神戸在住の女性Ｋ様から「泉質の良い銭湯があるから連れて行きたい。晩御飯をご馳走したい」とご連絡をいただいた。私の正しい使い方である。Ｋ様は二十代の独身で、肌艶が異様に良く、健康オタクだと言った。美容には男が必要で、異性との触れ合いが女性ホルモンを活性化させる。根が真面目だから、地元で無茶はできない。だけど、旅先では好奇心が爆発して好き勝手に暴れまわってしまう。いい子でいなきゃと思う自分と、後先考えないで突っ走ってしまう自分に、引き裂かれそうになる。Ｋ様は、そのようなことを言った。

最近もＫ様は旅行をして、勇猛果敢なアプローチの結果、宿泊先の男性オーナーを食べた。男性オーナーから「今度いつ来れる？旅費を出すからまた来てよ」と言われた。最初は舞い上がったが、徐々に「人から金をもらって遊んでもいいのか」と後ろめたさを感じて、返信できないでいる。男性オーナーは三十歳年上で、筋骨隆々だが、将来性はない。深入りするのも危険だし、海外留学のお金も貯めたい。地元にもデートに誘ってくれる男の人たちはいるのだけど、私は真面目過ぎるのでしょうか。Ｋ様は、そのようなことを言った。

私は「真面目と言うより、受け身なんだと思う。旅費だけではなく、留学資金もぶんどってくればいいのだと思う」と言った。Ｋ様は「そうなんです！！受け身なんです！！留学資金も貰えたら最高ですね！！その発想はありませんでした！！」と、あがった。好きでもない男からデートに誘われても、自己肯定感は高まるかもしれないが、関係性は続かない。真面目になって振る舞うより、使い捨てのつまみ食い、飽きたらポイ捨て、お前の代わりはいくらでもいるのだから悔しかったら男を磨けのストロングスタイルでも構わないと思う。そっちの方が、真面目な女よりもいい女だ。

Ｋ様から「人とぶつかるのは怖くないですか？」と聞かれた。私は「ぶつかるために生きている」と言った。Ｋ様は「父親が癇癪持ちで、すぐに機嫌が悪くなる。両親は不仲で、母親は落ちる時はズドンと落ちるから、幼少期は自分が間に入ってバランスを取ってあげていた。だけど、最近は不仲なら不仲なまま生きればいいよと思うようになり、干渉しなくなった」と言った。確かに、身内に癇癪持ちがいると、ぶつかることは怖くなる。ぶつかるとは、ちんぴらみたいに手当たり次第いちゃもんをつけることではなく、相手のコアに肉薄すること、あ、この人素敵だなと思ったら「素敵だなと思ったので抱き締めてもいいですか？」と、ストレートに自分の要求をぶつけることだ。

真面目は水。好奇心は炎。好奇心の炎を真面目で消すと、正しくはなるが、楽しくはなくなる。旅行している時の自分が好きなら、地元も旅気分、あたしは地球に旅に来ているのよのストロングスタイルでやりたいようにやるのがよろしい。関係性が続かない自分は人間的に欠陥があるのかななどと思い悩む必要はない。真に面白い男に出会ったら、他の男と遊んでいても「あいつといる時の方が楽しいな」となって、結局最後はそいつに戻る。頭はネガティブ。体はポジティブ。考え過ぎると自滅する。常識に真面目になるのではなく、自分の好きに真面目になろう。自分を犠牲にする方向ではなく、女性ホルモンが活発化する方向に真面目になろう。受け身になるな。爆撃だ。お湯もほっときゃ水になる。熱く生きたきゃ、焚き付けろ。俺がお前の薪になる。男一匹、京都行く。