Switch 2にアバターの映像を映したいときに読むnote
Switch 2にアバターの映像を映したいときに読むnoteです。Switch 2でUSBカメラの映像が受け取れるのを活用しています。
※2025/06/07追記: Elgato Cam Linkが認識できない原因が解像度+リフレッシュレート+データ形式のラインナップ由来かも…ということを何箇所かに追記しました。
注意
本noteの内容はゲームでズルをするために使うのは一切推奨しません。害のない範囲で活用してください。
Switch2の今後のアップデートによって本noteの内容はウソになる可能性があります。このnoteは国内専用Switch2で検証しており、初出荷のほぼ直後(2025/06/06)に書いていることに留意してください。
あとから食い違っている情報が出てきた場合、あとから出てきた情報のほうがたぶん正しいです。
ゴール
noteの記事およびサムネイルにもあるように、Switch 2のUSBカメラ入力としてPCで表示したアバターの映像を映すのがゴールです。
とくにゲームチャットで実写の代わりにアバターを映したいときの取っ掛かりになれば…というモチベーションでやっています。
逆にマリオパーティなど、カメラを使ったゲームをアバターでやることの実用性については本noteの時点では踏み込みません。そもそもこのnoteの時点では未発売ですし。
前提
このnoteで紹介する手順の前提として、PCモニターのどれか1つに対して全画面表示でアバターを表示できることが必要です。タイトルに半ば反しますが、このnoteではアバターの表示手段そのものは何も説明しません。
もし手元にアバターの表示手段がない場合はパッと試せる方法がいろいろあるので、好きなものを使って下さい。
Kalidoface を使う
私が作っている VMagicMirror で3Dアバター(VRM)を映す
VRChat や cluster 等の画面(の一部)を切り取って表示する
また本記事はWindowsを想定しています。Macを使っている場合はディスプレイ設定の説明などは適宜読み替えて下さい。
では、アバターが映せる状態になった…という前提で続けます。
要約
ポイントは下記の通りです。
前半: やり方編
HDMI出力をUSBカメラ入力として変換できるデバイス(以下、キャプチャデバイス)を用意して、PCの画面出力をUSBカメラとしてSwitch 2に認識させればよい
ただしキャプチャデバイスによってはSwitch 2がカメラとして認識しない
高いデバイスならOKとは言えず、むしろ安物のキャプチャデバイスのほうが相性は良さそう
後半: 調査編
Switch 2 はUSBカメラを標準的な規格である UVC(USB Video Class) として認識してくれる
手元ではUVC 1.0のキャプチャデバイスはSwitch 2から認識され、UVC 1.1のデバイスは認識されないという観察を得ている(n=3)
UVCの互換性等も踏まえると、Switch 2はUVC 1.0だけサポートしていると予想できる
次のセクションでは早速キャプチャデバイスを使った手順について書きます。
よくわからない場合 & とくにこだわりがない場合、このツイートで紹介されてて私自身も動作確認した下記デバイスを買うことを検討してください。同じくらいの価格帯(~3000円程度)なら他の製品でもうまく行く可能性はそこそこあります。
前半: やり方編
前述したようなキャプチャデバイスが手元にある想定でセットアップ方法に進んでいきます。
配線とモニター出力の設定
デバイスの配線は以下のようにします。
PC本体のHDMI出力端子
↓
HDMIケーブル
↓
キャプチャデバイス
↓
USB出力
↓
Switch2のUSB端子
Switch2のUSB端子は本体のUSB Type-CでもドックのUSB Type-Aでも行けるようですが、片方をやってダメならもう片方も試すとよいです。
配線ができると、PCから見てキャプチャデバイスはプロジェクター等と同じような追加のモニターとして認識されます。そうなったらPC側の設定からモニターとして認識された画面の解像度を適当に設定します。
目安としてSwitch 2の純正のカメラの解像度がFull HD(1920x1080)らしいので、Full HDかそれ以下にするのが良さげです。ちなみにパックンフラワーのカメラでは解像度は640x480らしいので、このくらいまで低解像度にしちゃうのもアリです。(※次のセクションで解像度について追加で説明します。)
