#13 呪具(上)
術師における「特級」とは、個人での国家転覆が可能とみなされる強力な術式を持つ者のこと。
呪霊における「特級」とは、一級術師でも負ける可能性があるとみなされるもののこと。
では、呪具に付けられる等級の基準はと言うと、これには明確な基準はないとされている。
低級な、それこそ単に呪力を放っているだけの物品ならばともかく、高等級の物ほどそれ自体が術式に似た効果を持ち、場合によっては意志や肉体すらも持つことがあるためだ。種類や性能にバラつきがありすぎて、大雑把にしか括ることができないのである。
モノであるがゆえに秘匿・取引・窃取・作成が容易で管理が難しく、またそれと知らずに骨董品として市場に出ることもあるため、呪術総監部が把握していない呪具の総数は、把握・登録済みのそれの数倍にのぼると推定されている。
「――そういう、未登録の呪具が突発的に一般人……つまり非術師に危害を加える事例は時折報告される訳ですが、まあ今回のは飛び切りですねぇ」
島根県某所、林立する公営団地の近くに建てられている古びた公民館。
普段は囲碁教室にしか使われないようなホールは質素なパイプ椅子を並べて即席の会議室として設営され、10人ほどの人々が詰めている。そのほぼ全員が近隣の人間ではなく、観光資源もなく人の出入りが少ないこの場では異彩を放っていた。
彼らは表向き、某私立大学による民俗学に関する調査のためここを訪れたということになっている。
「呪具の中でも人命、特に女性や子供のそれが関わるとえげつない仕様になりやすいと言われてます。それこそ今回の件とか、話聞いた瞬間『水子かぁ……』ってなりましたからね」
「そんなカワサキのバイクを修理工に持ち込んだ時みたいな……」
だが、先ほどから備え付けのホワイトボードに指示棒をぶつけながら講釈をする女性はともかく、ツッコミを入れた青年は20代の半ば頃に見える。集まった面々の年齢はバラバラで、ボリューム層は30~40代だ。
「そう! まさにそーなのですよ分かって頂けますか! 聞いた瞬間あっこれ絶対ろくでもないやつだなーってなっちゃうあの感じ! まさしく高レベル呪具あるあるってヤツなんですよぉ」
興奮してずり落ちた大き目の丸眼鏡をあわてて直す女性は、低めの山を登る時のようなトレッキングシューズに短パンとレギンス、アウターとスポーティな格好で纏めている。もっとも、彼女のそれは運動のために集めたのではなく、フィールドワークや呪具集めで外を駆けずり回る内に収束していったものであるが。
早口でまくし立てがちで対人能力に難はあれど、その呪術……とりわけ呪具に関する知識量は本職の学者や神職を凌駕している。でなければ、高専生でありながら同所の忌庫番……日本中の呪具が集められる貯蔵庫の管理を任されることはないだろう。
呪術高専京都校3年、井口楓。高学年になり授業カリキュラムに余裕が多くなった彼女は、他の学生たちのように遊興や恋愛に精を出さず、これ幸いと日本中を飛び回って呪具集めに奔走している。
つまるところ、彼女は筋金入りの呪具オタクであった。
「はは、嫌なあるあるだなぁ」
横で合いの手を入れている糸目の青年は、痩身にTシャツでチノパンのラフな格好をしている。首から小さな勾玉を下げている所が辛うじて呪術師らしさを示しているが、それ以外は駅前にいくらでも居そうな容姿であった。
特別一級術師、守矢拓斗。普段は中部地方を活動拠点としている彼だが、この日は京都高専からの応援要請に応え、はるばる西日本までやってきていた。
「しっかし……」
言葉を口の中で転がしながら、拓斗がそれとなく周囲を見渡す。
初夏とは言えそれなりの暑さの中、エアコンが設置されていない室内は閉め切られている。そのせいでさっきから熱弁を振るっていた楓などは眼鏡をはずして汗ばんだ額を拭っているが、彼が話題にしようとしているのは部屋の熱気ではなかった。
高専忌庫番の楓と特別一級の拓斗を筆頭に、会議室に集められた面々は誰も彼もが名の知れた呪術師、あるいはその道の研究者。
