はじめに
2024年12月8日に、記事の内容を全面変更しました。
これまで該当のしんぶん赤旗記事を「デマ」としておりましたが、判定を「全体的に不適切」に変更します。
日本共産党支持者との口喧嘩をした後、自分で該当の赤旗記事を見返したところ、赤旗記事作成の意図を読み間違えていたのでは、表現を変更した方が良いのではと思うようになり、ある方と相談しました。
その方から「デマは言い過ぎ」と指摘され、表現を改め、内容も全面的に変更・加筆しました。
過激な表現で日本共産党の関係者及び支持者の気分を害する事になってしまい、申し訳ございませんでした。
とはいえ、その過激な表現を無かった事にすべきではないと思い、記事内に魚拓を用意しました。「続きを読む」からどうぞ。
ざっくり言うと
・「れいわを立ち上げた2019年の段階では、消費税減税の『げ』の字も国会の中には存在していなかった」という山本太郎氏の発言を、しんぶん赤旗は「事実に反する」と主張。
・れいわを立ち上げたのは2019年4月1日前後で、この時日本共産党は消費税減税(廃止)の主張を封印し増税中止で戦っていたため、山本氏の発言は事実には反しない。
・「この選挙では自民、公明、立民以外の全政党が消費税減税にシフトしている」部分も、特に事実には反しない
・「1989年から一貫して減税・廃止を求めてきた」と日本共産党は言うが、実は2012年~2019年9月または8月までの約7年間、消費税減税・廃止の主張を封印し、増税中止一本で戦っていた。"一貫して"と言うのは「看板に偽りあり」だと思う。
・以上の事から、この赤旗の記事は「全体的に不適切」
※「日本共産党+民青同盟悪魔の時点+」みたいな反共による引用は断る!
【魚拓】【題名変更】衆院選投票日の赤旗「れいわ山本代表 (消費税減税の動きについて)事実に背く発言」は『デマ』&日本共産党の消費税主張の変遷 - 零狐のブログ
【魚拓】衆院選投票日の赤旗「れいわ山本代表 (消費税減税の動きについて)事実に背く発言」は『実質デマ』&日本共産党の消費税主張の変遷 - 零狐のブログ
- 検証ついて
- 赤旗記事全文
- 山本太郎氏の発言
- 問題① 「(れいわを立ち上げた)2019年の段階では、消費税減税の『げ』の字も国会の中には存在していなかった」について
- 問題②「(2019年の時と比べて)この選挙では自民、公明、立民以外の全政党が消費税減税にシフトしている」について
- 問題③「日本共産党は1989年から一貫して消費税減税・廃止を求めてきた」について
- 「山本氏の発言は、こうした事実を無視する暴論です」について
- なぜこんな記事を作ってしまったのか?
- おまけ:2002年~2011年ではどうだった?
検証ついて
衆院選投票日である2024年10月27日に、赤旗はサムネの記事を作成しました。
「れいわを立ち上げた2019年の段階では、消費税減税の『げ』の字も国会の中には存在していなかった」「この選挙では自民、公明、立民以外の全政党が消費税減税にシフトしている」発言について、しんぶん赤旗→日本共産党は「事実に背く」「1989年から一貫して減税・廃止を求めてきた」と主張しました。
確かに日本共産党が最初期から消費税に反対しているのは事実ですが、果たして山本氏の発言は本当に事実に背くのか。
そして日本共産党は本当に"一貫"しているのか。
過去のしんぶん赤旗ウェブ版を中心に使い、検証します。
赤旗記事全文
※太字にした部分が、赤旗の不適切な部分です
れいわ新選組の山本太郎代表は26日、東京・JR有楽町駅前で行った演説で、消費税に関して事実と異なる発言をしました。
山本氏は「(れいわを立ち上げた)2019年の段階では、消費税減税の『げ』の字も国会の中には存在していなかった」と発言。「一方で、この選挙では自民、公明、立民以外の全政党が消費税減税にシフトして(立場を変えて)いる」と重ねて事実に背く発言をしました。
日本共産党は、逆進性によって格差を広げる消費税の導入に反対し、導入が強行された1989年以降、一貫して減税・廃止を求めてきました。2019年は、当時の安倍政権が消費税増税を画策。共産党は国会や参院選で徹底論戦を行っていました。山本氏の発言は、こうした事実を無視する暴論です。
山本太郎氏の発言
「2019年、1人で山本太郎が旗揚げしたのがれいわ新選組。その旗揚げした際に、私はまだ参議院議員1期目の終わり頃だったんでチラシをつくったんです。チラシ。政策を書いたチラシを国会の中で自民党の知ってる先生。その他の先生。先生っつってんのは先生とは思ってません。名前を覚えるの大変なんで先生って呼んだら楽なだけです。話、戻ります。先生方に見ていただいたんですね。よければ感想くださいねって。どんな感想が返ってきたか? 笑いですよ。笑い。笑笑笑笑。「馬鹿なんじゃないか? 山本太郎。30年も国民が当たり前のように自動的に払うようになった消費税を今さら下げると言って誰が反応するんだ? センスないよな。しかも廃止にできるなんてほとんどの人が思わないよ。おまえ、1人で旗揚げして大丈夫ですか? やめといたら?」そんな反応だったんです。つまり、2019年の段階では既に経済は悪い状態だったけれども、消費税減税の「げ」の字も国会の中には存在してませんよ。一方でこの選挙、皆さん、各党の政策ご覧いただいたらわかる通り、自民、公明、立憲民主党以外のすべての政党は消費税減税にシフトしてます。」
