皆様こんにちは。のどが回復しないまま月末をまたぎそうです。とてもつらい。
最近、とあるブロガーさんが生成AIを使って小説を書いていると言い出しましたので、そっと読者登録を解除しました。
ChatGPT(注:OpenAIがリリースした文章生成AIサービスの名称)との対話により、自分の構想をChatGPTに話しかけて物語に落とし込んでいく、相談しながら改善していく、この「創作行為」は生成AIの真骨頂だ、てな調子です。
おやりになるのは結構ですが、私の考え方とは相容れないのと、ご本人に直談判してどうにかなる問題でもないと思うので、相互登録ではないこのブログに意見として留めておきます。
これから仕事や趣味で生成AIに触れる可能性のある方にも知っておいてもらいたいことを書きます。
まず、もの書く人であれば一番最初に気づいてほしい点は、現行の文章生成AIはインターネット上の、個別に著作権が認められるはずの文字媒体を権利者に断ることなく学習して集積したLLM(大規模言語モデル)を基盤としていることです。
現行の著作権法は、人の知覚を用いた享受目的ではない機械、演算装置によるデータ解析と同様の行為として「データ収集」には著作権が制限される旨を定めています(同法30条の4)。
しかしながら現実には、ChatGPTをはじめとする生成AIによるものとみられる文章が多数、ブログやその他媒体で公開されています。公開は誰かに読まれる=人の知覚によって享受されることを目的としますので、現行著作権法においても禁止されている行為です。
要するに、現状はなし崩し的に著作権が侵害されている、ということです。
じゃ、公開しなければいいんだろ?そうです。私的利用に限ってしまえば適法です。
しかし、小説や戯曲や論文に限らず、このような場末のブログであっても多少なりとも創作に近似した経験のある人間であれば、生成AIを用いる行為が何を意味するのか、直感で分かるはずです。
世に放たれた文章生成AIサービスの大半は、著作権者の許諾を得ずに学習されたLLMを基盤にしていると書きました。つまり、有名無名を問わず、数多の人が紡いできた文章を糧としています。いわば無断拝借です。
そこから生成される文章は、他人の文章をユーザの指示通りに合成、切り貼りしたものです。これは「創作」と言えるでしょうか。
機械(生成AI)がトロール漁船よろしく、広大なインターネットの海からごっそり集めてきた文章を材料に何かを作り出すことは、盗作となんら変わるところがないのではないでしょうか。
なぜ生成AIを通すと権利関係がクリアになるのでしょうか。
単なるロンダリングではないのか?と思いませんか。
……このような、技術の進歩に対して批判的な意見を持つことを一部界隈では「反AI」などと呼んだりしますが、勘違いしないでいただきたいのは、私は適正な権利関係に基づいて開発されるAI製品には何ら反対する意思はなく、人の生活を豊かに、便利にする限りにおいて、先端技術の利用は大いに促進されるべきものだと考えています。
その点、生成AIは今世界に何をもたらしているでしょうか。便利であるという人がいる反面、ディープフェイクによる偽情報の氾濫、政治的意図を持ったそれらによる世論誘導、有名人の声や画像を使った詐欺グループによる犯罪、児童の写真を用いて合成されたフェイクポルノ。
ことは文章だけではなく、映像、画像、音楽、声、あらゆる分野に及んでいます。インターネットは今、目を覆いたくなる有様です。
このような深刻な被害をもたらす製品には、適正利用を保障するための安全装置が必要なはずです。しかし、開発元のAIテックは野放図な悪用に制限をかける気配すらありません。
ユーザの使い方の問題ではありません。本来制限されるべきものがほったらかし、要するに欠陥製品なのです。「私はそんなひどい使い方はしない」という方もいらっしゃるでしょう。あなたがそうじゃなくても、他の人がそうじゃないから問題になっているのです。
これは本来、AIが目指してきた豊かな社会像とは大きくかけ離れています。爆発的な生成AIの流布は、テックが仕掛けた全人類の知性を奪う計画であるとすら考えています。そもそも生成AIはAIですらないというのが私の持論ですが、その辺は以下の連作に書いたので繰り返しません。
working-report2.hatenablog.com
私は以上の理由から、生成AIの利活用には反対の立場です。
……小難しい、つまんない話をしたかもしれません。でも、このことはよく覚えておいてください。