投資が過熱、ソフトバンクも参入

2010年代後半、東南アジアのスタートアップには世界的な投資マネーが相次いで流入する。インドネシアでは配車アプリの「ゴジェック」やEC大手「トコペディア」が次々とユニコーン企業へ躍進。外資はもちろん、日本のソフトバンクグループや大手商社、さらには金利低迷に悩む地銀系ファンドまで、幅広く同地域への投資チャンスを狙っていた。

イーフィッシェリーの躍進を象徴するのが、同社が投資家向けに示した「ホッケースティック・カーブ」である。

養殖農家へのサービス利用者数や自動給餌機の累計導入台数が前年比数百~数千%という伸び率を誇り、年を追うごとに営業利益が「倍々ゲーム」で増え続ける――そうした示唆的なグラフとともに、メディアの見出しを飾る「急成長新興企業」のイメージが確立していく。

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特にESG(環境・社会・ガバナンス)要素が絡むと、投資家サイドの社内決裁も得やすくなる。貧困農家を救い、環境にも優しく、生産性を高める――これ以上に“魅力的”な投資テーマはそう多くない。

インドネシアの人口2億8千万人という巨大市場、さらには周辺ASEAN諸国への展開可能性も視野に入ることで、多額の資金が一気に流れ込んだ。

実際、2020年には北米や東南アジアのファンドが総額2000万ドルを出資。続く21年にはソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)やセコイア・キャピタル、シンガポール政府系のテマセクが9000万ドル超を投じ、企業評価額は一時4億ドル超へ。マスコミは「次世代ユニコーンの本命」と大々的に報じた。

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(cache)ソフトバンクも日本の銀行もダマされた…「インドネシアの希望の星」と呼ばれた養殖ベンチャー「巨額粉飾」の闇(赤井 俊文) - 3ページ目 | 現代ビジネス | 講談社