問題① 「(れいわを立ち上げた)2019年の段階では、消費税減税の『げ』の字も国会の中には存在していなかった」について
「2019年の段階」とは言ってますが、文脈的にはれいわ立ち上げ時の2019年4月1日前後の事を指しており、「2019年全体」ではないと思います。
10%増税後の2019年10月以降の話は文脈的に不自然として除き、まずは2019参院選の公約を見てみます。
2019参院選「希望と安心の日本を 参院選にあたっての日本共産党の公約」
「消費税増税の中止、くらしに希望を――三つの提案」を行っています。
増税『中止』です。
財源などの内容は超具体的ですが、『増税中止』です。
山本太郎氏の発言は間違っていなさそうに見えます。
次に、新聞の「社説」に相当する赤旗の「主張」を見てみます。
・2019年1月26日「主張 勤労統計不正・偽装 消費税増税強行の根拠崩れた」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-01-26/2019012601_05_1.html
「安倍政権が『十二分』という増税対策も、食料品などの税率据え置きの複数税率導入や、キャッシュレス決済の場合のポイント還元、効果が疑わしい「プレミアム」付き商品券など、制度を複雑にし、国民の暮らしや営業の各分野で混乱を拡大する愚策ばかりです。『対策』に要する費用は、増税による増収額を大幅に上回り、『何のための増税か』との批判が、与党内からさえ出ているばらまきです。“百害あって一利なし”の10%への増税は中止しかありません。」
・2019年2月14日「主張 予算委・消費税論戦 苦しむ国民見ない首相は失格」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-02-14/2019021401_05_1.html
「増税に固執する首相は、無責任の極みです。消費税の増税阻止とともに、安倍政治を終わらせるたたかいがいよいよ重要です。」
・2019年2月28日「主張 消費税増税『対策』 混乱・負担がますます拡大する」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-02-28/2019022802_01_1.html
軽減税率やポイント還元の意味不明状態を論じたもの。でもあくまで増税中止。
・2019年3月13日「主張 3・13重税反対行動 消費税増税中止運動の弾みに」
https://jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-03-13/2019031301_05_1.html
・2019年3月23日「主張 消費税増税『対策』いよいよ混乱が増すばかりだ」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-03-23/2019032301_05_1.html
「直近の世論調査でも、「朝日」は「景気が悪くなった」が49%、消費税増税に「反対」が55%(19日付)、「産経」とFNNの調査でも、消費税増税に「反対」が53・5%(同日付)となっています。」
・2019年4月1日「主張 消費税導入30年 暮らし壊す悪税に頼らぬ道を」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-04-01/2019040102_01_1.html
「この30年で見ると、2019年度予算までの累計で397兆円に上る消費税の税収のほとんどは、大企業や大資産家への減税による税収減の穴埋めに消えた勘定になります」
消費税の問題をこれでもかと”主張”していますが、「10%への増税中止は文字通り待ったなしの課題」というようにここでは減税を”主張”していません。
・2019年4月6日「主張 経済情勢悪化 消費税増税などとんでもない」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-04-06/2019040601_05_1.html
やはりといいますか、「減税」文字はなありません。
・2019年4月20日「主張 消費税・萩生田発言 増税断念に追い込む審判の時」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-04-20/2019042001_05_1.html
