粉飾を加速させた“投資家のプレッシャー”
2021~22年にかけてソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)やセコイア・キャピタル、テマセクが相次ぎ巨額投資を行う際、イーフィッシェリーはより一層「数字の盛り」を徹底した。
大口ファンドが実施するデューデリジェンス(投資検証)をクリアするために、現地養殖池での説明をシナリオ化し、担当者が用意された数字を暗唱。自動給餌機の累計導入台数を「40万台超」と大々的にPRしていたが、実際には2万4千台ほどしか稼働していなかったという。
こうした大掛かりな偽装が破綻したのは、23年の監査段階で起きた内部告発が契機となった。
外部のフォレンジック調査が導入されると、数年にわたる二重帳簿や架空の売上計上が次々と露呈。24年末には「同社が18年以降、連年で巨額赤字を隠蔽していた」事実が報じられた。
取締役会は即座にギブラン氏および共同創業者クリスナ・アディティア氏を解任し、25年初頭には両名に対する刑事告発が行われた。