ネットミーム・デビルサマナー   作:生しょうゆ

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第十四話 んにゃぴ警察だ!

 

 

 

 

ライドウ「イキスギィ! イクイク! ンアーッ! 枕がデカすぎますね!」

 

諏訪さん「ライドウ様! 淫夢はもうお止め下さい! ヤタガラスでは淫夢ごっこは恥ずかしい事なのですよ!」

 

ライドウ「おっ大丈夫ですか大丈夫ですか。バッチェ冷えていますよ~~。淫夢は超国家的に流行しているってはっきり分かりますね~~」

 

諏訪さん「お止めくださいと言っておりますよね!」(バン!)

 

ライドウ「は? なんですかその態度」

 

諏訪さん「えっそれは……(困惑)」

 

ライドウ「では……死にましょうか」

 

諏訪さん「アーイク……!」(チーン)

 

 こうして淫夢厨と化したライドウを誰も止める事が出来ず、ヤタガラスは淫夢厨のすくつになったのだった……。

 

 

 

 そんな未来を俺は一瞬の内に予見した。やはりヤバい(分析)。俺のせいで国家鎮護の退魔組織が大学の陰キャサークルみてえになっちまう! 子々孫々まで祟られること請け合いじゃねえか。

 

「これどうすんだよなぁ! お前の(言葉の)ボールが飛んで来てよぉなぁ、全部メチャメチャになってんだよなぁ!」

「えっ私!? 私が悪いんですか!? さっきまで坂上様もRTAについて話していたではないですか! というかお前の存在その物が例のアレでしょうが!」

「俺はただゲーム実況について話していただけっす。疚しいことは何も無いっす」

「よく言うよ。たまに肉おじゃ語録使ってくる癖に」

「ハララララァ……(冷や汗)」

 

 互いに責任を押し付け合う人間の屑達(確信)。だが、何をするべきかを俺達は暗黙の内に了解していた。即ちライドウを淫夢から引っぺがすこと! こいつ電子機器とか流行とかに死ぬほど疎いから何とかなんだろ!

 

 とか思ってたら器ちゃんが急にぱち、と手を叩いて自慢げに言った。

 

「あっ、私『いんむ』に心当たりがあるんです! 本庄様が大好きな映画ですよね。連れている悪魔をそう説明しておりました!」

「ふうん? そんな事が。しかし……にこにこどうが……? びぃびぃそざい……? 電子情報になったホモは人間じゃない、人間の形をした素材だ……?」

「……あれ? 違うんですか? ◇この違和感は……?」

 

 器ちゃんは自信満々に言ったのが外れ、不安そうに俺を見つめた。対して淫夢厨の二人はゴミを見るような目で俺を見つめた。

 

「貴方そんな事を思ってたんですか(ドン引き)」

「人間の屑っすね。当然のように嘘を吐くのもクソっす」

「今は俺の屑さに引いている場合じゃねえだろ! というかお前らも同じ穴の狢じゃない!」

 

 やべぇよ……やべぇよ……。このままじゃ頭の中公開オナニーじゃねえか。折角器ちゃんに誤魔化したのがバレちまう。さっさと適当に説明しなきゃ(迫真)

 

「よおし! いいかライドウ、教えてやる。淫夢って何? インターネットミーム? 野獣先輩? 調べてみました!」

「クソキュレーションサイト止めなさい」

「分かりませんでした! いかがでしたか?」

「死になさい(半ギレ)」

 

 まあ冗談はここまでにしといて(大嘘)、俺は努めて真面目くさった顔を繕い、「真夏の夜の淫夢を、お前に教える」と重々しく言った。

 

 坂上さんは諦めたように溜息を吐いていたが、諏訪さんは『うわぁこいつシャンカーかよ死ね』って顔を浮かべていた。思ったよりも結構浸かってんなお前な。

 

「まず、淫夢とは……何か(ネットリ)。答えは成人向けホモビデオです(直球)。インターネットにはそのビデオを素材にして映画や音楽を作る人達がいます。怖いねぇ~~」

 

「……映画ではないんですか? 本庄様は私に嘘を吐いたんですか?」

 

「や、野獣先輩とは、その中の登場人物です。それが何故か悪魔になっています。むらさきカガミとかカシマレイコみてえなもんだな。いやいや、おかしくない? そこで俺は……」

 

