いじめで不登校になった横浜市立学校での事案を巡り、その学校がいじめ防止対策推進法に基づく重大事態調査を行うことに被害者の家族から疑問の声が上がっている。対応が後手に回った学校が自ら検証するのは難しいのではと疑問に思うからだ。市教育委員会は弁護士を加えることで調査に第三者の視点を取り入れるとして理解を求めるが、家族の疑念は払拭できていない。
家族によると、市立中の生徒は同級生にからかわれたり、無視されたりし、不登校を余儀なくされた。生徒の学校への恐怖心は強く、登校再開は諦めざるを得ない状況という。
学校はいじめと認知したものの、生徒や保護者には被害者を守る姿勢が感じられず、真相を究明して生徒が安心して通学できるようにするための努力も不十分に思えたという。
今回の事案を教訓に有効策を講じてほしいと考え、保護者は2024年度に調査を申し立てた。第三者委員会が実施すると想定していたが、市教委は弁護士を交えて学校主体で調査する方針を示した。保護者は「当事者の学校が検証できるのか」と疑問を呈したが、市教委は「何が問題だったのか、学校に考えさせたい」との理由で押し切ったという。
学校主体の調査に保護者から疑問が出ている点について市教委は、国の指針が第三者の関与を必須とまではしていない中で「横浜では学校主体の調査でも必ず弁護士を加えている」と説明。公正で迅速な調査と支援を両立する観点から「弁護士が第三者の視点で学校の対応を検証しつつ、調査に関わるスクールカウンセラーら関係者による継続的な支援にもつなげたい」とする。
一方、保護者は調査の結果、根本策が提示されることを望んでおり、「弁護士を関与させたとしても、学校主体の調査でそれは可能なのか」と首をかしげる。改定された「市いじめ防止基本方針」でも、不登校事案は学校主体で調査する原則が示されており、有効策になるのか疑問という。
基本方針の改定は2020年3月に起きた市立中2年の女子生徒がいじめを苦に自死した事案を受けてのものだが、市教委の対策は対症療法的に感じるといい、保護者は「誰もが安心して学べるよう、教育や学校の在り方自体を見直す取り組みこそ進めてほしい」と訴えている。
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