これだけの面子が自分と同じく、具体的な情報について伏せられたままここに集められたとしたら、これは相当な大事だ。
「あれは高専の……庵とか言ったっけ? 雨宮の婆さんに、あっちは禪院。特級案件としても過剰戦力じゃない?」
視線が示す先には、楓と同じく京都高専から派遣された準1級術師、庵歌姫。「あの」空閑に並ぶと言われる名門「雨宮家」の現当主である老女、さらに禪院家からも人員が出ている。
普段は身内だけで事に当たる高専関係者が、それを曲げて(禪院はともかく)拓斗のような管理外の強者に声をかけているというだけでもかなり厄介な状況なのは理解できる。その上で、こうして忌庫番たる楓を動員して呪具の解説をしたとなると、この島根の田舎町に特級クラスの呪具が出現した可能性は高い。拓斗の頭脳は、そう察しを付けていた。
「んまあ、そうなんですけどね。何ならもーっと凄い人来ますよ」
いたずらっぽく「にしし」と笑って見せる楓の言と同時、ノックと共に入口のドアが開かれる。
「すみません、遅くなりました」
部屋中の視線が入口に注がれ、ややあって動揺が広がる。
現れたのは、大柄な少年1人。年の割に背は高いがまだ幼さが残っており、事情を知らない人間なら地元の子供が誤って入ってきたと勘違いしたかもしれない。
竹刀袋と大きなバックパックを背負った姿は、私服姿ではあるが部活や稽古帰りの中学生のよう。
だが室内に、そのような微笑ましい空気はなく。
「あれ、空閑の……!」
「なんでここに、謹慎中って聞いたぞ」
「あの年で特別一級なんだってな」
「力に物言わせて女を食い散らかしてるとか」
「つまり鬼畜ショタってことですか、ヤバいですね」
集められた呪術界の有力者たちは、皆その子供がどういう人物であるか知っていた。
名門「空閑家」が誇る麒麟児。
術式の発現以来、異常なスピードで成長を続ける最年少特別一級術師。
五条悟に続く現代の異能。
そして、五条悟に次ぐ業界の問題児。
同じ特別一級からしても「異次元の才能」としか言えない存在の出現を前に、拓斗はこれから説明される任務の内容について、脳内での警戒度をさらに1段階上げた。
もはやこれは特級案件どころの騒ぎではない。恐らく全国規模の何かが起きようとしている。
「空閑徹君よね? 道中で呪霊狩りして来たのは聞いてるわ。まだ本題入ってないからそこ座って」
一瞬にしてヒリついた空気が満ちた場を代表して、高専から派遣された術師である歌姫が対応する。
巫女服の袖を振って差した席は、なんとなく誰も座らなかった最前列。
周囲の面々に軽く挨拶してからそこに座った徹は、周囲の視線を物ともせずカバンからノートとペンを取り出してホワイトボードの内容を書き留めていく。
「えっと、だいじょぶ? 理解できそ?」
「はい、ここまでのお話は家でも学んでいますから」
「へぇー偉いねえ」
この中では唯一の一般家庭出身者である楓だけは「飛び級で大人たちに並んで働いている天才少年」くらいに考えているため、純粋に感心したような声を上げている。他の面々は「懐が大きいのか何なのか……」と呆れ気味であったが、同時に緊張感が多少なりともほぐれて行った。
ともかく、徹が話に付いてこられることを確認した楓は、ホワイトボードの前に立ってわざとらしく咳ばらいをすると、再び得た情報を語り始める。
「ええとじゃあ、改めて本題にうつります。呪具の等級と複雑性についてはさっきお話した通り」
そこで話を一区切りし、それまでと打って変わって真剣な表情になった楓が再び口を開いた。
「で、今からおよそ2ヶ月前、ここの近くの神社で封印されていた特級呪具"コトリバコ"が何者かに奪われました」
コトリバコ。
その名が出た瞬間、場の数人に再び動揺が走った。
「ああ、流石に名前くらいは知られてますよね。そ、何年か前にネットに情報が出回ってたアレです。あれと"くねくね"のせいで高専にネットロア監視部門が出来たってくらいには大騒ぎになりました。まあ、その時はわたしまだ小学生でしたから、当時のことは伝聞でしか知りませんけどね」