「嘘を吐いたんですね。へえ……こんな事が許されて良いんですか?」

 

「や、野獣先輩は、怪異には全く似ていません! 最近、田舎で八尺様やらくねくねやら見たって話もあるしよ、近年になってネット由来の悪魔の増加が……イーノックもそうだし、あのけてる云々も……俺はこれを論文にして業界への警鐘に……」

 

 よおし、このまま近年の退魔業界の問題へと誤魔化せ! 論文なんて全く書く気もないけどさ。しかしさっきから器ちゃんの視線が痛い。『面白い事を言うなぁこの蛆虫は』とか言いそうな目をしている。

 

「……ああ、成る程、分かりました」

 

「本庄様は嘘つきを超えた嘘つきですっ」と怒っている器ちゃんを横目に、ライドウが僅かに首を傾げつつ言った。お、おま……分かっちゃった?(絶望)

 

「『淫夢』とは、娯楽ですね。少々特殊な代物ですが、人口に広く膾炙し、楽しまれているという点では変わりません。何故ここまで熱狂的なのかは分かりかねますが……もっと面白い物もあるのでは? 何故、一般的な映画や音楽ではなく、同性愛者の男性向け成人映画に、ここまで関心を?」

 

 えっそれは(困惑)……そ、その…………。

 

「貴方の頭の中から様々な物を覗き見ましたが、それらが基本的に個人での活動だというのは素直に驚きました。しかし、その情熱を他に向ければ、より生産的な活動が出来たでしょう。何故、名前も知らぬ個人の肖像権を侵害しながら、ここまで?」

 

 …………す、スゥーーーーーー……フゥーーーーーーーーーーーッ…………(震え声)

 

「理解に困難ですね。手間も時間もかかるでしょうに、何故、わざわざ『淫夢』で創作活動をなさっているのでしょうか?」

「ん、んにゃぴ……(め そ ら し)」

「ああ……ふふっ。んにゃぴ警察です」

 

 そ、そげなこと言われても……たぶん世界七不思議の一つじゃない? 実際、俺も何でなのか全く分かんねえし。誰か助けてくれ(唐突な本音)

 

 結局、ライドウに全てをその様に総括されてしまって、人間の屑共(俺含む)は今更ながらに『何やってんだろ……』という顔を浮かべることになった。さっきから器ちゃんはげしげしと下段に蹴りをかましてくるが、何かもう、反応する余裕もなくて……何なんですかね?(哲学)

 

 しかしライドウは謎に上機嫌である。怖っ。お前が笑ってるとボコられた時の事を思い出すからやめてくれぇ?

 

 取りあえず心の傷を流しますね……しつつ、そういや面倒臭い物を抱えているんだった。丁度良いからライドウに押し付けてその代わりにまた何か貰おう(紛うことなき屑の思考)

 

「ライドウ、何か良いもの持ってんだろ? くれよ……」

「薄汚い乞食が居ますわね……。阿多様、こんなところ(直球)からさっさと出ましょう。ここに居たら鼻が曲がります」

「お前人のこと言えた口か?」

「いえっ! 待って下さい! あ、あの……それって……!?」

 

 諏訪さんに手を引かれながらも、器ちゃんは目を丸くして俺がぷらぷら揺らしている管を指差した。人に指を向けるとかどんな教育……うん。そういう冗談言っちゃいけないよね(真顔)

 

「……ふうん。それが例の、二代目葛葉キョウジが従えていたという悪魔ですか」

「何でお前が持ってるんすか? お前、あいつら以外の悪魔使えねえっすよね」

「貴族共はそんな事知ったこっちゃなくてよお。ゲイリンにも『お前薬でもやってんのか?』って目で見られるし」

 

 なんかキョウジを打ち倒した勲章にして褒美だとか何とか言われてそのまま預けられたんだよ、Lv72のヴィシュヌ。殆どの奴が使えねえだろこんなの。

 

「一度ダメ元で召喚したらぶっ殺されそうになった(半ギレ)。俺の事を邪悪邪悪言いやがるし、こんなんいらんわ」

「いや、あの、本庄様っ? なんで、だって、その悪魔……私達の……」

「えっ、器ちゃん欲しいの? あのクソ野郎が使ってた管だけど」

「ムカつきますね……殴りたいですね……ぶっ壊してやりたいですね……!」

「どっちだよ」

「欲しいようで欲しくないということです!」

「……ふふ」

 

