【編集後記】不登校の子どもの進路選択で後悔しないために——今できることを考える
再登校支援サービスのToCo(トーコ)広報担当の成瀬と申します。本記事では、不登校のお子様の進路について、高校・大学・就職それぞれの選択肢と、具体的な準備の方法について詳しく解説しました。
不登校が続くと、「このままでは進学できないのでは?」「社会に出るのは難しいのでは?」といった不安が募ります。しかし、重要なのは「今、何ができるか」を具体的に考え、適切な行動を積み重ねることです。
本記事を執筆するにあたり、多くの保護者の方から寄せられる声を改めて振り返りました。「うちの子は高校に行けるのでしょうか?」「学校に行けていない状態で、どうやって大学進学を目指せばいいのか分かりません」「就職を考えてはいるものの、不登校だったことをどう説明すればいいのか……」——これらの悩みは決して特別なものではなく、多くのご家庭で共通するものです。
特に、進学や就職といった「将来の選択」が近づくと、不登校が続いている現状と理想とのギャップに直面し、焦りや不安が一層強くなることがあります。実際に、進学先が決まっても登校できない、就職しても長続きしないといったケースは少なくありません。つまり、単に「進路を決める」ことが目的ではなく、「決めた進路をしっかりと進み続ける」ことこそが、真の課題なのです。
進学・就職を考える前に必要なこと
進路選択の際に重要なのは、「お子様の現在の状態を正しく把握すること」です。例えば、高校進学を考える場合でも、全日制高校、定時制高校、通信制高校など、選択肢は多岐にわたります。しかし、どの道を選ぶかを考える前に、「今のお子様の人間関係への適応力はどの程度か?」を見極めることが必要です。
大学進学についても同様です。不登校の期間が長引いた場合、一般入試よりも推薦入試や総合型選抜(旧AO入試)のほうが適していることがあります。しかし、それ以前に「大学の講義に通えるのか」「レポート課題をこなせるのか」「新しい環境で人と関われるのか」といった点を考えなければ、せっかく進学しても途中で行けなくなってしまう可能性があります。
就職に関しても、履歴書の書き方や面接での受け答えなど、技術的な準備だけでは十分とは言えません。「仕事を継続するための準備」ができていなければ、働き始めてもすぐに辞めてしまうことになりかねません。
つまり、進路選択においては「どこに進むか」よりも「その道をどう歩んでいくか」を優先して考えることが重要です。本記事では、単に進学・就職の選択肢を提示するだけでなく、それぞれの道を継続するために必要な準備について詳しく解説しました。
「とりあえず決める」は危険——進路選択で後悔しないために
「とにかく高校には行かせたい」「大学に進学すればなんとかなるはず」「どこでもいいから働いてほしい」と、焦りから進路を決めてしまうと、結果的に「また行けなくなってしまった」「環境が合わず、すぐに辞めてしまった」といった問題が生じることが少なくありません。
進路選択で後悔しないためには、「短期的な目標」と「長期的な目標」の両方を意識することが大切です。短期的な目標としては、「まずは生活リズムを整える」「人と接する機会を増やす」「学習の習慣を取り戻す」など、日々の積み重ねが重要になります。そのうえで、長期的な視点として、「この進路を選んだ後にどんな未来が待っているのか」を考えることで、より適切な選択ができるようになります。
また、不登校経験があると、どうしても「できないこと」に意識が向きがちですが、「今できること」「得意なこと」「興味のあること」に目を向けることで、新たな可能性が見えてくることもあります。たとえば、ゲームが好きならプログラミングやデザインの道、動画編集が得意なら映像制作の仕事など、不登校の経験があっても活かせる分野はたくさんあります。「この道しかない」と思い込まずに、お子様の特性に合った選択肢を模索することが大切です。
最後に——進路選択はゴールではなくスタート
不登校経験があるお子様の進路選択には、不安や課題がつきものです。しかし、どの道を選んでも、それが終わりではなく、新たなスタート地点になります。そのため、「この選択肢が正しいのか?」と悩みすぎるよりも、「この道をどう進んでいけばよいのか?」を考えることのほうが重要です。
そして、進路を決めた後も、お子様が安心して進めるような環境を整えることが大切です。高校進学なら、学習のフォローや学校との連携をしっかり行うこと、大学進学なら、入学後の生活を見据えた準備をすること、就職なら、無理なく働ける環境を選ぶこと——これらの工夫が、お子様の未来をより良いものにしていきます。
本記事が、不登校のお子様の進路選択に悩む保護者の方にとって、少しでも有益な情報となれば幸いです。不安な気持ちに寄り添いながら、最適な道を一緒に考えていくことが、何よりも大切なのではないでしょうか。


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