「見本」の養殖池だけを案内
しかし、この時点で既にいくつかの「不透明さ」は指摘されていた。投資家や関係者が現地視察を要望すると、ギブラン氏らはあらかじめ整備した「見本」の養殖池だけを見せ、そこに協力農家やスタッフを集めて好調な数字を説明させていたという。
また「大手監査法人が監査している」と大々的にPRしていたが、実は全社的なフルスコープ監査ではなく、特定範囲だけの部分監査にとどまっていたとの証言もある。
だが、世界的ファンドが共同で出資を決めた安心感もあり、多くの投資家は事業の中身を深掘りするより、むしろイーフィッシェリーが示す“輝かしい将来”に期待を寄せた。
こうして、後に粉飾が明るみに出る“種”は、この頃すでに蒔かれていたのである。(後編【ソフトバンクも農林中金も「ESG」にダマされて大損失…世界を揺るがすインドネシア養殖ベンチャーの「巨額粉飾」その一部始終を追う】に続く)