 器ちゃんが謎の反抗を決めている間に、ライドウがすうと手を伸ばし、俺の指先から管を取った。「あっ」と器ちゃんが声を上げるが、管は奴の指先にくるくると軽やかに弄ばれ、そのまま懐に仕舞われた。か、かっこいいタル~~!(素直)

 

「阿多ではヴィシュヌと相性が悪いでしょう。だから私が貰いました。いけませんか?」

「……別に管みたいな物、悪魔を封じるだけの道具ではないですか。何をムキになっているんですか」

「ちょ、ちょっと阿多様? その、先程から気になっていたのですが、言葉遣いが……」

「タフちゃん(直球)」

「んふっ……ではなく! お前の影響ですかチー牛!」

「はあ!? 食ったことねえし! 俺が好きなのおろしポン酢牛丼だし!」

 

 つーか器ちゃんのマネモブ化に関して俺は一切関与してねえかんな! なんか集合的無意識がタフに冒されていてその影響をモロに受けただけだかんな!

 

 ……言ってて何だコイツって感じだな、この説明。

 

「……ちーぎゅう? 淫夢ではないのですか? ふうむ……」

「あっそうだ(話題逸らし)、おいライドウォ! さっさと礼を寄越せよ。あくしろよ」

「礼を弁えない人間の屑ですねこの野郎……」

 

 もうあんた隠す気がねえな、と諏訪さんの罵倒に思いつつ、しかしライドウが「では、これを」と差し出した謎の物体を前にして俺は困惑した。

 

 それは人形のような、生きているような、人の顔に無数の指が手足のように絡み付いた奇妙な物体だった。

 

「……なにこれ?」

「ドリーカドモンと呼ばれているそうです。貴方の悩みは仲魔を増やせないことでしょう? その解決策となるかも知れません」

「これがぁ? これで俺のインターネットオーラ(バトルチップ)打ち消してくれんの?」

「私も詳しいことは知りませんが、これに悪魔を合体させれば、造魔と呼ばれる命令に従う悪魔が作成できるらしいですよ」

「それマジ!?!?」

 

 俺は思わず椅子から立ち上がってライドウの手からドリーカドモンを引ったくった。これさえあれば、もう野獣ママにチンポをシコシコさせる必要も無くなるって訳だ! ライドウはなんて素晴らしい物をくれたんだ。こいつ聖人か何か?(熱い掌返し)

 

「あー! おぅううっす! おーっ! うーっす!」

「どうせ完成したその瞬間に自害するのがオチっすよ」

「夢壊すこと言うんじゃねえよ肉おじゃ! じゃあ早速、業魔殿に……は遠いから後にするとして、なるべく良い素材(直球)を集めなきゃな!」

 

 何故アプリで合体させないかと言えば、俺のCOMPには普通の悪魔が一体も居ないし、無理矢理突っ込めばその瞬間に消滅するからだ(半ギレ)

 

 そのため、現世に召喚された状態で合体させる必要がある。別にヤタガラスのサマナーから金で買っても良いのだが、どうせ合体させるなら良い素材を使いたい! 金で売られる悪魔なんて捕まえたばっかの奴とかそんなんだしな。

 

「よしライドウ! ヴィシュヌ返せ!」

「嫌です。もう私のものです」

「じゃあ坂上さん、どうせ使ってねえんだからビシャモンテンくれよ!」

「家伝の悪魔を手放すわけがないっす。同じ理由でもう一体も無理っす」

「なら諏訪さん! ミシャグ……」

「死にたいんですか? これ本気で言ってますよ」

「……マジで亡くなりそうだから止めときます(震え声)」

「あ、あの……」

 

 糞が。こんなにデビルサマナーが居るのに全く役に立たねえ。「あのー……」こうなりゃゲイリンにゴマすって「私が居るじゃないですかよえーっ!」ファッ!?

