3 <3>本事案について世界保健機機(WHO)の定義を用いたのは適切だったのか

調査報告香(公表版)27頁に記載したとおり、当委員会は、世界保健機料(WHO)が公表している「World Repart on Violence and Heath」(2002年)の「性暴力(Sexual Violence)」の定義に基づいて、本事案について、女性Aが中居氏によって性暴力による被害を受けたものと認定いたしました。

当委員会がWHOの定義を用いた理由は、FMHが東京証券取引プライム市場に上場しており、株主・投資家の中にグローバルに投資活動をする機関投資家が含まれること、CXのスポンサーの中にもグローバルに事業展開をする企業が含まれること、それゆえにFMH及びCXから委嘱を受けた当委員会が株主・投資家やスポンサーという重要なステークホルダーに対して説明責任を果たすためには、ビジネスと人権のグローバルスタンダードに立脚する必要があり、そのためにグローバルスタンダードであるWHOの性暴力の定義に基づいて本事案を評価することが適切であると判断したことにあります。

そして、当委員会は、調査報告書(公表版)27頁において、WHOの「性暴力」の定義の内容を枠囲みで示したうえで、脚注において内閣府男女共同参画局ホームページが「性暴力」を「同意のない性的な行為」としていること、福岡県の「根絶に向けた対応指針」が「性暴力とは、被害者の身体又は精神に対し、被害者の同意がなく行われる性的な行為」としていることも示し、これら2つの国内規範の定義がWHOの定義と整合していることを説明しました。さらに記者会見でもWHOの性暴力の定義を読み上げ、これに基づいたことを説明しました。このように、当委員会が用いた「性暴力」という言葉の意味合いについては、十分な説明を尽くしたものと考えております。

貴職らは、当委員会が性暴力という言葉を用いたことにより、本事紫において「『性暴力』という日本語から一般的に想起される暴力的または強制的な性的行為」があったとの印象を一般読者に与えたとのご見解のようです。しかしながら、貴職らのご見解は、中居氏及び貴職らのあくまで主観的な印象に基づいて述べられているものであり、当委員会が説明したようなWHOや内閣府、福岡県が示す客観的な規範に基づくものではないように思われます。当委員会は、本事案の評価において主観的な印象に基づくことは適切でないと考え、WHIOの示す客観的な規範に基づくことが適切であると判断いたしました。