「クリスマス・イブは三日間くらいあるといいんだよね(笑)。だってさぁ、イヴの日とかに一人のオンナの子(半笑い)とかいっぱいいてかわいそうじゃん!(爆笑)」
「てめえ喧嘩売ってんなら買いますよ!」
なんて言いながら諏訪さんは本庄様に掴み掛かりました。それをヘラヘラと笑いながら「冗談ですって。冗談」と本庄様は言いました。何時もながら、七つも離れているとは思えぬ仲の良さですね。一見して喧嘩をしているようにしか見えませんが、この間も「ポケモンがさぁ……御坂美琴がさぁ……」と仲良く会話をしていましたし。
クリスマスというものがこの世にはあるようで、二十五日までを数えるばかりとなるここ数日、煌々たる都市の輝きは、浮かれ気分にその色を鮮やかにしているようでした。
嬉しいのだそうです。喜ばしいのだそうです。クリスマスというものは。贈り物を受け取り、恋人と共に過ごし、菓子や肉を食らい祝する、そういう日だというのです。
赤緑の色彩は、時に商店の飾りとして、時にイルミネーションの輝きとして。街々の至る所に現れては、どことなく人々に笑みを与えています。大黒天のように白髭を蓄え、大袋を抱えた赤服の老人が、そういった時節を象徴しているようでした。
もっとも、千代田区に本部を構えるヤタガラスにおいては、そんな世俗事は殆ど相手にされていませんが。
庭の椿が青々とした葉を重ねるも、その上に雪が積もることはありません。山中ならぬ平野の自然は、どことなく都会風に窮屈で、重く構える木造の縁側近く、密やかに花を咲かせるばかりです。その花弁にそっと指を沿わせ、ほうと吐く息も白くなく、随分遠く暮らしているなあと思いました。
籠の中の鳥と呼ぶには汚いものを見すぎていましたが、それでも連れ出してくれた先、新たな生活は鮮やかに彩られています。見知らぬ事は多く、しかし喜びもまた多く。それは偏に……と胸中の想いにはにかんで、遠く冬空を見上げました。
だからこそ、やはり気になるのです。クリスマス。聖人の日。恋人の日。本庄様は殆ど約束なんかしてくれませんし、結構な頻度で反故にします。この間も一緒に六本木のイルミネーションを見る約束をしていたのですが、『ワグナス(友人)が……ワグナス(敵ボス)になっちゃう!』という訳の分からない理由でふいになりました。
だから私はグレまくって龍を継ぐ男を読み進めています。それに本庄様は絶対決して「好きだ」なんて言ってくれません。単なる「器ちゃん」として愛してくれるだけです。
「それだけでも」
夜、設えられた寝室の片隅、古めかしい三面鏡に己を映し一人呟きました。そうですよ。何を不満に思うというのか。今こそが埒外の幸福。これ以上などあり得ない。
生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終りに冥し。六道の混沌こそがこの身なれば、迷中有迷が私の生に宿命付けられている。
なればこそ、私にとってあの人は、天上より下る蜘蛛の糸に等しく。
故にこそ、どうして縋り付けるというのか。恥も外聞も捨て、獣の様に。化け物の様に。
或いは……お父様のように。お母様のように。
「……それだからこそ」
勝手に蠢いた唇から発せられた言葉に鳥肌が立ちました。悍ましい考えでした。自嘲だけが漏れる想いでした。
何せ、じいっと見つめる姿見の中に、気味の悪い女が居るのです。
生ッ白い、骸のような女。唇ばかりが赤く、陰鬱な黒目と黒髪が重苦しい。十四を迎えたというのに、子供じみた体躯は何ら変わらず、瞳だけが酷く年老いています。黒の着物に身を包んだ姿は、我ながら呪いの人形染みている。
