ネットミーム・デビルサマナー   作:生しょうゆ

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第二十一話 神話・狂気・哄笑・おまんこ!

 

 

 

 エリーは深々と溜息を吐いたが、しかし直ちに笑みを浮かべ、「本庄さんがお望みの者はこちらですよ!」と先を歩いた。

 

 下らないな。何のつもりだよ。胸の出血もいつの間にか止まってやがるしよ。銃弾受けて笑みを浮かべるとかキリスト気取りか?

 

 が、そういう深掘りするの面倒臭そうだな。さっきも下らねえお説教聞かされそうになったし、暫く放っておくか。もう二度も勝ったしな(慢心)

 

「でもさあ」

「はい? なんでしょうか!」

 

 ほら、見ろよ見ろよ。少し会話する素振り見せただけでこの笑みだ。こいつ自分の言葉に自信を持っていやがる。

 

「地球爆発したら一緒にお風呂は入れないよ? ビッグバン!」

「……はぁ」

 

 だから俺は会話なんてしてやんねー! くそしてねろ!

 

 俺は脳内にANNYUI姉貴の名作音MADを流しながら(ゴミクズ)歩んでいく。研究所内の設計は事前に野獣が探り出したとおりだ。今やそこら中で元研究員の悪魔人間と突入してきた黒装束共の戦闘が発生しているが、それを避けるルートを歩んでいく。

 

 謎の地下室へ通じる階段の扉はロックが掛けられていたが、破魔属性を何とかして野獣にガン掘りさせる前にエリーが手を翳した。それで直ちに電子音が響き、扉がするりと音も立てずに開く。

 

 ……なんで所長クラスじゃないと開けられない扉を部外者が開けるんだよ。お前実はメシア教の中でも相当上位の地位だな。

 

 開いた先、階段は何層も下る形となっており、薄暗い事も相まって不気味である。その中をエリーが先導し、俺達が着いていく形となった。

 

「さあ、向かいましょうか! 救われぬ者を救うために!」

「なあ野獣、ワグナスの様子はどうだ? こっちが突っ込んだことは察しているだろうが」

「突入してきた黒ずくめの組織と悪魔人間共とで三つ巴になっていますねえ! でも上手く立ち回ってるみたいっすよ。合流は難しそうっすけどね」

「ふうん? そこら中随分騒がしいし、やっぱり別組織って事か?」

「……私がこの研究所に来た目的はですね、メシアコピーを救済するためなのですよ!」

 

 げっ、コイツ勝手に話し始めやがった。

 

 エリーはくるりとこちらを見つめながら階段を降りるという、実に危なっかしい姿勢で話し始めた。この階段長そうだなぁ。前にこいつが居るから早歩きも出来ねえし、エレベーターがある様子もない。このままじゃ着くまでに随分と下らない長話を聞かされることだろう。突っ切ったら余計面倒臭そうだしな。

 

 ……じゃあここは、ANNYUI姉貴に活躍して貰うとするかぁ!

 

「メシアコピーは、そもそもの始まりからして失敗していたと言わざるを得ません! マルクトからケテルへと、物質から流出へと。メシア・プロジェクトの根幹はそれですが、しかし物質界にある物を掛け合わせたとして所詮は物質。残された遺伝子など、彼らが忌避する肉の意思その物ではないですか!」

 

「淫語百連発シリーズ!(必殺技) おまんこ百連発! おまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこ」

 

「……ええ、ええ。然るべき器を用意すれば、然るべき魂を寄せられる。それは確かでしょう! ですが、悪魔召喚師的な思考です。元来、肉と魂とは対比的な存在でしょう! キリストの復活はこの点において象徴としても現れます。肉、即ち古き悪徳と逸脱を脱ぎ捨て、魂、即ち神に寄り添い生きる霊的な生活を手に入れるということです!」

 

「おまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこ」

 

「……あー、えー」

 

 エリーは言葉の途中で唇を閉じ、頭を抱えるように額に手を当て、「68……69……」と数え始めた。そうして「99……100……!」と再び笑みを取り戻して口を開いた。

 