またリフレッシュレートは高すぎてもSwitch2のほうで活用できないはずなので、もし120hz等になっていたら30~60hz程度にしておくと良いでしょう。
以上のセットアップをすると、Switch 2はUSBカメラ映像としてPCのモニター画面を受け取っている状態になります。そしたらPC側でそのモニター画面に対してアバターを全画面表示します。すると、noteサムネイルにも挙げたようにUSBカメラ映像の体裁でアバターが映るようになります。
Switch 2本体で「設定 > コントローラーと周辺機器 > USBカメラの動作チェック」を開くことでカメラ映像が確認できます。
なお、この画面セットアップをするときPCからは上記の「USBカメラとしてSwitch 2に映すための映像」に何が映っているかが確認しにくくなります。
この問題のもっとも簡単な対策はPC側のディスプレイ設定で画面の複製を使うことです。それ以外だと、OBS Studioでモニター画面のキャプチャを取得して表示してOBS Studioの画面をメインディスプレイから眺める…みたいな方法もアリです。オススメとしてはOBS Studioを使うのが良いです。普段使っているディスプレイの解像度やリフレッシュレートを変更しないで済むメリットが大きいです。
(※OBS Studioの使い方は調べれば出てくるので省略します。)
出力の解像度が思い通りに調整できない場合
最近のPCではモニター出力として低解像度な出力がオプションに出てこないことがあります。この場合はグラフィックボードのプロパティを見に行きます。ただしグラフィックボードのプロパティ変更はそこそこリスクがあるので、注意のうえで操作して下さい。
この詳細設定は端末によって設定がマチマチだそうですが、私の手元だとこういう感じになっています。「モードの一覧」にいろいろ数値が出るので、これを必要に応じて小さくしていきます。
キャプチャデバイスによっては認識されないことがある
ここがちょっと厄介なポイントです。
このツイートに挙げている成功例では サマリーでも紹介したキャプチャデバイス を使っています。ここではSwitch 2がキャプチャデバイスのことをUSBカメラとして認識できています。
一方、このツイート に書いているキャプチャデバイスはSwitch 2から認識されませんでした。
また別の例として、もともとPCに取り付けていた物理webカメラ (Logicool C922n) はSwitch 2から認識されました。
このように、デバイスによってSwitch 2が認識できるかどうかはマチマチです。本noteの後半ではこの点を掘り下げますが、大まかな指針としては
安物のキャプチャデバイスを試すこと。高級品である必要はない!
ただし失敗してもめげないこと!
というのを意識すると良いです。安物がダメだった場合も高級品を買うよりは別の安物にチャレンジするほうがオススメです。「なんで安物のキャプチャデバイスが良いの?」と気になった人は、ちょっと大変ですが本noteの後半も読んで下さい。
ちなみに: Switch 2はアバターの顔も認識できる?
これは当然ながらアバターによります。
本noteの時点では「Nitendo Switch 2 のひみつ展」内のミニゲームで顔認識を使った遊びができるため、顔認識を試せます。
そこで私のアバターである Megumi Baxterちゃん (参考: VRoid Hub) の顔認識を試しましたが、黒肌 + 赤目 + 白髪 + 目がやや大きめという特徴があるためか、顔認識は失敗しました。
一方、もうちょっと実写寄りにした成功例としてVRoidのサンプルモデルA (参考: VRoid Hub) だと認識されることもありました。
ただし認識されることもあるという程度であり、めちゃくちゃ安定していたわけではありません。実際、顔で遊ぶゲームは全然遊べていません。
ということで、アバターの顔が検出できることや表情が認識されることには期待しすぎないほうがよいです。
後半: 調査編 ―キャプチャデバイスによってはSwitch 2が認識しない理由―
ここからは、前半の記事のなかで
安物のキャプチャデバイスを試すこと。高級品である必要はない!
ただし失敗してもめげないこと!
