禁じ手?を使ってしまいました。m(_ _)m

メンテが完了し現役復帰した「TEAC C-1Mk2」ですが、使って行くとやはりと言うか音に若干の不満点が出てきます。

まぁ音質が悪いという事では無くて"もうちょっと低域に押しが欲しいなぁ"というファジーな感覚

で、回路をチョット弄って音を作りました。

本来カセットデッキに限らずアナログテープレコーダーは、まず再生系を規格に基づいてキチッと調整して、その後で録音系を調整して全体の特性を出すのが基本だと思いますが......σ(^_^;)

今回この"基本"を破り、再生系の回路を修正して若干低域のレベルをアップしました。

弄った場所は"再生イコライザー回路"です。その中の低域時定数を変更しました。

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上の回路はTEAC C-1Mk2の再生系回路の一部抜粋ですが、青枠内が再生イコライザーの回路になっています。なお、Q104のFETは高域時定数の70μsと120μsを切り替えるスイッチです。

低域の時定数は緑枠内の「C107@0.015μF」と赤枠内の「R110@220kΩ」で決めていて、この値で計算すると「3300μs」になります。

なお、70μsと120μsの高域時定数はと言うとメタル&CrO2ポジション時は「C107@0.015μF」と「R112@5kΩ(VR)」+「R113@2.2kΩ」の組み合わせ。ノーマル時はそれに加えて「R111@3.3kΩ」をシリーズに接続した組み合わせで決めていて、「R112@5kΩ」のVRが中点の2.5kΩと仮定して計算すると、それぞれ「70.5μs」と「120μs」となり、規格値とほぼ同じ時定数になりますね。

再生イコライザー回路はこの様な構成のため「C107@0.015μF」は高域時定数の決定も担っている事になり、安易に変更は出来ませんから「R110@220kΩ」の値を変えて低域時定数を変更する事になります。

抵抗値を大きくすると時定数が大きくなり、より低い周波数にシフトして行きます。

ただし、この様に再生イコライザーの時定数を変更して音を作るのは本来は"禁じ手"に近いと思います。

厳密には他機種との互換性の維持という面で支障が出てくる可能性があるので、本当はあまりやりたく無い手法ですね。

まぁ民生用のコンパクトカセットですから......σ(^_^;)

TEAC C-1Mk2の低域時定数は、元の回路で計算すると「3300μs」になりますが、本来規格上では「3180μs」のハズで、その場合R110は「212kΩ」にする必要があります。

ですがTEAC C-1Mk2のヘッドは低域が弱い様で、また回路的にも低域が弱いのか?、時定数を3300μsとして若干補正量を減らして低域レベルの補償をしている様ですね。

低域が弱いヘッドとなると、同じヘッドを採用しているC-2やC-3などの他のCシリーズにも同じような弱点があるのかも知れませんね。暇な時にでも回路研究してみようかな?

なお、イコライザーのカーブや時定数は回路設計や使用する部品の特性、部品の配置などのファクターで、設計値や理論値から外れる事が多いので、メーカー設定の「3300μs」が必ずしも間違いという事ではありません。メーカーでは最終的に規格値に近い特性となる様に設計しています。

イコライザー時定数の計算など、こちらの記事をご覧下さい。

抵抗とコンデンサーで構成したCR型イコライザーの時定数や周波数を考えてみよう。

このR110@220kΩに22kΩの抵抗器をシリーズ接続して「242kΩ」として時定数を低い周波数にシフトさせて、更に低域補償量を増やしました。

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赤丸内の抵抗器がその抵抗器「R110」です。既に「220kΩ+22kΩ=242kΩ」に交換してあります。

この場合、低域時定数は「3630μs」になります。

周波数にして「約44Hz」ですね。規格値の3180μsだと「約50Hz」で、メーカー設定値の3300μsですと「約48Hz」です。

※ 周波数的には本当に微細な違いですが、実際音にすると意外と違うんですよね。

ちなみに、高域の時定数「70μs」と「120μs」の場合は、それぞれ「約2274Hz」と「約1326Hz」になります。

この変更で、理屈上では概ね50Hz~60Hz以下の低域のレベルが若干上がるはずです。

実際にやってみた結果、220kΩ単体の時より242kΩの方が、概ね「0.7dB~1.0dB」程度低域の再生レベルが上がりました。

※ すみません、調整と測定と試聴に夢中で画像を取るのを忘れてしまいました。

220kΩにシリーズに接続した22kΩも、当初は半固定VRを繋いで最適値を探りまして、その時は62kΩが最適値か?の様に見えたのですが......

......実際に視聴してみると低域の押しが結構強くて、低域大好きな方には良いのでしょうが私には強すぎます。

それに私の考えとしては"低域の押しを軽くアップさせたい"と言う思考なので、62kΩはちょっと大き過ぎる。

で、逆に減らして10kΩや15kΩでは低域の押しが少々弱くてオリジナルとあまり変わらずで、最終的にカットアンドトライで見つけた最適値が「22kΩ」だったと言うわけです。

ちなみに、テスト時の定数「220kΩ+62kΩ=282kΩ」の場合の低域時定数は「4230μs」となり、結構な補正不足になって低域過多になります。4230μsは周波数にして「約37Hz」ですね。

「220kΩ+22kΩ=242kΩ」の場合のレベル上昇は0.7dB~1.0dBと小さな変化ですが、それでもソースとTAPEで比較すると低域の押しが強くなっているのが分かります。

※ 比較視聴には、SONYのモニターヘッドフォン「MDR-CD900ST Umbrella改」を使用

"スッキリ素直なTEACの音"とはホンのちょっと違ってしまったかも知れませんが、嫌みの無い押しの強さで、まぁまぁ自分の好みの音になったので、一応成功かなぁと思っています。