そんな気味の悪い女は、今確かに言ったのです。
「好きです」
「大好きです」
「だから、愛して下さい」
淫売の血が、私にも確かに流れている。その証左でしょう。
こんな気色の悪い女がどうして好かれるというのか。一丁前に愛などを口にして、滑稽ではありませんか。
気味の悪い身体も、邪悪な宿命も抜きにして、根本的に醜い女でした。諏訪さんのように親しげに話すことも出来ず、ライドウ様のように超然と切り込んでいくことも出来ず、ただただ根暗に寄り添い続ける。地を這う蛞蝓の身でありながら、遥かに望む天上の糸を、『私のものだ』と叫んでいるのです。
『死んでしまえ』
誰かにそう言われたような気がして、ぱたりと木戸を閉めました。
22日のお昼、“S”が正体を現した事に驚愕していると、本庄様から電話がありました。
『器ちゃん、梅ジュース好きかい?』
「飲んだことないですね。美味しいのでしょうか?」
『ワグナスがさぁ、梅酒だけじゃなくシロップもめっちゃ寄越しやがったから余ってんだよね。今暇? 持ってくわ』
「はい! 待ってます!」
本部から私の居住する寮までは五分で行ける距離ですが、たぶん三分もせずに物少ない部屋の片付けは終わります、と思いながら、ああ、胸の奥がドキドキして本当に苦しいですね。開いた龍継のページの中に栞を挟んでから玄関へ向かいます。
「はい、クリスマス・プレゼント」って、凄いですね。一瓶ですか。『七英雄』と毛筆で書かれた銘柄に、何らかの意味があるのでしょうが私には読み解けません。「折角だから今飲むか」って何時ものように気まぐれな展開です。
「嬉しいです! 本庄様が家に来て下さるなんて!」
言いながら、脳裏にはクリスマスのことがちらついていました。私も実は本庄様にクリスマス・プレゼントを買っていたんです。でも、今日贈り物の梅シロップを開けるって事は、二十四日のイヴはどうなるんですか。
お煎餅を戸棚から取り出して、つまみながら本庄様の話を聞いている内に、登場する『クソゲボキチガイメシアンのエリー』という女に嫌な想いが湧き上がってきました。居を正し、背筋を伸ばし、「その女は裸で本庄様と相対したのですか」と問い詰めたくなりましたが、やめました。
私は何様のつもりなのか。どういう権利で。どういう思いで。本庄様が誰と何をしようとも、私などが関わる権利などない。だからこそ、たまに漏れ出てしまう嫉妬が本当に嫌なのです。醜い私の本性など、本庄様にこそ晒したくないというのに。
「実は今日、お昼を食べてないんです」口数の少なくなった私を心配した本庄様に、誤魔化しにそんな事を言います。「ホントだ、めっちゃ飲むし食うな!」妙に上機嫌です。頬が紅潮しています。良く良く見れば本庄様が飲んでいる方の瓶は梅酒でした。ここ最近、『ワグナス! お前の酒美味いぞ!』と、よく飲んでいるなあとは思っていましたが、昼から飲んでいるとは思いませんでした。
私がじっと見ていると、「じゃあ、クリスマスのお祝いに私がおさんけしてやろうか?(モロモロのカツレツ)」とおっしゃられたので、折角ですから一口戴きます。器に注がれた琥珀の液に、そっと唇を触れさせれば、強い匂いが鼻を通り抜けました。
「熱い、ですね」梅酒のアルコールが舌先から喉奥までの肉に流れ込み、焼けるような刺激と共にぽわりと頭を揺らしていきます。「ああ、熱いです」腹に注がれ、胸の内を焦がします。
はじめてのお酒。そう、初めての。本庄様に与えられた初めては数知れず、新鮮な驚きと共に嬉しくなるのです。心の奥底から、確かに思うのです。
『この人と居るだけで、私は幸せですね』
「……口元」
