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自衛隊堤防で試し釣り調査 釣り文化普及と地域振興に向け関係者30人 館山

 2025年06月08日 03時00分
釣りの調査を行う関係者ら
70センチ超のスズキが釣れることも=いずれも館山

釣り文化の普及と地域振興に向けて、現在立ち入りが禁止されている館山市の館山港2号防波堤(通称・自衛隊堤防)で5日、釣果や安全性を検証する「試し釣り調査」が行われた。市や漁業関係者、釣り業界の関係者など約30人が参加し、堤防利用の再開に向けて可能性を探った。

館山港を中心とした地域活性化を目指す官民連携組織「館山港UMIプロジェクト検討会」のワーキンググループ(WG)「みなとアメニティWG」による取り組み。

同WGは、館山市や県、地元漁協、釣り具メーカー、釣り具店などで構成され、同港での安全で持続可能な釣り場環境の整備を行っている。

自衛隊堤防はかつて、多様な魚種が釣れるスポットとして全国の釣り愛好家から人気を集めていた。しかし、堤防へのアクセスには自衛隊敷地を通過する必要があり、また周辺の船舶往来も多いことから、安全面の懸念などにより2020年ごろから立ち入りが禁止されている。

今回の試し釣りは、堤防の再活用を視野に入れ、海上自衛隊や県など関係機関の協力を得て実施。参加者はちょい投げ、ルアー、コマセ、サビキなど多様な釣法で釣りを行い、スズキやイシガキフグ、カサゴ、ベラなど幅広い魚種が確認され、海の資源の豊かさを再認識する機会となった。

調査後の意見交換会では、堤防の老朽化やトイレの設置、釣り人の人数制限、さらには自衛隊敷地通行時のルール作りといった課題が話し合われた。

同WG長の吉野生也さん(日本釣振興会事務局次長)は、「多くの関係者の協力で今回の調査を実施できたことに感謝している。豊かな釣果も得られ、館山の海の魅力を関係者に実感してもらえたと思う。堤防開放に向けて、多くの人の理解を得ながら進めていきたい」と語った。

同WGでは、今後も勉強会や現地調査を継続し、釣り場の安全対策や利用ルールの整備を進め、将来的な堤防の一般開放を目指す方針だ。

(押本裕也)

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