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20代の7割以上が「電話に苦手意識」 もう電話での連絡はやめるべきか? 企業の対応は? #エキスパートトピ

横山信弘経営コラムニスト
電話に出るのが怖い……写真:イメージマート

「電話が怖くて会社を辞めた」

そんな衝撃的な声がSNSで話題になっている。調査によると、20代の実に75%が電話対応に苦手意識を持っているという。SNS世代にとって電話は「なじみのないツール」なのだ。

ある新入社員は「1億回やってもできない」と言い残して退職した。またある若者は電話対応のストレスを理由に、退職代行サービスに相談している。いっぽう企業側も手をこまねいているわけではない。AIによる自動応答や、電話を原則禁止にする会社も現れた。電話恐怖症の実態はどうなっているのか。関連記事をまとめてみた。

ココがポイント

2023年の調査では、職場での電話対応に苦手意識がある20代は約75%。30代でも6割強にのぼるという
出典:東洋経済オンライン 2025/5/28(水)

最近では、電話応対をしている最中に泣き出してしまう例も出始め、電話恐怖症は若者の間で定着しつつあるのではないか
出典:集英社オンライン 2024/12/11(水)

SNSを主なコミュニケーションツールにする若い世代にとって「言葉の責任感が強まっている」
出典:就活ニュースペーパーby朝日新聞 - 就職サイト Re就活キャンパス(旧:あさがくナビ) 2025/5/15(木)

今年度はすでに300人を超える新入社員から退職の相談があり、その理由に、「電話対応のストレス」をあげる人も多い
出典:TBS NEWS DIG 2025/5/22(木)

エキスパートの補足・見解

電話恐怖症は、もはや一部の若者の「甘え」として片付けられる問題ではない。世界各国で同様の現象が起きており、アメリカでは約8割の若者が電話に不安を感じ、韓国でも同様の傾向がみられる。

たしかにメールやチャットツールは普及した。しかし現実のビジネスシーンでは、電話はまだメインのコミュニケーションツールとして機能している。緊急時の連絡、複雑な相談、感情を含む対話など、テキストでは代替できない場面は多い。

だからこそ企業は、「電話ぐらい慣れれば大丈夫」という精神論を捨てるべきだろう。丁寧な教育環境を整える必要がある。段階的な研修プログラム、豊富なテンプレートの準備、AIを活用したサポートシステムの導入など、具体的な対策が求められている。

電話恐怖症の背景には、「人からどう見られるか」を気にする社会的不安もあるようだ。失敗を恐れ、批判を恐れる若者たちに必要なのは、「失敗しても大丈夫」という環境づくりだ。上司や先輩社員は、自分たちも電話で失敗を重ねてきたことを伝え、成長を見守る姿勢が大切だろう。

電話というツールそのものが問題なのではない。変化する時代に合わせて、教育方法を変革できるかどうか。それが企業に問われている。

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ありがとうございます。
経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。Voicy「絶対達成ラジオ」パーソナリティ。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍を通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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