【編集後記】「不登校の子のために親が知っておくべき学校との連携」とは?
再登校支援サービスのToCo(トーコ)広報担当の成瀬と申します。
今回の記事では、当社の顧問であり、長年にわたって不登校や引きこもりの課題に向き合ってきた児童心理司の藤原が執筆しました。
この記事は、実際の支援現場で見えてきた「学校との連携の難しさ」と「その重要性」を踏まえ、保護者の方々にとって現実的かつ具体的なアドバイスを提供することを目的としています。
不登校は、今や珍しいことではありません。文部科学省の調査によれば、小中学生の不登校児童生徒数は年々増加傾向にあり、特にコロナ禍以降、その傾向は顕著です。しかし、不登校の実態は一人ひとり異なり、「不登校=学校嫌い」「親の関わりが不足している」といった単純な構図では説明できません。私たちToCoでは、不登校の背景には、学業へのつまずき、人間関係の悩み、教師との関係、家庭環境など、複合的な要因が絡み合っているケースが多いことを理解しています。
学校との連携がなぜ必要なのか——課題として見えた「情報のズレ」
記事内でも触れられていますが、不登校の課題において最も大きな壁の一つが「学校との情報共有の難しさ」です。不登校の期間が長くなるほど、学校と子どもの間には「見えない溝」ができてしまいます。
学校側は「状況が分からないから様子を見るしかない」、保護者は「学校に話しても理解してもらえない」と感じ、双方の間に誤解や行き違いが生まれてしまうのです。
特に印象的だったのは、藤原が現場で出会ったある保護者の方のお話です。そのお子さんは中学1年生で、学業不振と友人関係のストレスが重なり、不登校になっていました。しかし、学校側は「おそらく一時的なものだろう」と判断し、具体的な対応を講じないまま時間が経過してしまったのです。その結果、子どもは「学校には自分の気持ちは伝わらない」と感じ、不登校が長期化してしまいました。
このケースから学んだことは、「不登校の背景にある子どもの気持ちを、保護者が代弁し、学校に橋渡しをする重要性」 です。学校側も「子どもが何を感じているか」「どのような支援が必要か」が分かれば、より適切な対応を取ることができます。そのため、保護者の方々には「子どもの気持ちや状況を、具体的かつ継続的に学校に伝えること」の大切さを強調したいのです。
再登校への道のり——「段階的アプローチ」と「学校の受け入れ態勢」の重要性
再登校のプロセスについても、記事では単なる「登校を促す」だけではなく、「子どもの心理的準備と学校の受け入れ態勢のバランス」を重視した段階的なアプローチ が紹介されています。再登校は一朝一夕に実現するものではなく、むしろ「一度戻れたから安心」というものでもありません。
再登校支援の現場では、「再登校直後の初期段階」でのサポートが非常に重要であることを痛感しています。たとえ一度登校できたとしても、教室の雰囲気や授業のペース、友人関係など、子どもにとってストレスの要素は多く、再び「行きたくない」と感じてしまうケースは珍しくありません。そのため、保護者と学校が「再登校後のサイン」を敏感に察知し、必要な時には柔軟に対応することが、不登校の再発防止につながるのです。
また、記事内でも述べられているように、「別室登校」「短時間登校」といった段階的な方法を取り入れることで、子どもの負担を減らしながら徐々に学校環境に慣れさせることができます。大切なのは、「子ども自身がコントロールできる選択肢を持たせること」 です。自分で「この方法なら大丈夫」と思える環境が整えば、子どもは徐々に自信を取り戻し、安定した学校生活に戻ることができるのです。
信頼関係の再構築——「子どもが安心して戻れる学校づくり」
再登校後の安定には、学校との信頼関係の再構築が欠かせません。不登校を経験した子どもは、たとえ再登校しても「また同じようなことが起きたらどうしよう」と不安を抱えています。その不安を解消するためには、「学校は自分を理解してくれている」と感じられる環境づくりが必要です。
記事では、「教職員との関係を担任任せにしないこと」「複数の教職員と関係を築いておくこと」 の重要性が指摘されています。担任の先生が熱心に関わってくれる場合でも、異動や業務負担の増加などで状況が変わることは十分にあり得ます。だからこそ、スクールカウンセラー、学年主任、特別支援コーディネーターといった「複数の教職員と継続的な連携を維持すること」 が、子どもにとって安定した学校生活を支える鍵になるのです。
加えて、「困った時の逃げ場」を用意しておくこと も、再登校後の安心感を維持する上で重要です。「保健室登校」や「特定の先生への相談」を選択肢として提示しておくことで、子どもは「もしもの時の避難先がある」と安心し、自分のペースで学校生活に馴染んでいけます。
記事を通じて伝えたいメッセージ——「親と学校の協働」が子どもの未来を支える
今回の記事は、「不登校の子どもを持つ保護者の方々が、学校との関係をどう築き、どのように子どもを支えられるか」という視点で、具体的なアドバイスをお伝えすることを目的としていました。藤原の長年の経験から見えてきたのは、「親と学校が対立するのではなく、協働して子どもを支える姿勢」が不登校解消のカギ であるということです。
私たちToCoは、不登校予防と再登校支援の現場で「学校との連携」に関する多くの課題と向き合ってきました。そして、その経験を通して、「保護者と学校がパートナーシップを築くことで、子どもは安心して自分の未来に向き合える」という確信を持っています。
この記事を読んでくださった保護者の皆さんには、「学校との連携を諦めず、粘り強く対話を続けることで、子どもが自分のペースで成長していける環境を整えられる」という希望を持っていただければ幸いです。
子どもが再び自信を持って学校生活を送れる日が訪れるよう、私たちToCoは今後もサポートを続けてまいります。


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