対する楓はあくまで平常運転。
「知らない方のためにざっくり説明しておくとですね。"コトリバコ"は動物の雌の血と水子の死体の一部から作る、渡した相手を一族もろとも葬り去ると言われる強力な呪具のことです」
材料からしてそれが呪具らしくロクでもない代物であり、効果もまたそれに準ずることは、この説明でも十分に伝わった。
沈黙の中、楓が続ける。
「作成手順が流出したのは1860年代。島根のとある被差別部落に、呪詛師と推定される男が製法と共に持ち込んだのが初出と言われています。ネットに出るまで作り方に関しては情報封鎖されていたので、問題になる呪具は原則この時期に作られたモノです。そこからだいたい150年経つワケですが、地元、つまりここ島根の術師と高専の共同戦線をもってしても一部の箱の解呪が終わってないんですよ」
淡々とした事実の羅列が、錚々たる面子に重い沈黙を強制するだけの力を持っている。
高等級の呪具の来歴は得てしてそういうものだが、この箱に関しては特にその傾向が強い。
「ちょっと話変わりますけど、特に西日本で行われる呪殺は、オンラインゲームで言うところのMPK*1みたいな形をとることが多いんです。強大な存在、ここでは「この世のものならざるモノ」を誘導し、相手にけしかけて、殺したり祟ったりしてもらう。コミュニケーションを取ろうとか、交渉して制御しようとか、ハナから考えてないんですよ」
まあ日本にも狐憑きとか式神使いとか例外もいますけどね、と補足して、楓はさらに説明を追加する。
「非術師の間で使われるような呪いの道具だとこの傾向が特に顕著で、例えば呪霊の好む匂いや微弱な呪力を発する道具を送り付けて、結果的にその人が呪霊に襲われるように仕向ける形のものが多くあります」
――この方式の何がヤバいって、致死の呪いを込めるよりよっぽどコスパがいい所なんですよね。
そう語る楓の表情は、あくまで普段通り。ゲームの攻略法でも語っているように気負わず話す姿は、彼女が呪術界を危なげなく渡ってこられたことを裏付けるだけの「狂気」を湛えている。
「エビで鯛を釣るって言うじゃないですか。あんな感じで、込められた呪力はいいとこ3級レベルなのに、下手すると1級クラスの呪霊がつられて来ちゃうみたいな。そういう等級詐欺がいっぱいあるせいで、呪具の等級決めはいつまで経ってもガバガバ判定なとこがあるんですよぉ」
で、なんでこの話をしたかなんですけど。
"コトリバコ"はいわば、この思想の完成形にある呪具なんです。
ビッ、と人差し指を立てて宣言する彼女の話を、場の面々はすっかり聞き入っている。
――箱そのものは、負の感情の受け皿です。誰かの恨みの気持ちを呪力に変換し蓄える。ここまでは呪具にありふれた機能ですが、凄いのは、中に入れた水子の霊が放つ強烈な呪力が、箱という制御装置を通して指向性を持つことです。
さっき言った通り、女性と子供は強い呪力を発しやすいとされています。女性は個人差ですがヤバい怨念の持ち主が生まれがちなため、子供は幼いほどその意思が純粋で、出力が一点に纏まりやすいためです。水子、つまり産まれられなかった赤ちゃんのソレなんか強烈すぎて非術師や低級の呪詛師に扱える代物じゃありません。よくて「穴二つ」、普通は自滅で終わります。
それを「箱」という概念で覆うことによって濾過、そう濾過という表現が近いですね。純粋な負の感情の塊としての呪力に、「○○が憎い」という形と方向性を与える。結果として、手に負えないはずの存在に、「コイツやっちゃって」と遠回しに指示を与えているんです。
そうやって、水子の生み出す負のエネルギーを余すことなく標的にぶつける仕組みが出来上がってるのがコトリバコ。もはや呪具ってより、箱が信管と誘導装置の役割をしている呪力ミサイルと考えたほうがいいですね。それもクラスター弾。"表"の世界でV2ロケットが飛ぶ80年も前にコレですから、開発者は間違いなく天才ですよ。悪い意味で。
「あー……それで、盗まれた箱についての情報は?」