・2019年5月14日「主張 景気動向の『悪化』 消費税増税の根拠は崩壊した」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-05-14/2019051401_05_1.html
「この経済情勢の中で、10月からの消費税の増税強行など最悪です。直ちに中止を決断すべきです。」
・2019年6月16日「主張 『骨太方針』原案 消費税増税の明記許されない」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-06-16/2019061602_01_1.html
「増税による駆け込み需要・反動減対策など、「十二分な規模」の経済対策をすると消費税増税を正当化します。しかし、そんな対策に巨費を投じるくらいなら、増税を中止すればいい話です。」
・2019年7月10日「主張 参院選と消費税 増税をやめて暮らしに安心を」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-07-10/2019071001_05_1.html
「もともと消費税は、低所得者ほど負担が重い逆進的な税制です。(中略)30年間で約400兆円に上る消費税の税収のほとんどは、大企業や富裕層への減税による税収減の穴埋めに消えた計算です。消費税の導入後、貧困と格差は拡大するばかりです。」
ここまで言っても結論は「増税中止」でした。
・2019年8月27日「主張 消費税10%が目前 不況進む中での増税は中止を」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-08-27/2019082701_05_1.html
・2019年9月11日「主張 消費税増税目前 国民には「駆け込む」力もない」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-09-11/2019091101_05_1.html
・2019年9月25日「主張 迫る「10%」の強行 消費税増税中止の声最後まで」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-09-25/2019092501_05_1.html
複数税率、キャッシュレス決済のポイント還元でワケワカメな税率になっている事を指摘した記事です。
消費税の「主張」だけでなかなかの数でしたが、2019年9月30日まで全部『増税中止』でした。
これを踏まえると、山本太郎氏の発言が「事実に背く」と主張するのはかなり不適切といえます。
以前の俺のように、「デマ」と言ってしまう人が現れてもおかしくはありません。
※タイトルには入っていないが、消費税に言及した「主張」記事は他にもありますが割愛します
とはいえ、ここまでは公約及び赤旗の記事。
実際に国会でどう主張したのかを見てみます。
さすがに国会審議をそのまま載せるのは難易度が高いので、赤旗の国会論戦記事を引用します。
ちなみに、幼児教育と保育の一部を無償化する「子ども・子育て支援法」改定案などの「消費税増税分を財源とした法案」についての審議はここでは割愛しています。
2019年1月29日「統計不正・偽装 全容解明を 吉良議員『消費税増税の根拠崩れた』 参院本会議」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-01-30/2019013001_04_1.html
「『決算の前提を揺るがす大問題』である毎月勤労統計の不正・偽装について、全容解明を要求。雇用・労災保険の過少給付は『あまりにひどい仕打ち』と批判し、全被害者の救済を求めました。さらに、消費税10%への増税の中止を迫りました。」
2019年1月31日「志位委員長の代表質問 衆院本会議」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-02-01/2019020104_01_0.html
「今年10月からの消費税10%は、どこからみても道理のかけらもありません。日本共産党は、その中止を強く求めます。
増税するなら、空前の大もうけを手にしている富裕層と大企業への優遇税制にこそメスを入れるべきです。富裕層の株のもうけに欧米なみの課税を行い、大企業に中小企業なみの税負担率を求めるだけで、消費税10%増税分の税収は確保できます。消費税に頼らない別の道を選択すべきではありませんか。」
2019年2月3日の記事「消費税増税 根拠総崩れ 「賃金増」は虚構 家計消費も減
首相まともに答弁できず 代表質問で鮮明」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-02-03/2019020301_01_1.html
「今年10月からの消費税10%増税は、どこから見ても道理がない」
「志位氏は政府が消費税10%増税の前提にしている『賃金が増加している』との認識について『政府の認識は虚構だった』と指摘」
