#寝る前にアニメ鬼滅の刃初見感想
今回は第19話:ヒノカミ
リプで何度も、神回だと念を押されてきた回です。
こちらの期待度のハードルも上がります。
で、それとは別に…
この間、仕事しながら鬼滅の事をぐるぐる考えてたんですが。
浅草での回想を信じるとして。
もし無惨が竃家を襲ったのが偶然じゃないなら、狙いは耳飾りの剣士の末裔なわけで、襲撃してみて「あれ、いない」ってなったと思うんですよね。
それで一応禰󠄀豆子を鬼にして残していったのでしょうか。
戻ってきた耳飾りの継承者を始末するために。
もしくは無惨自身は、冨岡義勇さんが来るのを何らかの方法で察知していて、禰󠄀豆子を時間稼ぎの駒として残して逃げた…という線もありそうです。
その答えの一片は、この第19話で明かされたような気がしました。
単刀直入に言うならば、
なんて、なんて織り込まれた構成なのでしょうか!
作者がすごいのか編集者がすごいのか両方かはわかりませんが、今回はこの19話の構成について感想を述べさせていただこうと思います。
ストーリーのほうの、感情の話はいったん置いておきます。
置かせてもらいます!
無理です。
情報量が多すぎて、作画も演出も良すぎて、あと三木眞一郎さん大好き侍のわたしには刺激が強すぎて、とても冷静ではいられませんので。
なので今回は一旦冷静に。
一度冷静に、この19話を例にとって鬼滅の刃の構成がいかに綿密に積まれているかの感想を文字にしてみようと思います。
冒頭でまず刀が切断され、この時に刀がカメラいっぱいにアップになります。
ここでこれでもかと、炭治郎の日輪刀の刀身が黒いことが強調されます。
で、OPに進むわけですが。
いままでのストーリーのダイジェストと共に、そういえばどうして炭治郎の日輪刀は黒いんだっけ、と思い出す猶予をくれます。
そうこうしているうちにOPは終わり…
わりと元気な伊之助と、クールなのかコミュ障なのかわからなくなってきた冨岡義勇さんのシーンになるのですが、ここでもこれ見よがしに冨岡義勇さんの日輪刀を見せます。
それは美しい青で、伊之助も強いと認めるほどの水の呼吸の使い手ならば、刀身の色はこれほどまでに美しく輝くもの、というのを丁寧に視聴者に教えてくれます。
まずここで、刀身のフックを一つ入れてくるのです。
つぎに善逸がしのぶさんに救出されるシーンですが(善逸が助かって本当によかった!!)ここでは走馬灯の話を入れています。
善逸の過去回想からのじいちゃん繋がりで自然な差し込みですね。
ここでも、走馬灯というフックをさらに入れています。
そしてシーンは再び十二鬼月との戦いへ。
やってくれますね、切り替わり1カット目から黒い日輪刀のアップです。
さっき見た、青く輝く冨岡義勇さんの日輪刀とはまるで違っていて、視聴者の無意識下に疑問符を積み重ねます。
すぐに、丁寧に鱗滝さんと鋼塚さんのカットインまで入れてます。
つぎに、鍛え上げられた炭治郎の身体能力でも十二鬼月の攻撃は防ぎきれないことを強調しつつ、禰󠄀豆子ですら無力であることが描写されます。
哀れ禰󠄀豆子は痛々しくも切り裂かれ、宙吊りにされてしまうサディスティックな演出がなかなか強烈です。
家族に対する十二鬼月の感情についての感想は、次回感想に回すとして…
その戦いの中で炭治郎は「強い、これが鬼舞辻(無惨)の血の濃い鬼の強さなのか」とモノローグするのですが、そこで切り替わったカットは十二鬼月ではなく、禰󠄀豆子です。
そういえば禰󠄀豆子も普通の鬼より強かったような…無惨の血が濃いってことなんじゃない?と、また視聴者の無意識下に疑問符を積み重ねます。
またそのあとすぐ十二鬼月の口から、禰󠄀豆子を普通の鬼じゃないとする発言もあり、とても丁寧です。
さらに炭治郎が最後の力を振り絞って勝負を仕掛けるシーンが秀逸です。
水の呼吸の…おそらく最終奥義で立ち向かい、ついに糸の強度を超えることができたという描写を入れます。
視聴者の目に分かりやすい形で戦闘のインフレが段階的に行われていて、そのために次のシーンの絶望感が強調されます。
また、ここの水の呼吸を使う炭治郎の作画が大変すばらしい。
作画もインフレしていて、これで決まらなかったらこれ以上ないでしょうと、視聴しているわたしも手に汗握りました。
BGMも気分を高揚させてくれます、これは勝ち確BGMです。
ですがここで十二鬼月の血鬼術が明かされ、一気に絶望に…
すでに炭治郎は水の呼吸の奥義を使っていて、これ以上有効な手札はありません。詰みです。
視聴していて、わたしも絶望してました。
もうこれを打開するのは、演出も段取りもすべて無視して、ご都合主義的に冨岡義勇さんが横から出てきて首を切り飛ばすしかありません。
しかし、さすが鬼滅の刃でしたね。
黒い日輪刀…水の呼吸でないのならば、なんなのか。
眠る禰󠄀豆子…彼女の血鬼術とは。
走馬灯…竃家に伝わる舞とは。
からつなげて、いままでもあった耳飾りの謎、主人公らしからぬ水属性、等々…
冒頭から、そして物語の序盤から丁寧に積んできた構成上の切り札を畳みかけるように、一気に切ってきます。
そしてBGM!!
なんて雄大な笛の音、凛とした、そして優し気なBGM!!
そして神作画!!
ufotable「さっきのが本気の作画だと思ったか?今から魅せるのが本気作画だ!」…と言わんばかり。
作画とBGMがこれでもかと盛り上げ、声優さんの渾身の演技が突き刺さります
大事なのは、これを説明的な設定による解説ではなく、すべて話の中に仕込んだ伏線やフックへの回答としての映像表現になっているところです。
さらに言うならば、それをほぼほぼ視聴者に悟られることなく、無意識下を狙ってこの最高の場面に収束するように差し込んできているという点が見事です。
これが効いているから、なんだよ後だしジャンケンじゃないか!ではなく、
おお…あれがそうなって、ああなって、そうか!
と様々な謎が氷解するのと同時に、炭治郎が十二鬼月の首を切り飛ばすという最高の演出になっているのです。
このシーンがことさら印象的なシーンに見えるのは、そのせいでしょう。
この、読者への圧迫と解放が実に見事な回でした。
神回でした。
はい!!教科書です!!
ここテストに出ます!!
漫画家の卵さんたち!!ここです!!
いや、理解していてもなかなか実践できるものではないんですけどね…
流石ですね。
大ヒットするわけだ。
今回の感想は、まずは一旦冷静に、構成の感想を述べさせていただきました。
次回は炭治郎や十二鬼月くんの感情面などの感想を語らせていただければと思います
一緒に記すには、散文的なわたしの文章力ではとても無理でした。
最後に一つ…。
三木眞一郎さん最高ですね。
慈愛に満ちた三木眞一郎さんの演技最高
やさしい、聖母のような三木眞一郎さん!超貴重!!
まじか…鬼滅ありがとう…