民主主義や政治についてたのしく学べる日本初の「民主主義博物館」オープン!
政治家って普段何してるの?法律って実際どう決まってるの?社会運動ってどうやるの?
学校やメディアをはじめ、こうした疑問に答えられるだけの知識を学べる場所は意外とあまり存在しない。
はたまた、「民主主義は多数決」、「人権は思いやりで解決できる」、「権利と義務はセット」、そうした“誤解”も広まっており、政治や社会課題に関心を持って学ぼうと思っても、どこから学べば良いかわからない。
そうした実践的な知識をわかりやすく学び、社会参加の成功事例や具体的な方法まで学べる場所として、筆者が代表理事を務める日本若者協議会が「民主主義博物館」を5月24日にオープンした。
場所は東京都大田区にある田園調布。常設展として、週4日開館される。
開館時間・入館料
【開館時間】水曜日・金曜日13:00〜20:00、土曜日・日曜日10:00〜19:00
【休館日】月曜日・火曜日・木曜日
【入館料】学生:無料、社会人:500円
アクセス 〒145-0071
東京都大田区田園調布1丁目35−9 田園調布三慶マンション105
https://maps.app.goo.gl/bBB5Q7zhvaBeqTsa8
諸外国では、ドイツの政治教育センターをはじめ、全世代が政治や民主主義について学べる施設は存在するが、日本では唯一の試みと言っても良い。
・民主主義って何?多数決?
・子どもの権利や人権を知るとわがままになる?
・政治家って普段どんなことをしてるの?
・各党の違いは?
・社会運動をして意味があるの?
・なんで日本は民主主義が発展していないの?
・どうやったら社会を変えられるの?
といったことをいつでも、気軽に学べる場所になっている。
コンテンツとしては、基礎的な内容を学べる単語カードから、社会運動の当事者にインタビューしたドキュメンタリー、社会運動の方法がわかるコーナーまで、多岐にわたる。
それぞれのコンテンツは基本的に中学3年生以上なら理解できる難易度で作成しているが、小中学生向けのコンテンツも用意している(コンテンツの種類はこれからもっと増える予定)。
ドキュメンタリーは予告編をYouTubeにアップしているが、GHQ占領下を経験した100歳の方から高校生まで、幅広い世代の運動当事者にインタビューをしている。
民主主義を使いこなすための知識を持っていない日本人
近年、物価高やいつまでも上昇しない給料、可処分所得の少なさなどを背景に、政治や社会への関心は高まっているように感じる。
実際、地方選挙の投票率は上がっているし、人気の政治家が出演するYouTube上の番組は何十万回と再生されている。
ただ政治について関心を持った時に、改めて政治の実態や、社会の変え方を網羅的に学べる場所はどこにも存在しない。
SNSは断片的であるし、学校では実践的な内容まで学ぶことができない。
結果的にSNS上での不満の吐露や、諦め感、あるいは政治家への誹謗中傷にとどまっている。
もっと多くの人が政治や民主主義についての知識を持ち、民主主義を使いこなすことができれば、もっと多くの社会課題が解決に向かい、日本はより良くなるかもしれない。
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日本若者協議会では、啓発や啓蒙の機会として、各都市での民主主義ユースフェスティバルの開催や、小中学生を対象に「こども国会」を開催してきた。
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しかし年一回のイベントでは限界があり、常に学べる場所があることが望ましい。
エンパワメントされた台湾の「月経博物館」訪問
そうした時に出会ったのが、台湾の月経博物館だ。
2024年1月、筆者は台湾の総統選を見るために、台湾を訪れていた。
その中で以前からメディアを通して気になっていた世界で唯一の月経博物館、小紅厝月經博物館(The Red House Period Museum)を訪れた。
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詳しくは上記の記事で紹介しているが、スペースとしては決して広くないものの、デザイン性が高く、見せ方など至るところに様々な工夫が施されており、月経(生理)について気軽に学べる場所となっていたことに感銘を受けた。
しかも、この月経博物館を運営しているのは20代を中心としたNPOだという。
そこに勇気をもらった筆者は、違うテーマで日本でも出来るかも、と考え、これまで日本若者協議会で取り組んできた経験をシェアすることも想定し、民主主義・政治をテーマにしたミュージアム(博物館)を作ることを決めた。
その後はテナント探しに苦労し、想定よりも時間がかかってしまったが、無事に先日オープンに至ったというわけだ。
こだわった点はたくさんあるが、テナント選びとしては、一階の路面店(道路に面しているお店)、透明の窓を絶対条件に探した。
その理由は、もちろん日本若者協議会を知っている層にも来てもらいたいが、それだけではなく、近所のたまたま通りがかった人たちにも訪れてもらいたく、仮に2階や3階にあったら、訪問を目的とした人以外にはあまり気づかれないからだ。
民主主義博物館の準備にあたっては、筆者に加え、高校生や大学生のメンバーが中心的に関わっており、同世代の若者(上の世代も)が訪れやすい雰囲気づくりも重視している。
実際訪問してもらえればわかると思うが、「民主主義」や「政治」と聞いた時に感じる堅い雰囲気とは異なり、黄色をコンセプトカラーに、やわらかい雰囲気になっている。
開館して約2週間が経ったが、子どもたちからの反応も良く、近所の小学生や中学生も訪れている。
政治家との対話や学校の授業での活用も
6月22日には東京都議会議員選挙、7月には参議院議員選挙と、今年も多くの選挙が行われるが、SNS上の発信や街頭演説で一方的に話を聞く機会はあっても、様々な政党の候補者に対面で話す機会はほとんどない。
そうした現状から北欧の選挙小屋(選挙期間中駅前に設置される各党のブース)を参考に、日本若者協議会では民主主義ユースフェスティバルを開催してきたが、民主主義博物館でも積極的にイベントを開き、対話の機会をつくろうとしている。
6月7日には、民主主義博物館のある大田区の選挙区に立候補する都議選立候補予定者をゲストに、討論会・交流会を開催した。
交流会では、各立候補予定者に順に話を聞く形で、じっくりと対話することができていた。
7月には参院選も行われるため、こちらも同様に立候補予定者と対話できる機会を作る予定だ。
6/25-29 参院選・東京選挙区立候補予定者公開討論会・交流会 開催のお知らせ(日本若者協議会)
またオープン日翌日に開いたオープニングイベントで、「民主主義とは?」「学校内民主主義とは?」「差別とは?」「性的同意とは?」といったキーワードの感想を来場者同士でシェアしながら議論する機会も、ギャラリーツアーなどで定期的に作りたいと思っている。
今後は学校の授業などで活用してもらえたら、より実践的な学びを得ることができるはずだ。
外部団体にもイベントスペースとしてレンタルしており、ぜひ興味を持った学校や団体は連絡してもらいたい。