2019年2月1日「小池書記局長の代表質問 参院本会議」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-02-02/2019020204_01_0.html
「今年度末で、消費税導入から30年となります。この間の消費税収は372兆円ですが、その期間に法人3税は290兆円、所得税・住民税は270兆円も減りました。消費税が、法人税や所得税などの穴埋めに使われ、財政再建にも、社会保障の拡充にもつながらなかったことは明らかではありませんか。
増税するなら逆進的な消費税ではなく、アベノミクスでさんざんもうけた富裕層です。富裕層の株のもうけに欧米並みの税率で課税し、400兆円を超える内部留保を抱える大企業に中小企業並みの税負担率を求めれば、消費税10%増税分の税収は確保できます。この道を進むべきではありませんか。」
2019年2月6日「18年度第2次補正予算案に対する藤野議員の反対討論/衆院本会議」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-02-07/2019020704_01_1.html
「本案は、10月からの消費税10%増税対策として、政府広報費、プレミアム商品券準備費等を盛り込んでいます。しかし、統計不正のもとで、昨年の実質賃金の伸び率がマイナスであったことが明らかとなり、消費税増税の根拠も崩れています。そもそも、今の経済情勢のもとでの消費税10%増税は家計にも経済にも大打撃を与えるものであり、絶対にやるべきではありません。」
2019年2月7日「18年度第2次補正予算に対する武田議員の反対討論 参院本会議」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-02-09/2019020904_04_1.html
「消費税10%増税対策費として政府広報費20億円、プレミアム付き商品券準備に96億円、新たなレジ導入に561億円などを盛り込んでいますが、統計不正問題で18年の実質賃金伸び率のマイナスが明らかとなり、増税判断の根拠が崩れました。」
2019年2月14日「消費不況直視せよ 所得税法改定案 宮本徹議員が主張 衆院本会議」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-02-15/2019021502_04_1.html
「深刻な消費不況を直視し、経済に破壊的影響を及ぼす消費税増税は中止すべきだ」
2019年2月15日「所得税法改定案に対する宮本徹議員の質問(要旨)
衆院本会議」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-02-16/2019021604_03_0.html
「低所得者ほど負担が重い逆進性など根本的欠陥がある消費税の増税は中止し、応能負担の税制改革に踏み出すよう強く求めます。」
2019年2月26日「衆院予算委中央公聴会 公述人の意見陳述」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-02-27/2019022702_03_1.html
これは日本共産党の国会論戦ではありませんが、税理士の浦野広明氏が消費税に言及していたので記載します。
「消費税推進の理論では(1)国の財政が悪化しているのでやむを得ない(2)社会保障の財源として重要―ということが言われます。しかし、消費税は国の財政状態をより悪化し、社会保障を削減するものです。」
「負担能力に応じた税制を」とコメントしていますが、消費税減税の話は出ませんでした。
2019年3月2日「2019年度予算案に対する藤野議員の反対討論/衆院本会議」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-03-03/2019030304_02_1.html
「消費税10%増税は絶対にやめ、アベノミクスのもとで大もうけしてきた富裕層・大企業へのゆきすぎた優遇税制を改め、応分の負担を求めるべきです。」
2019年3月27日「19年度予算案に対する辰巳議員の反対討論(要旨)」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-03-28/2019032804_02_1.html
「アベノミクス破綻は明白です。生活に壊滅的打撃を与える消費税10%は中止・撤回を強く求めます。」
2019年3月27日「地方税法・所得税法 増税前提の改定に反対 山下・大門氏 参院本会議」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-03-28/2019032802_02_1.html
「景気が急速に悪化し、地方税収の総額も減らした1997年の消費税5%への増税を例に、『政府は今月、景気動向指数と月例経済報告で景気判断を下方修正せざるを得なくなった。10%への増税強行は、坂道を下る日本経済を後ろから蹴飛ばし、谷底へ転げ落とす』」