不意に気付いた風を装って、私は指差しました。本庄様の口端に、一欠片のお煎餅。ふへへと笑って、手を伸ばそうとして。
──悍ましい。
吐き気に口元を抑えたのは、アルコールのためではなく。ただただ私は、私が嫌になったのです。
瞬間に、縋り付きたいと思ってしまったのです。撓垂れかかりたいと思ってしまったのです。その身体に。その心に。永遠に離れがたく、分かちがたくに。
『それの何が悪いのですか』
誰かが言ったような気がして、二杯目を煽ると共に呟きました。
「怒らないで下さいね。好きな人に父母の真似事を押し付けるなんて馬鹿みたいじゃないですか」
『愛と恋は肉を通じて深みを増すものでしょう。だからお母様は私を憎んだのです。肉親だからこそ愛は深く、肉親だからこそ憎悪に変わる』
「愛は、恋は、もっと綺麗なもののはず。私の血も身体も汚れているのなら、せめて想いだけは、この想いだけは、綺麗でいたいと」
『
「なめるなっメスブタァッ!」
叫び、我に返り、顔を上げれば本庄様が「ヒエッ」と呟いていました。そうして慌てて部屋の本棚を漁ると、私の目の前に高校鉄拳伝のタフを積み上げました。
「龍継の急激な猿展開に脳が耐えられなかったんだ! まだまともな頃のタフを読んで脳を回復させるんだ!」
はあ、と思わず呆れた顔をしてしまいました。そうしておかしくて、笑ってしまいました。
私の頭など、貴方のせいで、とっくに壊れていますのに。
初めてのお酒のせいか、翌日は妙に気怠くダウンです。今朝の私の様子から、本庄様は昨夜の一幕を口にせざるを得なくなり、ゲイリン様と諏訪さんにボコボコにされて「許し亭許して!」と叫んでおりました。声だけ切り抜けば可哀想にも聞こえますが、実際の光景は異様と評せざるを得ません。
二十二代目葛葉ゲイリンと諏訪の祝を相手に、対抗どころか勝りつつあるのです。悪魔を悪魔で押さえ込みながら、狙う弾丸は尽く行動を制限します。一見して突飛な行動は全て後のための布石。相手の狙いを瞬間に察知し、嫌がる行動を押し付ける。類い稀なる戦闘者としての天稟がそこには現れておりました。
舞台となった修練場に集う目は賞賛と感嘆、そして埒外のものを見る色を浮かべていました。「頼もしい通り越して怖いわ」「マジで何なのコイツ」そんな声が方々から漏れています。そんな中、生首が「天才だよねえ」と呟き、「決めた! 君が三代目葛葉キョウジだ!」とか抜かしたので蹴ってやりました。
諏訪さんは「生粋の荒らし気質ですわね!」と舌打ちをしました。「私の二十数年を、一年にも満たず……っ!」苦渋を滲ませ吐き捨てました。魔人と足立区での一件からレベルが60になり、遂に諏訪さんと並んだと本庄様は嬉しそうに話しておりました。もっとも、諏訪さんも諏訪さんで、その領域に辿り着くには異常な若さらしいのですが。
しかし、天稟を上回る経験には負けるようで、「丁重に扱えと何度も言っておるだろうが!」と、ゲイリン様が召喚したマダとサンダルフォンに薄汚い悪魔が吹き飛ばされました。それで余裕が崩され、後は「十一敗目ぇっ!」の声と共に、すぱんと首と胴が別れました。
ぐじ、と腹底に薄汚いものが滲みました。死んだのです。殺されたのです。それが常識であると、何時ものことだと、本庄様は「あいつらキチガイだよな」と呆れ笑いで話しますが、私には到底許容できません。本庄様がどう思っていようと私には。
あの雪景色が思い起こされるのです。脳天を打ち抜き、吹き出した血飛沫と浮き上がる魂。それを呑み込んだ浅ましい私の身体。それでも生きていると、必死になって己を見つめ、結果として崩れ落ちた私の無様。惨めさ。愚かさ。