「ですので! メシアコピーとは肉を重要視しすぎた異端者達の悍ましき悪魔実験であり、私は断じてこれを……」

「ちんぽ百連発!」

「ちょっと待って下さい。まだあるんですか?」

 

 エリーは素面に戻ったようにそう言った。いや実際気持ちは分かる。淫語も連呼すりゃ良いってもんじゃねえだろ。ノンケはこれで興奮するわけ無いだろいい加減にしろ。

 

 とにかく俺がおまんこ、ちんぽ、そして金玉まで!(金玉まで!?) 頑張っていっぱい言っている間に階段を降りきった。近代的な施設の割に随分とアナログな移動方法だな。しかし地下の底、目の前に佇む重厚な扉は明らかにハイテックな代物である。建築費ケチったか?

 

「いや……これは牢獄のようなものだろう」

 

 イーノックが眉を顰めて呟いた。

 

「容易に地下から出られぬよう、わざと出口を狭めているんだ。言い換えれば、この中には逃がす訳にはいかない代物が存在する」

「……きんたま?」

「そろそろ止めてくれサマナー」

 

 まあ言われずともそろそろ正念場だ。クソゲボの聖女候補様を気にしていられる余裕もなくなる。

 

 何せ目の前の扉は神聖な気配に満ち満ちているというのに、その狭間から漏れ出るのは悍ましいほどに醜悪なMAGだ。肉と血を溶かして煮込んだような、馴染みのある雰囲気である。

 

「こういうのはガイアの連中の特権だと思っていたんだがな」

「カオスという意味では同じでしょうね! 或いはアンチキリストとして? もっとも、当人にその意図は無いでしょうが!」

「なあ野獣、朝田おまんこってキャラ考えたんだけどウケるかなこれ? ブラコンビッチで語尾が『おまんこ』な妹キャラなんだけど」

「(ウケるわけ)ないです」

 

 そう言っている間にもエリーが笑みを浮かべて手を翳す。扉が電子音を響かせながら開き始める。薄暗い階段に眩い輝きが差し込み、俺は目を細めた。

 

 まず目に入ったのは透明なシリンダーの列だった。中に胎児を孕みながら円周状に並ぶそれらは、絶えず泡立ち渦巻いて、世にも悍ましき光景を作り出している。

 

 その中心に佇むのは白衣姿の初老の女だ。見覚えがある。資料に添付された研究所所長の顔だ。襲撃者だと気付いているだろうに、妙ににやにやと笑って気持ちが悪い。痴呆か?

 

「良く来ましたね、アンチメシア。神の家に逆十字を背負ったまま訪れるとは、不敬にも程がありますわ」

「生憎、介護用オムツは準備してねえんだ。小便漏らす前に死んどけ」

「薄汚い鴉は口まで汚いときた! だけど安心して良いのよ。神は全てをお許しになる。父なる主に帰依なさい」

「あはは! 貴方が主を語りますか、悍ましきアンチキリスト。貴方が帰依しているのは主ではなく肉でしょうに!」

 

 エリーの言葉にババアは眉を顰め、呆れたように溜息を吐いた。

 

「肉と魂の二元論は凡百の人にのみ適用される概念ですわ。神は言われた。『我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう』と。元来、人という存在その物が神に通じるのです。魂も言葉も精神も、そして肉もね。なれば罪無き肉を生み出せば、罪無き魂、即ちメシア様が降臨なされる!」

「罪無き肉ですか! それは立派な話ですね!」

 

 エリーは笑った。その笑みは明らかに嘲笑だった。

 

「主の瞳を避けるように地下深くに作られたここで、産まれた命が祝福されるかしら? 貴方の理屈は異端者の戯言に過ぎません。肉は所詮、肉に過ぎませんよ」

 

「ならば何故キリストは産まれたか! 肉が絶対的な罪の象徴であるのなら、何故キリストは肉の身体を纏ったか! 人が人であるに肉と魂は不可欠。そして両者は互いに分かちがたく引き合う物である。聖なる肉という概念は神の子が既に証明なされたのですわ」

