日本を滅ぼす研究腐敗――不正が不正でなくなるとき(28) 5章 絶対にあきらめない精神 1
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2024年6月24日、奨学金問題対策全国会議への入会拒否を違法を問うた損害賠償請求訴訟(令和4年ワ19068)の判決が東京地裁で言い渡された(安江一平裁判官)。判決部分がわずか6枚の簡単なものだった。「思想差別ではない」で終わりである。敗訴は予想していたものの、判決理由に読みべき部分があるだろうと期待していた。私はがっかりした。
策はつきたかにみえた。2019年7月の全国会議入会拒否から始まった「たたかい」は、はや5年の月日を費やした。私はまた立ち止まって振り返る。裁判も不正告発もことごとく負けた。告発も裁判も収入にはいっさいつながらない。少なくない時間と労力、費用を持ち出した。失ったものは小さくない。クレサラ対協関係者から取材のネタとなる情報がめっきりこなくなった。本を出しても以前のように好意的に買ってくれたり、広めてくれることもなくなった。クレサラ対協以外のところでも、O教授をあからさまに批判する私を敬遠する空気があった。O教授の盗用を批判するテーマ自体に読者の関心は高くなかった。仕事は減った。裁判や不正の告発で私の言い分が認められれば状況は変わるにちがいない。そう信じて逆風に耐えてきたつもりだったが、そう簡単には問屋が卸さなかった。腐敗に鈍感な社会であっていいのか。そう嘆く私の声はあまりにも小さく影響力に乏しかった。弁護士でもないのに、1円の原稿料にもならない裁判の書面ばかり書いている。
手に入ったものはなんだろうと自問した。
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