ペラペラと情報を並べ立てる楓に突っ込みを入れたのは、やはり拓斗だった。
「アッ、ごめんなさい! こういうの、つい早口になっちゃって」
指摘を受けて楓は恥ずかしそうに顔を赤らめると、所在なさげに眼鏡を動かしたあと、コホンとわざとらしく咳をして話を再開する。
――ええと、コトリバコには材料に使う水子の人数によって1から8の強さのグレードが定められています。が、現代までに解呪が完了していないのはそのうち、7人分使う「シッポウ」3個と8人分使う「ハッカイ」1個、合わせて4個です。これらは全部特級呪具相当とされているんですが、中でも奪われた箱は、最強の「ハッカイ」です。
これらの箱はこの土地の神社が数年ごとの持ち回りで管理するという取り決めだったんですが、2か月前は丁度箱の移動があった時なんです。
移動のために箱が持ち出された所を狙われて……護衛に出ていた高専の術師は全員行方不明。うち一人、二級術師は裏ビデオの専門サイトで「オルガン」にされてるのを確認されました。これ相当ヤバい呪詛師がバックに居ますね。強さってより、性癖が。
「……無体な」
後列でじっと聞いていた「雨宮家」の老人がポツリとこぼす。彼女はこの時犠牲になった呪術師と顔見知りで、高専卒業後は2学年上に当たる術師の男性と結婚を控えていた若い女性であることを知っていたからだ。
この場にそれ以上、「オルガン」という言葉の意味について敢えて問いただそうとするものはいなかった。
少なくとも、コトリバコの成り立ちについて嬉々として語る女である楓が、「それ」を話す時は言い淀んで眉をひそめた。ことの次第を窺い知るには、それで凡そ十分であった。
――話を戻します。現在想定される脅威は大きく4つ。
まず、実行犯の呪詛師が個人的に箱を活用して、さらなる悪事に手を染めること。
次に、実行犯の後ろにより凶悪な呪詛師……例えば、あの夏油傑とか、そういう存在がいること。
さらに、箱が「受肉」を果たすこと。
最後に、箱の作り方を解析されること。これが最も大きなリスクと、上は判断しています。
「箱本体より製法のほうが危険?」
特級呪具の作り方が呪詛師に伝わるのは確かに脅威だが、特級呪具受肉というシナリオの方が危険に思える。そんな意見を代表して伝えたのは、歌姫であった。
それに呼応し、一瞬顔を伏せてから……何かを決意したような面持ちで、楓が語り始める。
「……箱の一番厄介な所は、製法が簡単なところ。確認が取れている訳ではありませんが……作り方に関する情報と相応の材料、そして強固な怨念さえあれば、
場に衝撃が走る。
「エネルギー源となる水子の遺体はあくまで実在する物質ですから。呪霊の自然発生を誘発するような仕組みなので、例えば狂った女が覚悟を決めたら、10年かそこらの時間があれば1人で「ハッカイ」を生み出せてしまうかも知れないんです」
ごくり。
誰かが生唾を飲む音が、いやに大きく聞こえた。
「実際、シッポウやハッカイは強力ですが、受肉さえしてなければ一級術師が取り殺されるほどではありません。非術師が呪術テロを起こせるようになるかも知れない、という危険性こそが、箱を特級たらしめているんですよ」
非術師が呪術テロを起こせる。
それがどれだけ危険なことかは、その場の全員が間違いなく理解している。
だからこその無言。皆、それなり以上に強力な呪具であるコトリバコの知名度がいやに低かった理由に思い至っていた。
「だからこそ、これまでコトリバコの作り方は最重要機密として厳重に管理されてきた訳ですが……数年前にその一部がネットに流出しちゃいましたから。不完全な情報と現物が揃えば、作成方法を復元されてしまう恐れがあるんです」
ここまで言われれば、誰にでもわかる。
既に対処は後手後手に回って失敗しており、最悪の状況は眼前にまで迫っているのだ。
「事ここに至って上層部は、ようやくなりふり構わず事態を収拾しにかかったんですよ。この場に集まった人とその一族に対しては秘匿制限を解除するとお達しを受けています。皆さんには残りの箱の護衛と、奪われた箱の奪還、そして下手人の始末をお願いしたいのです」
