和歌山市 公益通報した職員の自殺 “市の対応は一部不適切”

和歌山市の当時20代の男性職員が不適切な会計処理を公益通報したあと自殺し、市の対応を調査していた審査会は6日、報告書を公表しました。
通報後の人事配置などについて「配慮を欠いた行為で不適切だった」と指摘した一方「公益通報者保護法違反の事実までは認められない」としています。

7年前の2018年、和歌山市の児童館に勤務していた当時20代の男性職員は、不適切な会計処理を行うよう上司から指示を受けて心身に不調が生じ休職したあと、公益通報を行い、関係する職員らが処分されました。

その後、男性職員は別の部署に復職しましたが、2020年に自殺し、弁護士と大学教授でつくる市の「公正職務審査会」が当時の対応について調査し、6日、報告書を公表しました。

この中で、公益通報で処分を受けた職員の1人を人事異動で男性職員と同じ部屋で業務を行う部署に配属したことについて「不適切だった」としています。

さらに、通報したことを理由にした不利益な取り扱いが行われていないか聞き取るなどのフォローアップが行われていなかったと指摘しました。

不適切な対応が行われた原因については、通報者の保護に対する認識不足や市の職員への制度に関する周知徹底が図られていなかったことなどを挙げています。

一方、公益通報者保護法が禁止している不利益な取り扱いについては「あったとまでは認めることができない」と指摘しています。

和歌山市長「指摘を真摯(しんし)に受け入れる」

和歌山市の尾花正啓市長は「不利益な取り扱いがあったとまでは認められないと判断されたものの、配慮に欠ける人事異動や公益通報者へのフォローアップができていなかった点について不適切との指摘を受けました。この指摘を真摯に受け入れ、公益通報に関する要綱を見直すなどして、和歌山市の公益通報制度が信頼に値するよりよいものになるよう努めてまいります」とコメントしています。

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