4 <4>当委員会の中居氏に対する守秘義務の解除に向けた折衝は適切だったのか

当委員会と双方代理人との守秘義務の解除に向けた折衝の経緯は、調査報告書(公表版)26頁において次のように記載したとおりです。

「当委員会は、中居氏及び女性Aに対し、双方の代理人弁護士を通じて、当委員会のヒアリングに応じてもらえるよう依頼し、双方がお互いに示談契約における守秘義務を解除することにより、当委員会の調査に対して支障なく協力してもらえるよう依頼した。

女性A側は、当委員会に対する守秘義務の全面解除に応じる旨回答した。しかし、中居氏側は、守秘義務の範囲内の事項についてはヒアリングに応じないとし、当委員会に対して女性Aの守秘義務を解除しない旨を回答した。

そこで、当委員会が双方の代理人弁護士と協議した結果、「2023年6月2日に女性Aが中居氏のマンションの部屋に入ってから退室するまでの事実」及び「示談契約の内容」が守秘義務の対象事実であることを特定し、この部分以外については双方が当委員会のヒアリングに応じることを確認した。

当委員会は、このような確認を経て、ヒアリングを実施することを双方に提案し、女性A及び中居氏から了承を得て、両名に対するヒアリングを実施した。」

当委員会と双方代理人との折衝の経緯について、以下に補足説明いたします。

当委員会が、2025年1月31日に中居氏代理人と面談した際、中居氏代理人がヒアリングへの協力と守秘義務の解除について前向きな姿勢を示したこと、当委員会から中居氏代理人に対し、「第三者委員会は、2人の密室で何が行われたかが直接の調査対象ではなく、その前足と後足が大事と考えております」と説明し、その旨のメールを送信したことは事実であります。

当委員会からの上記説明の趣旨は、2人の密室で何が行われたかは女性Aの人権及びプライバシーに関わる事項を含むものであること、双方の間で守秘義務を負う示談契約が成立していたことから、当委員会が作成する調査報告書にその具体的な状況や行為態様についての内容を記載することは想定しておらず、仮にこの点について双方のヒアリングを行うことができなくても、その前後の客観的状況(上記説明とメールでは「前足と後足」と述べています)について調査をして事実認定をすることができれば、本事案について当委員会が評価をすることは可能である旨を伝えたのであり、中居氏代理人もこの趣旨をご理解されていたと思われます。

当委員会は、中居氏代理人と並行して、女性A代理人にも、ヒアリングへの協力と守秘義務の解除を提案し、折衝を行いました。

これと並行して、双方代理人は、双方で合流した守秘義務を解除するかどうかについて、当委員会を介さずに直接交渉を行ったところ、同年2月12日に中居氏代理人から当委員会に対し、

・(女性Aの)弁護士からは「委員会の調査に対して守秘義務を全面的に解除してほしい」との提案がありましたが、これについてはお断りいたしました。

・当方としてはこれまでの先方の守秘義務の履行については懸念するところがあり、委員会からのヒアリングとはいえども、守秘義務の全面解除することによって、新たな情報の流布が生じる可能性が充分にあると思います。

との連絡がありました。

当委員会は、女性A代理人からは守秘義務の全面解除に応じる旨の回容を得ていたことから、引き続き中居氏代理人に守秘義務を解除できないか折衝を続けましたが、同年2月15日に中居氏代理人から当委員会に対し、

・当方は、これまでの相手方の「守秘義務の遵守」に関して極めて強い懸念を持っております。

・今回、全面的な守秘義務解除をした場合、貴委員会の車情聴取だけでなく、その他の場面での情報開示の可能性があると考えています。

・ちなみに調査委員会が「一昨年になされた女性Aの申出(申告)に対するCXの対応の是非」について調査する上では、「一昨年に女性AがCXに申告した内容」が再現できればそれ以上に説明の必要はないのではないかと考えます。守秘義務の全面的な解除まではする必要はないのではないでしょうか。あくまで現在の守秘義務を前提として貴委員会の事情聴取に十分に対応できるのではないでしょうか。

・ご提案ですが、「調査委員会で話した内容を外部には一切話してはならない」ということを双方で約束するというのはいかがでしょうか。

との連絡がありました。

末尾の提案について、当委員会で検討しましたが、女性Aに対して元々の示談契約における守秘義務を超える新たな守秘義務を課すものであって、合理的な提案とは思われず、女性A代理人に提案することは適切でないと判断したことから、同年2月20日、当委員会から中居氏代理人に対し、この提案には応じられないと回答しました。

その結果、同年2月21日に中居氏代理人から当委員会に対し、「貴委員会からのヒアリングに応じます」「先方との守秘義務は解除せず、存続を前提としてお願いします」との最終回答がありました。

当委員会としては、女性Aが守秘義務を負い中居氏が守秘義務を負わない状態でヒアリングを行うことは、調査の中立性・公平性に欠けると判断し、また本事案の具体的内容について双方のヒアリングを行うことができなくても、その前後の客観的状況や上記2においと列挙した各種証拠の調査をして事実認定をすることができれば、本事案の人権上の意味づけや人権侵害の重大性について当委員会が評価をすることは可能であると判断したことから、双方とも示談契約における守秘義務を負っている状態でヒアリングを行うことを決め、その旨を双方代理人に伝えたうえで、双方のヒアリングを行いました。

そして、双方のヒアリングでは、当委員会から本事案について質問することも回答を得ることもありませんでしたが、本事案の前後の客観的状況等については、十分に質問して、双方から十分に回答を得ることができたと考えております。

以上のとおり補足説明いたしました。

調査報告書(公表版)26頁では、守秘義務の解除について双方代理人が示した最終的な意向を記載すれば足りると判断してそのような記載に留めましたが、今般、貴職らからご質問をいただきましたので、より詳細な経緯を補足説明いたしました。

当委員会としては、中居氏側が最終的に守秘義務を解除しなかった理由については、中居氏側が、女性Aの守秘義務を解除することで、当委員会の調査以外の場面での情報の流布や情報開示を懸念したことにあるものと理解しております。

5 <5>本事案についての当委員会の姿勢に中立性・公正性・公平性はあったのか

以上に述べたところを踏まえれば、本事案についての当委員会の姿勢に、中立性・公正性・公平性に欠ける部分はなかったものと考えております。

       草々