 

「ちくわ大明神」

 

「あら! なら貴方は完全な人間を作ろうというのですね! それで? これは何でしょうか? 上手く行っていますか? 冷たい機械の中に人の肉を詰め込んで、それで聖母を気取っていて? アダムとイブに至るのは何百年先の話でしょうね!」

 

「何百年先であろうと! これは人類の命題ですわ。善性を失い愛を欠く穢れた現世の人類に、たった一つの希望として我らは神を望むのです!」

 

「それこそ無理難題という物ですね! 仮に穢れ無き肉が産まれたとして、アダムとイブに同じく知恵の実を欲するは必須。それとも貴方、命の木に置かれたと同じく、回る炎の剣を気取るつもりで? あはは! 無意味! 無意味なる涜神! 貴方のやっていることは全て邪悪!」

 

「黙れアンチメシア!」

 

「黙りなさいアンチキリスト」

 

「突っ込めよ誰かぁ!」

 

 俺は宗教なんかに興味ねーんだよ! 意味不明な会話繰り広げてんじゃねえぞ!

 

「と言うわけで野獣、<ムドダイン>な」

「おっ、そうだな。終わりで良いんじゃない?」

 

 ブッチッパ! と余裕げなババアの顔面に特大の呪詛をぶち込んでやる。それでババアは死んだ。勝ったッ! 第二十一話完ッ!

 

「まあ復活するんだけどね、本庄さん!」

「は?」

 

 エリーが笑ってそう言うと、その言葉通りにババアは蘇った。えぇ……(困惑)。ババアゾンビとかB級映画にも程があるだろ……。

 

「肉に罪がないとは言ったものですね? 意思なき彼らに機械仕掛けで<サマリカーム>を使わせる。成る程、なれば彼らの意思たる貴方には罪が溢れ、濯ぎようもないと!」

「メシアの母たる私を殺すなど、決して許されぬ罪ですわね! このアンチメシアが! 天に代わり、私が裁きますわ!」

 

 ババアがそう言うと同時に、室内にMAGが回転し奔流する。召喚か! いや、同時に合体までも……! しかしこんなババアと合体させられるとかいくら何でも可哀想すぎるだろ。

 

 だが、哀れな天使君を気遣う余裕など無かった。何せ室内に渦巻くMAGは尋常な物では無い。

 

 赤子らは声もないのに噎び泣き、母親を求めるようにMAGを叫ぶ。シリンダーは悍ましく泡立ち沸騰し、苦痛と共にMAGを産む。

 

 その流れはただ一カ所、ババアの下へと向かうように調整されていた。

 

 室内が光輝に満ちて……さあ、出やがった。

 

[天使:パワーが 二体 出た!]

[悪魔人間:ガブリエルが 出た!]

 

 アナライズ……パワーの方はそれぞれレベル40。ガブリエルは……65……思ったほどでもねえな(麻痺)

 

 いや、思わず低いなと思っちまったが、たかが儀式一つで至るには異常な強さだ。それに俺達よか強いのは確かだし、何よりパワーの方は衝撃と呪殺が弱点だが、ガブリエルには弱点がないどころか、火炎、氷結、電撃無効で、破魔反射というカッチカチだ。

 

「冗談じゃねえぞこんな大天使が出てくるとか! てめえガブリエルって面かババア!」

「私は受胎を告げる者! 私は死者を蘇らす者! 今まさにメシアは再誕する!」

「イーノック! 矢面に立てぇ!」

「大丈夫だ、問題ない!」

 

 ババアが開口一番に放った<マハンマダイン>をイーノックが堰き止めている隙に、野獣を一旦COMPに戻す。あーヤッベギリッギリ! 野獣がこの場で一番早く動けなかったら落とされていた。

 

「だがおかげで無傷だ! イーノック、<メギドラ>! クソッタレ聖女も何かしろや!」

「ええ、分かっておりますとも! ですが哀しいですね? 神は何のために言葉を授けられたのか!」

 

 イーノックの万能魔法は確実にダメージを稼げる。しかしエリーが放った魔法は<ジオンガ>、電撃属性だ。これじゃあパワー共を殺しても後々戦力にならねえ!

