黒字化まで19年! 大江戸線延伸「採算神話」の正体とは? なぜ練馬区が実現に近づけたのか?
東京都が2040年の開業を目指す大江戸線延伸計画が、いよいよ実現段階に突入した。光が丘~大泉学園町の区間は、B/C2.1・NPV500億円超と高採算が見込まれ、練馬区は110億円の基金や都市改造で着実に布石を打つ。停滞から一転、地域主導のインフラ整備が動き出した。
110億円積み立てにみる地元の覚悟
4月、日本経済新聞は、東京都が都営地下鉄大江戸線の延伸開業を2040年頃とする素案をまとめたと報じた。記事によれば、東京都は開業から36年目に黒字化すると想定している。この試算をもとに、都は光が丘駅から(仮称)大泉学園町駅まで、約4kmの区間を延伸する方針を固めた。
練馬区ではこれまで延伸実現に向けて独自に動いてきた。都市整備部内に「大江戸線延伸推進課」を設け、「大江戸線延伸基金」の積み立ても行っている。積み立て金はすでに110億円に達しており、延伸は区にとって悲願といえる。では、大江戸線延伸はこの地域にどのような変化をもたらすのか。
延伸構想は、練馬区北西部の大泉学園町方面を経て、将来的には東所沢駅までの接続を視野に入れる。そのなかで今回具体化が進むのは、光が丘駅から大泉学園町駅までの区間であり、以下の3駅が新設予定となっている(いずれも仮称)。
・土支田駅
・大泉町駅
・大泉学園町駅
光が丘駅以西への延伸は、地域住民、とくに練馬区からの強い要望に支えられてきた。一方で、事業は長らく停滞していた。その要因は、
・採算性の不透明さ
・事業主体の不明確さ
にある。2000(平成12)年の運輸政策審議会答申第18号では、当該路線は
「少なくとも目標年次(2015 年)までに整備着手することが適当である路線」
と明記された。以後も整備候補路線として名は挙がり続けたが、計画の具体化には至らなかった。