と書いたことの背景を書きます。
この先はニッチな情報のつもりで書いていて内容もやや難しいので、興味があるか、または睡眠導入したいときに読むと良いと思います。
調査の前に: そもそもUVCとは
USBカメラは実質的には UVC (USB Video Class) のことを言います。
UVCの詳細はググって下さい……というのは流石にザツすぎるので、ここではSwitch 2との接続を考えるうえで重要なことだけピックアップします。
UVCは標準規格であり、デバイスがUVCに準拠すればそれが物理カメラであってもキャプチャデバイスであっても、USBカメラとして扱われる
UVCにはバージョンが存在して、基本的には1.0と1.1と1.5の3種類がある
UVCのバージョン値が大きいほど大容量の映像が扱えて、1.5まで行くと高度な映像圧縮もできる
この時点で留意すべき定性的な特徴として、バージョンはただ単に高ければ良いというわけでもないです。例えばUVC 1.5はH264エンコードとかの高度な機能に対応してます。しかし、もともと解像度が低いカメラなら単に非圧縮の映像データを投げるだけでも用が足りるので、UVC1.5だとオーバースペックになる…といった具合です。
(旧) 調査: UsbTreeViewによるUVCバージョンの確認
※2025/06/07追記: このセクションの調査結果はあんまり意味がなくなってますが、資料性のために残しています。「UVC1.0準拠のデバイスなら動くことが多いよ」というのは大筋では間違ってはいないので、ケーススタディとしてご覧下さい。最新情報だけを見たい場合、2つ先のセクションに飛んで下さい。
実際のUSBカメラでもキャプチャデバイスでも、Windows PCに接続してUsbTreeView等のツールを使うとUVCのバージョンが目視できます。
UsbTreeViewのダウンロード方法や使い方は別途調べれば出てくるので割愛して、ここではUVCバージョンのケーススタディを手元にある3つのデバイスについて挙げます。なお、本noteと関係の薄い情報は(隠すほどじゃないものも込みで)適当に黒塗りしてます。
1: 本noteにおいて動作する製品として挙げた コレ の場合: Switch2に認識されます。UVCバージョンは1.0です。
2: Elgato Cam Link の場合: Switch2に認識されません。UVCバージョンは1.1です。
1: 物理カメラである Logicool C922n の場合: Switch2に認識されます。UVCバージョンは1.0です。
(旧)予想: UVC1.0準拠だとOK、UVC1.1以降はダメなのかも
※2025/06/07追記: この説はほぼ棄却されました。資料性を重視して途中を原文のままにしてセクションの末尾に追記を入れてますが、そもそもセクションごと読み飛ばしちゃっても大丈夫です。最新情報だけ見たい場合、次のセクションまで進んでください。
前述の3例を見ると、UVC1.0準拠のデバイスはSwitch 2に繋がり、UVC1.1準拠のデバイスは認識されないという関係性があります。
ということで、ChatGPTに聞いてみました。
上記の会話を受けてのポイントは2つです。
まず1つ目に、これは予想になりますが、Switch 2のOSはゲーム特化なOSなのでカメラ関連の基本的な処理についても不要なところは積極的に削っていると予想できます。とくにリアルタイムな顔認識や人の切り抜き処理では決して4Kみたいな解像度の映像は必要なく、低解像度な入力でよいです。そうなると非圧縮で比較的小さいデータが送れれば良く、UVCの中でもUVC1.0だけ扱えれば十分…ということになってきます。
そして2つ目ですが、冒頭で挙げたo4-mini-highの回答の通り安めのキャプチャデバイスはUVC1.0にのみ準拠していることが多く、高いデバイスになるとUVC1.1とかにも準拠し始めます。
これらを念頭において、UVCの後方互換性についても触れておきます。UVCは規格としては後方互換なことになっており、カンペキにUVC1.1対応なデバイスならUVC1.0にも対応できるらしいです。
しかし、この後方互換性は仕組み的に自明に保証されるわけではなく、むしろ個々のUVC準拠デバイスが頑張れば後方互換にできる…ということのようです。つまり、悲観的かつシンプルに考えるなら後方互換性はないつもりで考えてしまうのが良さそうです。詳しくはGPT-4oとの会話をご覧下さい。
以上のポイントを組み合わせると次のような予想を得ます。
Switch 2は UVC1.0準拠のデバイスを認識する
キャプチャデバイスは安いものは多くがUVC1.0準拠であり、高いものだとUVC1.1準拠等にもなる
UVC1.1以降に準拠したデバイスはUVC1.0相当で動作できるとは限らない
これを全部踏まえるとたぶん安物のキャプチャデバイスならSwitch 2がUSBカメラとして認識してくれそう、ということになります。
2025/06/07追記: 次の追記セクションに挙げた考察記事において、Nintendo Switch 2純正カメラがUVC1.5準拠なことが書かれています。これを踏まえた結論としてSwitch 2自体はUVC1.1以降も普通に扱えてる可能性は高いと言っちゃって良さそうです。つまりこのセクションの仮説は捨てます。