 

「デバフが必要だな。野獣の切り時を考えて……まずは<蠱毒皿>!」

「汚らわしい鴉が! 天使様をかように扱うなど!」

 

 呪詛を含んだどす黒い皿というか壺をぶん投げれば、<ムドオン>の代わりとなって、今まさに襲いかかってきたパワー共を塵に帰す。しかし直ちにババアが動き、破魔属性が効かぬと見て<マハブフダイン>を放ってくる。

 

「死になさい! 我らがメシアのために、千年王国のために!」

「寒いし痛いし苦しいんだよぉ!(全ギレ) イーノック、<暗夜剣>使って物理で責め立てろ! 使えねえ聖女候補様は窓際行ってシコれ!」

「出来ませんよ! <メディア>!」

「回復も使えるとか思ったより強いじゃねえか!」

 

 だが、嬉しい情報だ。これならばよく働くだろう。故に突ける。レベル65だろうと殺せる!

 

「だから……<魔反鏡>を食らえ~~!」

「なっ……<マハブフダイン>……! ちいっ……!」

「ざまあみろボケェ! イーノック、<メディア>!」

「……成る程な。大丈夫だ!」

「あはは! 分かりました! <メディア>ですね!」

「小賢しい事を……!」

 

 <メディア>重ね掛けでほぼ完全回復! まあそのために一枚しかない魔反鏡を使ってしまったが、これで良いんだ。

 

 悪魔人間になったババアだが、先程から見るに、近接戦闘はゴミって感じだ。そりゃそうだ。ガブリエルに近接戦闘の逸話なんてねえし、元はただの研究者でいきなり戦いが上手くなれるか。見るからに魔法タイプだしな。

 

 故に近接はイーノック一人で足止めできる。魔法が怖いが、二重の回復魔法でリカバリーが可能だ。そして恐らく相手の頭には、今の魔法反射が残っているだろう。

 

 だからこそ、相手の手が読める。

 

 イーノックが剣戟を重ねつつ、部屋の隅へとババアを追い詰めていけば、不意にババアはにやりと笑った。その身にはMAGが満ち、再び胎児共が騒ぎ出す。

 

「召喚──天使:パワー様!」

「切り時だ! こっちも召喚:マナツノヨルノインム! 野獣、<マハムドダイン>!」

「おかのした!」

「なっ……!?」

「あはは! 哀れですね! 無様ですね!」

 

 ライドウのパクリ戦術により、ババアが味方として召喚した天使共は何も出来ずに塵に帰った。当然、ババアにも呪詛が襲いかかる。弱点では無いとは言え、呪殺は天使にとって相当キツいはずだ。

 

 だからこそ、今までの流れは崩れる。天使召喚をするのにも、MAGの再充填に時間が掛かるだろう。余裕がありゃ毎秒やってるだろうしな。

 

 そして、そんな隙はもう与えねえよ。

 

「野獣、お前は<マハタルンダ>と<マハラクンダ>を唱えるための円盤になれ! イーノックはとにかく物理!」

「ウッス! 新テク締め技開発!」

「大丈夫だ、問題ない!」

「私には何も無いんですか? 本庄さん!」

「窓際行って……シコれ」

「だから出来ませんよ! 一応<メディア>!」

 

 あまり意味のない回復を受け、イーノックが連続して剣を叩き込めば、ババアは息を切らしてモロに受ける。おばあちゃん運動不足ですよ(嘲笑)

 

 だからこそ、野獣のデバフを止められない。相手が魔法を唱える前に二重三重と攻撃低下、防御低下を重ねられる。そして、ババアが這々の体で何とか距離を取ったその瞬間、俺はCOMPを操作した。

 

