「垂直統合モデル」による拡大路線
しかしギブラン氏は、自動給餌機だけでは養殖農家の課題を根本的には解決できないと感じていた。小規模農家は資金力や信用力に乏しく、十分な設備投資が困難なケースが多い。
そこでイーフィッシェリーは、以下の「垂直統合モデル」を構想した。
(1)Feed:養殖で使う飼料をオンラインで少量から購入できるプラットフォーム
(2)Fund(Kabayan融資):餌や設備などの代金を“後払い”にできる独自の融資スキーム
(3)Fresh:育てた魚を直接買い取り、流通販売まで一貫して手がける
この3本柱は「インドネシアの小規模農家を救う」「途上国の食糧問題を解決する」といった社会的使命と結びつきやすかった。
実際、国連をはじめ国際機関が支援する水産養殖プロジェクトの多くは、同様の視点から技術導入やサプライチェーン改善の重要性を強調しており、イーフィッシェリーのビジネスモデルは投資家にとってもわかりやすい“成功物語”に映った。