要するに、高専の戦力で対処できなかったから、ようやく秘密裏の事態収拾を諦め地方名家に協力を頼んだと。
――場の空気を感じ取ってか、楓の手が小刻みに震えているのが見て取れる。
少なくともこの場に集まった面々は揃って不愉快げに顔をしかめたが、同時に呪術界そのものの危機を前にして責任追及に興じるほど上層部に染まってはいない。
上層部もまた、そう判断してこの面子を集めたのだろう。
そして、「思ったより怒った場合」のスケープゴートとして、最悪殺されても許容できる歌姫と楓をここへ派遣したのだろう。普段は割と社交的な歌姫がほとんど聞きに徹していたのは内心の緊張と、事実上「失っても何とかなる存在」として切り捨てられたことに対するショックからか。
それがわかっているから、空閑も守矢も雨宮も、高専の回し者である二人を糾弾するようなことはない。
各々が上層部への不信感を強めたところで、ここまで沈黙を保っていた徹がおもむろに口を開いた。
「……呪胎九相図となにか関係が?」
「うぇっ!?」
今度は楓が驚愕する番だ。
「あれも確か特級で、水子を使った呪具で、最大8人使用のコトリバコに対して九相図は9人使用。極めつけに製作年代が重なっている。関連を見出さない方が不自然でしょう」
もちろん、徹が呪胎九相図のことを知っているのは「原作」を読んだことがあるからだ。
だが名門「空閑」の次期当主という立場と、最年少特別一級術師の実力があれば、このような無茶が比較的通ると彼は知っていた。
突然登場した特級呪具の名にどよめく術師たちの中で、楓だけは痛い所を突かれたとでも言いたげに苦悩する。
「ぁ、う……」
楓は何かを言おうとして口を2、3度ぱくぱくと動かしてから、観念したように顔を伏せた。
「はい。徹さんが言った通り、我々……というかわたしは、あの二つの呪具には関連があると考えています」
何度目か分からない驚愕に包まれる室内をよそに、楓と徹は話を進める。既に二人は、他の面々が話に付いてこられているか気遣う余裕を失っていた。
「コトリバコと九相図の推定製作年代は非常に近い。それこそ、箱の作り方が知れ渡った直後、ともすればほぼ同時に、九相図の1人目が作られていただろうと推測できるほどに」
九相図は東京校預かりの特級呪具であるが、楓は京都高専の忌庫番として、一度だけ本物を見たことがある。それに関する資料もだ。
この場において唯一、彼女は「コトリバコ」と「呪胎九相図」、両方の性質と来歴を知り、考察する時間を有していた。
その結果導き出されたものは、この時徹が抱いた嫌な予感と同じもの。
「これは、あくまで推測なのですが。箱は、九相図の設計思想が正しいことを確認するために作られた、技術実証機みたいなものだったんじゃないかって。……そして、その技術に箱を外付けして兵器転用し、実験として田舎の被差別部落……政府や呪術界の目が届かない場所に投入した」
震える声で、それでも徹は声を絞り出す。
「つまり、コトリバコは呪胎九相図の試作品で、製法を伝えた人間は――」
――おそらく、加茂憲倫。
今度こそ、室内は重い沈黙に包まれた。
名前 :井口楓(いぐち かえで)
性別 :女性
年齢 :17歳(13話時点)
身長 :だいたい155cm
所属 :京都高専3年/同忌庫番
階級 :3級呪術師
趣味 :呪具の由来や歴史を想像すること
好物 :悲恋の末に完成したタイプの呪具
苦手 :魚
ストレス:上層部の無茶ぶり
備考 :オタ友に言われた「名前は井口だけど声は悠木」の意味を最近理解した。
名前 :守矢拓斗(もりや たくと)
性別 :男性
年齢 :25歳(13話時点)
身長 :170cmちょい
所属 :とある神社の神職
階級 :特別一級術師
趣味 :生き物の観察
好物 :ユッケ
苦手 :味の濃い料理
ストレス:呪術総監部との折衝
備考 :超のつく辛党だが、周りの目が痛くて普段は自重している。
6/11 12:00追記 一部表現を加筆修正。