今回は、サントリーとニッカのブレンデッドウイスキーの上位モデルである、サントリーローヤルとスーパーニッカを飲み比べます。

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かつてのフラグシップ対決

サントリーローヤルとスーパーニッカは、どちらもサントリー、ニッカにおけるフラグシップウイスキーとして販売された過去がある点で共通します。

サントリーローヤル

サントリーローヤルは1960年に発売されたウイスキーで、サントリー(当時の壽屋)の創業者である鳥井信治郎が、創業60年を記念してマスターブレンダーとして手掛けた最後のウイスキーです。

1980年代に入って響や山崎などのさらに上位のウイスキーが登場するまで、お中元やお歳暮といったギフト専用ウイスキーと思われるほど高価な価格設定がされていました。

平成に入ると、ウイスキー人気の低下に呼応するかのように、12年、その後15年熟成の「プレミアム」が登場、レギュラーボトルも一時期は12年熟成としてリリースされました。

2008年頃には、プレミアムが販売終了し、レギュラーボトルもノンエイジに格下げされ、現代に至っています。

スーパーニッカ

スーパーニッカは1962年に発売されました。

1961年に、創業者の竹鶴正孝とスコットランドで出会って結婚し、日本に移住してウイスキーづくりのサポートをし続けた、正孝の妻、リタが死去しました。

当初、正孝はリタの死を受け入れられずにしばらく仕事に打ち込めなかったそうですが、やがてリタとともに本物のウイスキーを作るという目的を思い出したかのように、養子である威とともに、当時の余市蒸溜所に眠っていた厳選された原酒を使ってブレンドされました。

発売当初は年間1000本と少なく、ボトルもカガミクリスタル製の手吹きガラスのボトルを使うなど、とても高価なウイスキーでした。

その後1970年代から機械でフラスコ状のボトルを作れるようになり、ブレンドされる原酒も改められていき、比較的手に入りやすいウイスキーへと変化していきました。

宮城峡蒸留所が完成し、新たなモルト原酒とカフェグレーン原酒が出来上がると、ブレンドも再び改められました。
現在のボトルは2000年代後半にブレンド内容を見直したものとなっています。

テイスティング

グラスからの香り、液色

サントリーローヤルは、レーズンとドライマンゴーの香りがグラスから広がってきます。
液色は少し赤っぽい琥珀色です。

スーパーニッカは、リンゴ、ラムレーズンの香りが広がります。
液色は中庸な琥珀色です。

ストレート

サントリーローヤルは、グラスから香ってきたレーズンとドライマンゴーがそのまま口にも広がります。奥の方からはカカオ、ピートの香りが続きます。
味わいは、アルコールからの辛みは少なめで、甘さが主体で酸味、ほろ苦さが後から広がります。

一方のスーパーニッカは、燻製を思わせるスモーキーな香りが広がり、カカオ、レーズン、リンゴ、バナナの香りが続きます。

味わいは、アルコールからの辛みはローヤルより多少上回りますが、酸味を経て甘さが続きます。

ロック

サントリーローヤルは、白檀の香りが先に広がり、レーズン、マンゴー、リンゴと香りがやってきます。
味わいは、酸味が強めで、ほろ苦さが後を引きます。

スーパーニッカは、スモーキーな香りとレーズンの濃厚な香りが一緒にやってきた後、バナナ、カカオ、ゴム、ドライマンゴーとさらに濃厚な香りが更にやってきます。
味わいは、甘さが主体で、フルーツの酸味が奥から続きます。

ハイボール

サントリーローヤルは、りんごの香りが先行して、ブドウ、マンゴーと香りが続きます。
味わいは酸味が強めで、甘さは少々控えめになります。

スーパーニッカは、スモーキーな香りが先にやってきて、葡萄、ゴム、バナナ、レーズン、カカオの香りがどんどんと訪れてきます。
味わいは、ほろ苦さが前にあり、奥から酸味が続きます。それほど甘くはありません。

現代も色褪せぬ高級感を味わえるボトル

どちらにおいても、香り、味わいにおいても熟成感がしっかりしています。
年数表記は無いにしても、若い原酒に見られるアルコール感が少なく、ドライフルーツ系の濃厚な甘い香りと甘味と酸味のバランスの取れた味わいがあり、ストレート、ロック、ハイボールいずれでもおいしく飲めます。

伊達にフラグシップとして作られたわけでは無い、高級感のあるボトルと言っても過言ではありません。

なお、サントリーローヤルは業界団体が定めるジャパニーズウイスキーの基準に準拠したものになっていて、山崎、白州、知多の元首だけで構成されたものになっています。
一方でスーパーニッカはジャパニーズウイスキーの基準を満たしておらず、スコッチモルトなども加えられたものになっています。だからと言ってローヤルに劣っているとは言えません。

サントリーローヤルはアルコール度数43度、700mLのボトルの他、660mLのスリムボトルがラインナップされています。
価格は700mLは4000円ほど、660mLは3200円ほどです。

一方でスーパーニッカはアルコール度数が43度、700mLと500mLのボトルがラインナップされています。
価格は700mLが3000円ほど、500mLが2200円ほどです。

一時期に比べると値段が上がってしまいましたが、高級感のある香りや味わいに見合った価格になったと前向きに捉えられるかと思います。
どちらもスーパーで売られている場合があるので、贅沢をしたいときに選んでもいいでしょう。

<個人的評価>

サントリーローヤル

  • 香り B: レーズン、ドライマンゴーが主体。奥からカカオ、リンゴ。スモーキーさは控えめ。
  • 味わい B: 酸味がメインで、ほろ苦さが奥から感じられる。甘味は少ない。ストレートでのアルコールの刺激は少ない。
  • 総評 B: 濃厚で高級感のあるボトル。ちょっとした贅沢にはもってこい。

スーパーニッカ

  • 香り A: 燻製を思わせるスモーキーさ。レーズン、バナナ、ゴム、カカオ、リンゴと豊富な香り。
  • 味わい B: ストレートでの辛みが強め。酸味のあと甘さが広がる。
  • 総評 B: 多少の癖があるものの、バラエティあふれる香りが心地よい。