第二 本調査報告書としての欠陥に関する疑問と釈明要求

釈明要求をいただいた点につきましては、当委員会にて次のように論点を整理して、順にご回答申し上げます。

<1>当委員会は本事案(※注 本事案案とは、調査報告書=公表版=27頁7-8行目に記載したとおり、2023年6月2日に女性Aが中居氏のマンションの部屋に入ってから退室するまでの間に起きたことを指します)について調査をする必要があったのか

<2>本事案についての当委員会の事実認定は適切だったのか

<3>本事案について世界保健機構(WHO)の定義を用いたのは適切だったのか

<4>当委員会の中居氏に対する義務の解除に向けた折街は適切だったのか

<5>本事案についての当委風会の姿勢に中立性・公正性・公平性はあったのか

1 <1>当委員会は本事案について調査をする必要があったのか

調査報告(公表版)1質に記載したとおり、当委員会への調査委嘱事項には、「本事案への当社の関わり」「当社が本事案を認識してから現在までの当社の事後対応」「当社の内部統制・グループガバナンス・人権への取組み」が含まれます。

そして、当委員会が本事案についての「当社の関わり」「当社の事後対応」及び「当社の内部統制・グループガバナンス・人権への取組み」について調査をして評価をするためには、その前提となる「本事案」についても調査をして、その人権上の意味づけや人権侵害の重大性について評価をすることが必要不可欠でありました。

したがって、当委員会は、本事案についても調査委嘱事項に含まれるものと判断し、必要な調査をいたしました。

2 <2>本事案についての当委員会の事実認定は適切だったのか

調査報告書(公表版)26-27頁に記載したとおり、本事案そのものについては、女性A及び中居氏は双方に対して守秘義務があることから当委員会は中居氏及び女性Aからヒアリングを行うことができなかったため、具体的な行為態様については明らかでない部分がありました。したがって、当委員会は、

・守秘義務を負う前の女性AのCX関係者への被害申告(本事案における具体性のある行為態様が含まれる)

・女性Aに生じた心身の症状(本事案直後から重篤な症状が発生して入院に至り、PTSDと診断された)

・本事案前後の女性Aと中居氏とのショートメールでのやりとり(本事案における具体性のある行為態様及び女性Aの認識が含まれる。なお、中居氏は、女性Aとのショートメールでのやりとりは削除済みと述べた)

・CX関係者間の報告内容、関係者のヒアリング、客観資料、CX関係者からの被申に関するヒアリング結果、両者の守秘義務解除要請に対する態度(女性Aは当委員会に対する全面的な守秘義務解除に同意したが、中居氏は守秘義務の解除に応じなかった)

・女性Aと中居氏の委員会のヒアリングにおける証言内容・証言態度

などをもとに、日本弁護士連合会「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に基づき、各種証拠を十分に吟味して、自由心証により事実認定を行いました。

貴職らは伝聞証拠等に基づいて事実認定したことを問題視されるようですが、たとえば、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントの事案においては、ハラスメントの具体的な行為態様を直接に証明する客観的証拠が存在しないことが多く、その場合に、行為の前後の客観的状況や関係者の供述証拠ないし伝聞証拠に基づいて間接事実を積み上げて事実認定することは、調査実務において一般的なことであり、自由心証による事実認定の手法として合理性があることから、当委員会の事実認定は適切であったと考えております。

また、中居氏には当委員会のヒアリングにおいて長時間にわたり真摯にご協力をいただいたものと考えており、中居氏の証言内容や証言態度についても、重要な証拠として十分に吟味して事実認定をしております。

もっとも、関係者の証言内容を調査報告にどれだけ引用するかは、当委員会の編集権限の範囲内にあるものと考えております。そして、本事案の前の客観的状況について、中居氏が、「大雨で難しそうだったので実際には誰にも声をかけなかった」「実際にはお店に電話をかけるなどしなかった」と述べたことは、中居氏しか知りえない重要な証言であると判断したことから、調査報告書(公表版)25頁に引用しております。