吉川醸造によるAFURI登録商標の無効審判請求棄却によりAFURI社が俄然有利に
もう記憶も薄れている方もいるかもしれませんが、ラーメンチェーンのAFURI(AFURI株式会社)が日本酒メーカーの吉川醸造株式会社を商標権侵害で訴えていた件、まだ続いています(関連過去記事1、関連過去記事2、関連過去記事3)。
侵害訴訟の状況は外部からはわからないですが、AFURI社の登録商標(6245408号)に吉川醸造が無効審判を請求していたことはわかっていました。これが確定するまで、侵害訴訟の方は中止状態になっていると思われます。
その無効審判の審決が2025年3月14日に出ていました。結果は、請求棄却(無効にできなかった)です。
そもそも、この無効審判は何を根拠に行われていたか興味津々だったのですが、商標法3条1項3号の「産地表示として認識される」という点が中心でした。これに対しては、特許庁は、「”阿夫利"、"AFURI"の各文字が我が国の取引者、需要者によって、日本酒、ビールの産地、販売地として一般に認識されていることを認めるに足りる事実を見いだすことはできない。」として退けています。また、阿夫利神社との類似性による公序良俗違反、「阿夫利大山」という先登録商標(4651814号)との類似等も主張されましたが、認められていません。全体的にちょっと無理があったのではと思います。なお、吉川醸造側は、この審決に対して、知財高裁に取消訴訟を提起できます(とは言え、現時点で提起した記録が出ていないのでおそらくしていないのではと思います)(追記:4月26日に審決取消訴訟が提起されていました、ということで無効に関する争いはまだしばらく続きます)。
また、奇しくもこの件と同タイミングになりましたが、AFURI社が2023年5月15日に行っていた判定請求の結果が2025年3月26日に出ていました。判定とは、商標権の侵害等について特許庁の意見を求める制度です。特許庁という行政機関の意見なので裁判所の判断を拘束するわけではないですが、一定の権威がある見解として扱われます。そして、この判定では、吉川醸造による酒瓶や箱におけるAFURIという文字(「雨降」という文字ではない点に注意)の使用が、AFURI社の商標権の効力範囲に属する(≒商標権を侵害する)ものであると結論付けられました(これに対しては不服申立できません)。
ということで、外部からわかる情報に基づいて判断する限り、この訴訟はAFURI社がかなり有利なポジションに立ったと言えそうです。
ところで、ちょっと余談ですが、X等で「(AFURI等の)地名を商標として独占できるのはおかしい」という意見が見られることがありますが、商標とは任意に選択した言葉(やマーク)を営業標識として独占できるようにするための権利なので、消費者が商品の産地と認識するような場合を除き、地名を商標登録すること自体に問題はありません。ジェフ・ベゾスがアマゾンという地名を独占しているかと考えればわかる話です。