 

「えっ……器ちゃん?」

「私! 私が居るじゃないですかっ」

「……ああ、阿多はそうでしたね」

 

 急に大声出されたからびっくりしちゃった(小並感)。だけど器ちゃんって悪魔持ってねえじゃん。だから頼まなかったんだし。くれるなら貰うけど(乞食)

 

「……私、悪魔召喚できますよ。合体もいけますしね(ヌッ)」

「あっ、そっかぁ!(納得)。器ちゃんは……器ちゃんだった!」

「えっ阿多様、こんな馬鹿げた事のために力をお使いに……?」

「マジすか。噂の混沌の杯が見れるんすか」

 

 器ちゃんマジ器ちゃん(死語)。産まれながらにしてそう在るように作られた器は、混沌と同化することによって歩く召喚器兼生体悪魔合体プログラムと化したのである。クソチート(褒め言葉)

 

 流石に危ねぇってんで場所借りて、「いや監視役として安全を期した上で……」「俺とライドウが居る以上の安全があるっすか? いやあ面白そうっす」「えぇ……(困惑)」とのことで確認ヨシ!

 

「じゃあ早速頼むぜ器ちゃん! まともな仲魔を早くな!」

「はいっ!」

 

 器ちゃんはやけに気張っており、何やらライドウの方をチラチラ見つめながら「しゃあっ」と気炎を吐いている。そいつに対抗しようとしても何にも良いことはないってそれ一。

 

 しかし流石に凄まじいな。召喚陣も何もないってのに、意思一つでMAGを渦巻かせ、現世に穴を開けようとしている。儀式も贄も代償もなく、そう願うだけで悪魔を召喚出来るとか、本気で各組織が欲しがるだろう。

 

「凄い量のMAGが集まってきています……その数、五百億(詠唱)」

「よしよし、いいぞ……きっと完璧で究極の悪魔が……!」

「では……[邪神:月に吠えるもの]を放てッ!」

「う あ あ あ あ あ あ!?(PC書き文字)」

 

 器ちゃんの目線の先、虚空に出現したのは顔のない邪神であった。チィッ! なんだって月に吠えるものなんか出てくるんだよ!(カッ カッ) 1d100でSANチェックだ!

 

「うわぁ……それ召喚ってか殆ど眷属みてえなもんじゃないすか。悍いっすね」

「私が召喚した月に吠えるものが本庄様を支える……ある意味"最強"です(詠唱)」 

「えっ、それマジで合体させるつもりなの? ……えっ、俺そいつを仲魔にすんの?」

「肉の身体を持ちなさい……鬼龍のように!(詠唱)」

 

 その言葉と共に、月に吠えるものが苦悶の声と共にぐしゃぐしゃ音を立てながら縮み溶けていく。物理的に握り潰されてるんじゃねえのこれ(震え声)。どろどろに溶け落ちた肉体が向かう先はドリーカドモンであり、濃密なMAGが絡み合う中、今まさに両者は合体を……。

 

「……死にましたわね。……うぉえっ(吐き気)」

「死にましたね。合体はしたのですが、ドリーカドモンが貴方と契約していることに気が付いた途端、自害しましたね」

「だぁから言ったじゃないっすかぁ」

 

 坂上さんがゲラゲラ笑いながら囃し立ててくる。ふ、フザケンナ……! あんな邪神まで俺を拒否するのかよ! そんなにインターネットが嫌いとかお前ら全員老害か! ご丁寧にドリーカドモンも残ったままだしよぉ……。

 

 しかし器ちゃんだけは信じられないような顔を浮かべた後、キッと虚空を睨み、再び召喚を始めた。

 

「ま、待って下さい! まだ月に吠えるものが耐えられなかっただけで、本番はこれからではないですか! 次は[邪神:チクタクマン]でも……!」

「邪神ばっかかよお前ん家ィ!」

 

 そこからまた機械仕掛けの悍ましい邪神が現れては死んでいき、次に現れたクソデカ膨れ女も死んでいった。また、顔のないスフィンクスと黒い肌の神父もMAGを巻き散らかして死んでいき、真っ黒の仏は「不遜っす」という言葉で坂上さんに切り飛ばされた。

 

「いやいや坂上さん、折角頑張ってんだから邪魔しちゃいかんでしょ」

「これ以上やっても無駄っすよ。つか、邪神召喚しすぎて異界化しかけてるっす。もう止めとくっすよ」

「……それもそうか」

「なっ、い、いえっ! まだ私は!」

 

 器ちゃんはぜえぜえ息を吐きながら、尚も力強い目で俺を見上げた。頑張ってくれたのは嬉しいけど、器ちゃんに協力して貰ってもまともな仲魔が出来ないとか、哀しき現在……(おセンチ)

