「あの日にかえりたい」系コンサートホール
個人的にも、山下達郎の中野サンプラザ公演を何度となく観たが、もっとも印象深いのは、1994年4~5月に開催された「TATSURO YAMASHITA SINGS SUGAR BABE LIVE in 1994」である。
その名の通り、山下達郎がかつて組んでいたバンド「シュガー・ベイブ」の曲を中心にセットリストが組まれたコンサートだ。荒井由実といいシュガー・ベイブといい、中野サンプラザは「あの日にかえりたい」系コンサートに恵まれたホールだった。
当日は、脂の乗りきった圧倒的な演奏・歌声もさることながら、何よりオーディエンスの度肝を抜いたのが、当時まだ新進気鋭のギタリスト=佐橋佳幸のプレイである。山下達郎に無制限一本勝負を挑むような、鮮やかかつ派手派手なプレイ(また音量も大きくて……)は、コンサートの印象を決定付けるものだった。
終了後、一緒に行った知り合いと「いやぁ、あのギタリスト、すごかったな」と、飲みながら語り合ったのをよく憶えている。
ちなみにこのときの様子は、この4月に発売されたCD=シュガー・ベイブ『SONGS 50th Anniversary Edition』に収録されている。さぞかし、ギターの音が地味にミックスされていると思いきや、あの日と変わらない、鮮やかかつ派手派手なプレイが聴こえてきて、当時の思い出が一気に蘇った。