吐き気がする。だから、そう。「もうちょっと阿多様をリスペクトしなさい!」「おっ、タフ語録があった。やっぱ諏訪さんは根っからの陰キャオタクなんやな」「もう一度死ね煽りカス!」などという会話に苛立つのです。
悪いのは私でしょう。勧められた物を口にしたのは私です。断ったとして本庄様は気にせず一人酒を飲んでいたでしょう。何故傷付ける。何故罵倒する。私を慮り、本庄様を非難するその言葉に殺したくなる。殺してやりたい。殺し尽くしてしまいたい。
そう思って、「気色が悪い」と、修練場を後にし、就いた床に呟きました。
異常者なのですよ。気が狂っているのですよ。あんなに優しくしてくれる人達をこんな風に思うなど。優しさには優しさを返すべきであるというのに、私の頭の中は何時も本庄様本庄様と、馬鹿みたいに顔が浮かんできて時には憎くなるくらいで、やっぱりどうしても憎めません。
これもまた身勝手な思いですね。結局は嫉妬なのですよ。私を他所に仲良くしている諏訪さんが羨ましいだけです。気が滅入っているのか、陰鬱な考えばかりが浮かんできてぐったりとします。でもぐったりしているのに想いだけが浮かんできます。
『居なければ』
脳裏に瞬くように声が囁きます。
『誰も、彼も、居なければ。世界にたった二人であれば』
「……ありえません」
『そうとも前提からしてあり得ません。だって救ってくれたから好きなのですから』
「うん」
『じゃあ、誰でも良かったのですか?』
「…………」
『救ってくれさえすれば、誰でも』
「……何が言いたいの」
『
脳裏に女が笑っていました。気色の悪い、生ッ白い肌をした、唇と瞳が赤い女が。
そしていよいよクリスマス・イヴ。昨日は結局寝て過ごしましたが、本庄様にもお見舞いに来ていただきましたし、満足ですね。でも、やっぱり私って気軽に遊べるような仲ではないのかな。なんて思いながら、諏訪さんとライドウ様と私の三人でクリスマスパーティー、とまでは行かぬ、明日のメシアン監視任務を控えた休暇です。私は経験不足で待機ですが。
全く、昨日の不調など嘘のように、ランチにお茶にディナーに、飲み食いをするこの身体が嫌いです。諏訪さんの「ポケモンがさぁ……御坂美琴がさぁ……」って話はよく分かりませんし。何よりライドウ様と同卓に着くと落ち着きません。見られていると思ってしまうのです。幻を暴く瞳、と称されてはいますが、そんな生易しいものではないことは知っています。
ライドウ様の瞳は真実を映します。あれは神仏の顕現なのです。浄玻璃鏡の現れであり、千手の掌の目であるのです。なればこそ、邪悪そのものたる私が恐れるは必定。もっとも、あの気色の悪い悪魔が本庄様に纏わり付かなくなるのは良いことですが。
しかし、歓談に花を咲かせる中にも、懐に気にするのは携帯電話です。ですが分かっているでしょうに。もう私のイヴは終わっているんですよ。なんてふてくされながらネムネムの眠気がうつらうつらと。そこへ本庄様からのメール。慌てて確認しました。
『ミッドタウンのイルミネーションを見に行く約束忘れてたわ。ごメンチ』
えっ!? それってお誘いですか!? やりました!
「……あ、あー! 眠いですね! 申し訳ないんですが、寝床に就きたくなってきました!」って言ったらお二方が帰られましたので、ディナーの可能性を考えて一時間、腹ごなしに召喚した神父相手に毒蛭観音開きをしてから六本木へ。何だかんだ言いましたが、やっぱり本庄様とクリスマスを過ごせるなんて本当に嬉しいです!
時間が遅かったので、銀河のイルミネーションは見れませんでしたが、東京タワーの照明が消える瞬間が見える、はずでした!