 

「つー訳で、つべこべ言わずに(休憩に)来いホイ!」

「で、ですがっ……こんな筈ではっ。私はただ、本庄様に……」

「ま、多少はね?」

「ですが……!」

「ま、多少はね?」

「いや、あの……」

「ま、多少はね?(ごり押し)」

「説得するのが面倒臭いからって繰り返すんじゃねえすよ」

 

 チッ、バレたか。

 

 結局、ドリーカドモンはポケットの中に腐らせることになった。捨てねえの? って思われるかも知れないが、どっかで何かの役に立つかもしれんでしょ(貧乏性)

 

 だけど器ちゃんも気にすることないのになぁ。俺がジュセのせいで無茶苦茶な属性になっちまってんのは今更な話だし、そんな「もっと力を……」なんて思い詰めた顔で呟かなくても良いのにな。

 

 ……このままだとよく分からないフラグ立ちそうだし、プレゼントでもしてやるか! しょうがねえなあ~~。

 

 

 

 

 

 翌日、器ちゃんは修練場にて身体を動かしていた。赤色のジャージ姿と実に芋い格好だが、素人でも流石は魔人、鮮やかな動きを繰り広げ、その流れは瞬く間にも洗練されていく。

 

 それに対峙するのは彼女が召喚した黒い神父である。『何で自分が戦っているんだろう』という顔を浮かべながらも、しかし腐っても邪神の化身である。非人間的な動きで器ちゃんを翻弄していく。

 

 神父は神速のタックルを仕掛けた器ちゃんに対し、ぬらりと蠢くように足を滑らせ回避する。そのまま神父が振り向きざまに腕を振るうが、しかし、その動きに絡み付くようにして器ちゃんが背後を取った。

 

「いけーっ淫売の娘!」

「おい、ホモガキ」

「なんすか諏訪さん」

「昨日、阿多様がとても嬉しそうに贈り物を貰ったとおっしゃっていたのですが、何を贈りやがりました?」

「高校鉄拳伝タフ全巻」

「影響されまくっているじゃないですかよえーっ!」

 

 そう、昨日落ち込んでいた器ちゃんに中古で買ったタフ全巻(なるべくやめようね!)を贈ったら大層喜んでくれた。のみならず自分から格闘技をやってみたいなどと言うものだから、器ちゃんってば影響されやすい子だね。

 

 ともかく状況は器ちゃんの有利である。彼女は神父の動きに合わせて背中に絡み付き、自ら倒れ込むような姿勢でニマ~~と変な笑みを浮かべた。ほー、上手いじゃん(適当)。柔道だと一本取られてそうだけど。

 

 だが、ふと器ちゃんは右膝を神父の背中に滑り込ませると、指を肋骨部分に突っ込み、無理矢理神父の腹をかっ開いた。えっその技は……(困惑)

 

「んかあっ! "毒蛭観音開き"!」

「ゴボエッ……!? な、何故私が、この様な目に……」

 

 器ちゃんの手によりアジの開きみてえになった神父は、流石に身体の構造が人間ではないにしろ耐えきれなかったようで消滅した。えぇ……何でよりにもよってその技を……?

 

「おい、タフガキ」

「……なんすか諏訪さん」

「お前、阿多様にタフで一番好きなキャラ、誰って言いました?」

「ちょ、朝昇ォ……」

「お前のせいじゃないですかボケ!」

「ん、んにゃぴ……(目逸らし)」

「あっ!」

 

 と、そこで急に、技が上手く行って「しゃあっ」と呟いていた器ちゃんが慌てて駆け寄ってきた。せめて血を落としてから来てくれよ(懇願)

 

「あのっ、本庄様! 今何と言いましたかっ」

「え? んにゃぴ?」

「はいっ! んにゃぴ警察です!」

「おい、ボケカス」

「遂に単なる罵倒になったんですがそれは……」

 

 ま、まあ、誰だって漫画の技を真似してみたい時期なんてあるでしょ(適当)。このまま器ちゃんがタフちゃん(真)になるわけじゃなし……。

 

 ……ならないよね? 何か変なフラグを折った代わりにもっと変なフラグが生えた気がする。『私は灘神影流の技術を全て受け継いだ正統後継者です』とか言い出して、ド級の猿展開を始めそうで怖いんだけど(震え声)

 

 

 

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