「物流が止まっているのに、小泉さんは何を言ってるのか」 備蓄米が届かない背景にドライバー、精米工場の不足 「最初に備蓄米を買ったのはなんだったんだ」
「重労働に耐えられる運転手さんがいない」
さらに、現場ではこんな問題も。 「今、配送業者でコメを扱えるところがすごく少ない。玄米は1袋30キロ。コメをトラックの荷台からバラで(手作業で)下ろす重労働に耐えられる運転手さんがいないんです。フレコン(大容量の袋)やパレット(荷役台の板)で搬送して、フォークリフトで荷下ろしすれば運転手の負担は減りますよ。でも、狭い荷下ろし場所ではフォークリフトは使えませんし、パレットを持ち出せない倉庫や精米工場が大半なんです」(山際氏) ある長距離輸送専門大手の役員もこう言う。 「備蓄米を輸送できるかという問い合わせは複数あるものの、うちではお受けできていません。6月中旬以降はお中元や清涼飲料水などの運送が多い時期で、元々繁忙期なんです。また、働き方改革の影響でトラックの運転手に長時間労働を課することができなくなったという事情もあります」
「精米工場の確保に必死」
問題は物流だけにとどまらない。 経済部デスクの話。 「備蓄米の大半は長期保存に適した玄米ですが、白米に加工できるコメ卸などの精米工場の数には限りがあります。独自の精米能力を持たない小売り各社は精米工場の確保に必死です」 精米処理能力のキャパオーバー及び配送の遅滞という流通上の問題は、一朝一夕には解決できそうにない。
「値段が下がったとしても、せいぜい300円程度」
「小泉農水相は“まずは熱過ぎるコメのマーケットを冷ます”と随意契約による備蓄米の放出を正当化しています。実際、全国のスーパーで先月25日までの1週間に販売されたコメの平均価格は5キロ4260円(税込)と前の週から25円下落し、3週間ぶりに値下がりに転じました。ですが、現実に備蓄米が市中に行き渡らなければ、今後の効果は極めて限定的になるのは明らか。特に、価格帯の異なる銘柄米の値段はほぼ下がらないでしょう」(前出の経済部デスク) スーパー「アキダイ」の秋葉弘道代表もこう語る。 「連日お米を食べる様子や炊き立てのご飯がテレビに映るせいか、お米の販売量自体が増えています。ウチだと普段の120%ぐらいになっています。それに、今あるお米の在庫はすでに高値で仕入れたものです。値段が下がったとしても数百円、せいぜい300円程度だと思いますよ」