「あ、あのですね、東京タワーの照明が二十四時に消える瞬間を見た、か、カップルは、幸せになれるんですって!」
「あっ、お友達じゃない! お久しぶりー!」
二十三時五十八分に大きく見えた東京タワーが戦闘の為に無視され、アリスに毒蛭観音開きを決めて戻ったときには消えていました。
あーあ、私達はカップルじゃなくて、結局私は厄介事を運んでくるだけの陰気くさい女なのですね。その後はヤタガラスの寮に帰り一人寂しく寝支度です。お風呂の後は当然寝るのですが、『馬鹿みたいですね』と頭に声が響きます。本当に邪魔ですね。「知りません。寝ます」と呟いて頭まで布団を被っていると、『
「何を言おうが、知りませんよ」と言ってから、「私は貴方と違い、明日も本庄様と会話できますから」と言うと影を刺激したみたいで『
以前から、猿空間の主には警告されていたのです。宮沢熹一の姿を模したあれは、『才能で押さえ込むだけじゃ何時か限界が来るんだ。悔しいだろうが仕方ないんだ』と言っていました。
『御子ちゃんは自分のシャドウと向き合わなあかん。ワシめっちゃ人の心に詳しいし、手助けでも何でもするで。折角のお客人やし』
『あれは私ではありません。あんな醜いものが私であるはずがないのです』
『恐らくかなり不味い兆候と考えられる。あかんやん。自分を否定したら自分も傷付くで』
ペルソナが自己の一側面の現れであるのならば、シャドウもまた確かに自己の一側面。ヤタガラスの資料から、かつてそれに飲まれ堕ちた人々のことを聞き及んではおりますが、どうしても認めがたく、間違っているとしか思えないのです。悍ましい欲求を解放し、身も心も縋り付く様を晒すなど。そのために何を行おうとも構わないなどと。
ですので私はいつも通り、瞳を閉じて自らの深層に精神を沈めました。内側に瞳を宿し、それを契機として精神を裏返すのです。本庄様に話したところ、『それガイアの奥義じゃん……迷いを切り払って純化してくって奴……コワ……』と言われた思い出があります。
そうやって深く自己を落としていけば、暗闇ばかりが広がる空間に、女が一人佇んでいるのが見えました。薄気味の悪い人形のような女です。それは私の形をしています。もっとも、私から生まれ私に繋がる影であるのだから当然ですが。
『またですか。飽きませんね』
「ニャルラト・ホテプ」
『そうして否定すればするほど、
有無を言わせず<メギド・ラオン>を放ちます。しかし傷付きはしましたが立っています。最初の頃は召喚の余波だけで消え去る程度だったというのに、何十回も繰り返した今では生半可な手段では消えてくれません。それどころか慣れたように、シャドウは嗤って呟きました。
『降魔:ニュクス』
顕現したのは死そのもの。そう見紛うばかりの圧が、変じた私から放たれています。我ながらどういう身体と精神をしているのか、集合的無意識の死の概念を身に宿すとは悍ましい。故に私は二度三度と連続して<メギド・ラオン>を打ち込むのです。
『止めて下さいよ。私は紛れもなく本音でしょう』「そう言うから消したくなるんですよ!」とペルソナを他所に徒手空拳で掴み掛かり、灘神影流の練習の始まりです。魔人の膂力に任せ激しく破心掌を打ち込んでいると、『自分を自分で殺すなんて、本庄様に見下げ果てられますね』「黙れッ!」不意に情けなくて涙が出ました。
「貴方が本庄様の話をしないで下さいっ! 私は今メチャクチャ機嫌が悪いですよ!」
『ふへへ。少しは余裕を持って下さいよ。自らから生まれ出たものに祝福くらい与えたらどうなのです? 鬼龍のように』
「鬼龍はそんな事しません! 解釈違いというものです!」
血みどろのシャドウは痙攣しながら笑みを浮かべます。『まあ祝福なんてなくても、もう少しで完全に成りそうですから文句は言いませんけどねふへへへ』「あーっ何言っているのか分かりませんよ!」『汝を超えた汝に成るという事です』毒蛭観音開きにシャドウが崩れ落ち、消え去ると共に目を覚ましました。既に夜は明けており、朝焼けが部屋に差し込んでいます。
「……最悪のクリスマスですね」
一人呟き、布団に倒れました。二十五日はまたもダウンです。