「このっ……! こんなっ……! 地獄に落ちろ神の敵! <マハンマ──」

「送還:マナツノヨルノインム!」

「はっ……?」

 

 安易な打開策に縋りやがったな。距離を取った時点で何するか自明だってはっきりわかんだね。大人しく氷結魔法唱えてりゃ、こっちの動きも鈍ったかも知れねえのにな。

 

 野獣がCOMPに戻ったことにより、こちらは無傷。直ちにイーノックは距離を詰め、二撃三撃、連続して剣を叩き込む。その間に俺は再びCOMPを操作した。

 

「召喚:マナツノヨルノインム! ジュセ、頼むぜ」

「もう大体終わっとるやん」

「そうだよ(肯定)。だけど見ろよ見ろよ、あのババアの顔をよお」

 

 イーノックの猛攻にゴリゴリ生命力を削られているババアが、再召喚された野獣を見て絶望の表情を浮かべた。無様だな。ねねね、どんな気持ち?

 

「散々神だのメシアだの上から目線で言ってた奴が、ボロ雑巾みたいになりながら死んでいくとか、どんな気持ちなんですかね?(嘲笑)」

「ああ~いいっすね~~! サマナーってやつは結構鬼畜だな、隊長?」

「このアンチメシアがっ! 邪悪! 邪悪そのもの! 神の敵はここで私が……っ!?」

 

 ババアが叫びながら魔法を放とうとしたその時、イーノックがババアの身体を切り裂いた。青色の輝きを散らしながら、剣は赤色に塗れ、尚も神聖に輝いている。

 

「……人は辛いことを知るために生まれ、そのことを考えるために生きている」

「え、エノク様……! エノク様であれば、私を……!」

「……だからこそ、人の意思を、選択を、奪い去った君は、神の敵に他ならない」

 

「それだけは確かだ」と、イーノックはそう呟いて、ガブリエルを引き裂いた。

 

 ババアの死体は地に伏した。その身体からは最早神聖な気配は感じられない。ガブリエルは消滅し、悪魔人間はただの肉となった。

 

「だから終わり! 閉廷! ぬわああああああああん疲れたもおおおおおおん!」

「ビール! ビール! 冷えてるか~~?」

「家でバッチェ冷えてますよ。早く帰って酒盛りしなきゃ(使命感)」

「……そうだな。一番いいのを頼む」

「イーノックもか? 珍しいな」

 

 まあそんな事を言いながらも野獣は手早くシステムをダウンさせ、COMPに情報を抜き取った。俺も紙の資料を見つけ、これで仕事は終わりである。

 

 ……しかし、エリーはぐるりと胎児達を見つめて笑った。

 

「ありがとうございます、本庄さん。これでやっと、始められます」

「……そういや殺すんだった。よし、そこに土下座して頭差し出しな」

「あはは! 暴力的ですね。ですが単純明快ですね! 少なくとも、神の味方を嘯き涜神を繰り返すよりは、ずっと好感が持てます」

「お前に好かれたって嬉しくも何ともないンだわ」

「悲しいですね! とても、とても。だって皆、私のことをこんなに好きで居てくれるのに」

「は? 自意識過剰……っ」

 

 俺は言葉を中途で止め、エリーに拳銃を突き付けた。明らかに状況がおかしかった。

 

 主が失せた室内に、新たにMAGが渦巻き始めている。胎児達が鳴いている。声を上げて手を伸ばしている。彼ら彼女らの意思とMAGとが、部屋の中心に佇むエリーの下へと集まっている。

 

「救済を。救世ならぬ救済を。神の鎚が振り下ろされん者共を救うため、私はここに居るのです」

「産まれ得ぬ赤子達よ、貴方達を救う者は私です」

「私、エリーザベト・トールマンです!」

「──では、救済を始めましょう!」

 

 そう言ってエリーは、何故か知らんが法衣を脱ぎ始めた。

 

 ……お前メシアンの癖に痴女なのかよぉ!?(驚愕)

 

 

 

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