略協創1号ファンド」も、2023年7月に“第一号案件”としてイーフィッシェリーへの投資を発表したばかりだったが、粉飾発覚後に事実上の評価損を抱えることとなった。
日本の地方銀行が共同で立ち上げた海外投資ファンドや、ソフトバンク関連ファンドに出資している地銀も、間接的に多額の損失を被るとみられる。
特に、30の地方銀行が出資し約1500億円を運用する「みらい地域共創投資事業有限責任組合」(通称「みらいファンド」)が、SVF2に100億円を投資していた例が顕著だ。
出資先の一つにイーフィッシェリー株が含まれていたことから、約5億円の評価損が発生したとみられ、一部の地方議会で「地域創生の資金が遠い国のベンチャーに消えた」と批判を浴びている。自己資本比率が低めの地銀ではリスクウェイトの上昇によって融資金利や商品設計に影響が及ぶケースもあり、家計にまで波紋が広がり始めている。