いちおう「Switch2カメラの後方互換性がいい感じに実装されていてSwitch2自体はUVC1.0しか使えない」みたいな説明も可能ではありますが、ふつうに考えて純正カメラがUVC1.5準拠でSwitch 2本体がそれを使えないのは筋が悪くて考えにくいです。ということで、Switch 2自体はUVC1.1以降も普通に扱えてるはず…と言っちゃってよいと思います。したがって、Elgato Cam Linkが認識されない理由はUVC1.1準拠が原因ではないと考えるほうが良さげです。
予想(新): Elgato Cam Linkが繋がらないのは解像度etc. の組み合わせのせいかも
※このセクションはセクション全体を2025/06/07に追記しました。
noteコメントで、純正カメラの仕様の観点から大変助かる考察を紹介していただいています。
上記での考察を踏まえながら、手元のElgato Cam LinkのDefault Video ModesをUsbTreeViewでチェックするとこうなっています。
これを上記記事にある純正カメラのサポートされた解像度と突き合わせると、面白いことに640x480 60fpsのMJPEGしか重複がありません。また、Elgato Cam Linkの場合は4Kにしか30fpsのモードが提供されていません。4Kは高解像度すぎて Switch 2 の通常用途ではまず使われないと思って良いでしょう。
で。
この一覧および、Elgato Cam LinkはSwitch 2から認識できない事および、上述の考察記事で記載されたSwitch 2純正カメラの仕様を同時に説明できそうな仮説としては「低解像度、かつ30fps程度」な入力をSwitch 2が使っている…という説は立てられそうです。
この説の根拠として、Switch2から認識できてるデバイスの場合の解像度等の例がこんな感じになってます。
特に物理カメラが認識されているほうのケーススタディから、60fpsが無くてもいいらしいことが推定できます。
(※ただし超重要な注意点として、このLogicool c922はUVCバージョンの宣言値がそもそもバグってるらしい(参考)ので、もうちょいキレイなケーススタディが欲しい所です…)
ここで解像度の目安の話題を別の観点から出しておきます。私は個人開発で顔や手のトラッキングを行うアプリを作っていて、その開発時の感覚で言うとSwitch2のマシンスペックでは30fpsくらいでカメラ入力を扱いたいというのは結構ありそうなことだと思います。というのも人物の切り抜きや表情検出をする前提だと画像処理のほうの負荷が30fpsくらいでしんどくなってきて、60fpsを出すのはけっこう大変だからです。
具体的な数値も書いてしまうと640x480 30fpsはかなり丁度いいスポットで、その周辺で960x540以下の30/60fpsらへんも利用できるかも…というくらいの印象です。Switchでは広角カメラで複数人検出したいケースがあるので、解像度をちょっと大きめに取っている可能性はあります。
こうした予想ベースで改めて結局キャプチャデバイスは安いのと高いのでどっちが良いの?という話題に戻りますが、けっきょく高めのキャプチャデバイスは低解像度の30fpsに未対応なことがあるというのはスクリーンショットで見てもらった通りです。つまり、考察記事で指摘してもらっている仮説とかなり一致した状況です。
いっぽう、安いほうのキャプチャデバイスでは低解像度なものも30fpsに対応していたりします (動作確認できたデバイスでも同様です)。となると、どのみち安いキャプチャデバイスから試したほうがいいよねということ自体は据え置きで良いかなと思います。
さいごに
デバイス依存性について書いてたら長くなってしまいましたが、全体としてはSwitch 2にUSBカメラ映像としてアバターを映せるという話の紹介でした。
Switch 2が届くまでは「ズルの防止観点からキャプチャデバイスを何かの方法で検出して弾くのでは?」とか心配してたんですが、ここは任天堂の寛容さに感謝です。
現時点では最新考察ということで解像度やら何やらの話題を掲載していますが、反例になる情報とか良い感じの追加のケーススタディ等があればぜひコメントでご指摘下さい!
謝辞
サマリーでも触れてますが、しめじさんのツイートにてSwitch 2で認識可能なキャプチャデバイスの具体的な情報があって非常に参考になったため、謝辞も兼ねて改めて掲載しておきます。
https://x.com/ctake_shimez/status/1930506960861876564
また、めかぶさんにはnote公開直後に純正カメラに対する情報ベースで丁寧なご指摘を頂いており、この場でお礼させていただきます。本文中にも掲載していますが、是非コチラもお読み下さい。


コメント
1参考までに、Switch2純正カメラはUVC1.5でした。
おそらくですが、認識されないキャプボは特定解像度でMJPEGに対応していないことが原因なのでは?というのが現状の考察です。
純正カメラの調査記事を書いてますので、よければ参考にしてください。
https://blog.mekabu.io/posts/2025/06/switch2-webcam-research/