「物流が止まっているのに、小泉さんは何を言ってるのか」 備蓄米が届かない背景にドライバー、精米工場の不足 「最初に備蓄米を買ったのはなんだったんだ」
元農水相が進次郎氏を批判
コメの値段が下がらなければ国民の期待が失望に変わるのは自明だが、すでに厳しいまなざしを向けているのが農水族である。特に、野村哲郎元農水相(81)は先日、「ルールを覚えてもらわないといけない。森山(裕)先生からチクリとやっていただきたい」と語り、小泉農水相が党の農林部会に諮らず、備蓄米の随意契約に踏み切った点を批判し話題を呼んだ。 農水族のドン、森山幹事長(80)本人に話を聞くと、 「小泉さんがルールを守っていないわけではありません。大きく政策が変わる場合は与党としてもいろいろ考え方を申し上げなければなりませんが、今は安い米をどうスピーディーに届けるかが一番大切です。政府は執行権を持っていますし、今回は別に問題ないと私は思います」
「コメは国産であるべき」
一方、小泉農水相が積極的な姿勢を示す輸入米の拡大については、 「コメの輸入には慎重であるべきです。日本は瑞穂の国で古き時代から米を主食としてきました。食料安保の面からも、主食であるコメは国産であるべきです。小泉さんは、私が農水相だった時の農林部会長ですし、農家が損をしてはコメは作れなくなることをよく分かっている。そこは心配していません。そもそも外国産のコメの食味は日本人に合わないと思います」(森山幹事長) 輸入米の拡大にはくぎを刺しつつ、あくまで小泉農水相に理解を示すのである。 政治ジャーナリストの青山和弘氏は、 「年金法案も野党に掻っ攫われて、自民党が夏の参院選でアピールできるのはコメの価格と日米関税交渉くらいです。森山幹事長も夏の参院選までは、小泉農水相を見守る姿勢を続けるはずです」 参院選の投開票日まで残り2カ月を切った。今は満員御礼の「シン・小泉劇場」だが、観客の熱気が冷めれば千両役者の人気もろとも政権の運命もついえよう。 前編【「マスコミは小泉大臣に現状を伝えてよ!」 備蓄米放出でも問題は山積み… 「政府が民間在庫を把握できていない」現場から苦言】では、農水省が民間在庫を把握できていない問題などと併せ、備蓄米放出でも解決が見えないコメ問題について報じている。 「週刊新潮」2025年6月12日号 掲載
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