国連から「差別」とされても居直る日本政府

日本政府は、新型コロナウイルスの影響で生活が困窮した学生に、最高20万円を給付する制度を設けたが、朝鮮大学校(東京都小平市)を対象から排除した。

それに対して国連人権理事会から任命された特別報告者4人が、「人種や民族に基づく差別にあたる」として、日本政府に是正を強く求める書簡を送っていた。これに対して加藤勝信官房長官は6月22日、「差別には該当しない」と記者会見で反論。

その理由を「専修学校や各種学校に通う学生は、日本人か外国人かに関わらず事業の対象外」というのだ。朝鮮高校や朝鮮幼稚園を無償化の対象から外したのと同じ言い訳である。そもそもこのへ理屈は、これら朝鮮学校を支援の対象から外すために考え出されたものだ。

040426万景峰92号と警察官
新潟港の「万景峰92号」(2004年4月26日撮影)

朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)を徹底的に敵視した安倍前首相などは、貿易を全面的に禁止するなど朝鮮への独自制裁を次々と実施。考えられる措置をすべて実施したため、その矛先を在日朝鮮人へ向けた。その一つとして、朝鮮学校とその学生への嫌がらせ政策を続けてきた。国際的にみて、このような朝鮮敵視のために強引に行なわれている措置を「差別には該当しない」と言い訳しても通用するはずがない。

日本政府は朝鮮への厳しい独自制裁を続け、国会議員や高級官僚たちはブルーリボンを付けたままだ。ブルーリボンは、一度つけたならばその職を辞するまで外すことなど出来ないはずだ。これは朝鮮に向けて思い切り振り上げた拳を、そろそろ下ろしたいと思っても下ろすことが出来ないという状態なのだ。

森友学園問題で自殺に追い込まれた赤木俊夫さんのように、自分の仕事に誇りをもち、正義を貫きたいと思っている官僚は外務省にもいるはずだ。そうした人は、日本政府の無策によって膠着状態が続く現在の日朝関係に危機感を持っていることだろう。

米国バイデン政権は、朝鮮との交渉再開のために次々とシグナルを送っている。6月21日の米韓北核主席代表者会議で、開城(ケソン)工業団地や金剛山(クムガンサン)観光などの南北経済協力事業にとって足かせとなっていた米韓作業グループの解体を決めた。米国側が妥協したのだ。

金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は6月22日、米国の対話再開への期待をけん制する談話を発表。それに対し米国務省のプライス報道官は「米国の外交政策は敵対ではない」とし、対話へ前向きな対応をするよう改めて呼びかけた。

このように米国と韓国は、朝鮮との交渉再開へ向けて地道な努力を続けている。朝鮮への極端な敵視政策を続けるだけの日本政府は、いつまで米国の動きの様子見を続けるつもりなのだろうか。
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プロフィール

伊藤孝司

Author:伊藤孝司
フリーランスのジャーナリストとして長年にわたりさまざまな取材を行い、数多くのメディアで発表してきました。
海外取材は約200回で、そのうち朝鮮民主主義人民共和国へは40回以上です。現在、年2~3回の訪朝をしています。
掲載写真は、引用先が非表示のものは筆者撮影です。なお、このブログに掲載している映像と文章は日本の「著作権法」と国際的な著作権条約で保護されており、無断使用はできません。転載を希望される場合は、事前にご連絡ください。

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