2019年6月14日「くらしと景気に大打撃 17年度決算 仁比議員が反対討論 参院本会議」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-06-15/2019061502_06_1.html
「政府は国民犠牲のアベノミクスによって貧困と格差を大きく広げ、くらしと景気に大打撃を与えてきた」
「消費税8%増税以来の景気悪化は繕いようがなく、自滅行為というべき10月からの消費税10%への増税は中止を」
2019年5月17日「中小企業の営業壊す 岩渕氏 消費税10%中止迫る 参院本会議」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-05-18/2019051802_03_1.html
「今回増税することになれば、政府の統計が『景気悪化』の可能性を認めるなかでのものとなり極めて無謀であり、中小企業の営業を壊すものだ」
2019年6月21日「麻生財務相・金融担当相問責決議案への大門議員の賛成討論 参院本会議」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-06-22/2019062207_02_1.html
「本気で経済を心配するなら、景気後退の局面での消費税増税こそやめるべきです。」
2019年6月24日「参院本会議 首相問責決議案 山下副委員長の賛成討論」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-06-25/2019062504_03_0.html
「10月からの消費税10%への増税に反対する国民が多数です。5年前の増税による家計消費の落ち込みはいまだ回復していません。さらに世界経済の悪化も加わって、政府自身が景気悪化の可能性を否定できなくなりました。暮らしと経済に大打撃を与える消費税増税は中止すべきです。」
山ほど調べましたが「消費税減税の『げ』の字も国会の中には存在していなかった」の反証となるものは見つけられませんでした!
という事で山本太郎氏の発言は事実には背いていませんでした!
※日本共産党以外で消費税減税を主張していた議員がいますよ!という方は情報提供していただけると助かります
2019年9月における消費税の主張について
実は2019年9月に「消費税廃止」を目指す事を明言していました。
…が、これは「れいわ新選組」との党首会談での話です。
実態とは違いますが、傍から見ると、れいわ新選組に引っ張られているように見えてしまいます。
「(山本氏合意した)第二点は、消費税廃止を目標にするということです。日本共産党は、30年前に消費税が導入されて以来、これまで消費税廃止を一貫して求めてきました。ただ、増税とのたたかいが繰り返しありましたので、増税中止という一致点を大事にしてたたかいながら、廃止を求めるという立場でたたかってきました」
増税中止と戦っていた背景が分かりますが、「これまで消費税廃止を一貫して求めてきた」という部分には疑問符が付きます。これは後述します。
2019年10月からは
そして、消費税が10%に上がってしまった2019年10月1日に、志位和夫委員長(当時)は「消費税減税・廃止を求める、新たなたたかいの呼びかけ」を発表しました。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-10-01/2019100103_01_0.html
ここで、明確に消費税5%への減税と、それを一致点にした野党共闘を呼びかけました。
本記事を見た方はこう思うかもしれません。
「なぜこれを選挙中に言わなかった?」と。
これがれいわが議席を得た事、もしかしたられいわ自体が誕生した原因なのでは?と思えてしまいます。
ない、この日から、日本共産党は消費税5%への減税をさかんに訴えます。廃止にも一部言及しています。
問題②「(2019年の時と比べて)この選挙では自民、公明、立民以外の全政党が消費税減税にシフトしている」について
2019参院選→2024衆院選の消費税にまつわる各政党の公約を比較します。
れいわ新選組は消費税廃止を掲げて立ち上げた政党なので、調べるまでもないとして割愛します。
自民党: 消費税増税に伴う混乱の対策(PDF13ページ目)→言及なし
公明党: 消費税率引き上げに備えた万全の対応(大活字版のPDFは32ページ目)→言及なし(すごく長いPDFなので注意)
立憲民主党:増税凍結→中低所得者向けの所得税控除や「消費税還付制度」
日本維新の会:増税凍結(PDF)→8%減税&軽減税率廃止
社会民主党:増税中止(公式記事が見つからなかったため中日新聞の記事で代用)→大企業への内部留保課税で3年間消費税ゼロ
参政党:(未登場)→減税
日本保守党:(未登場)→減税
山本太郎氏の「自民、公明、立民以外の全政党が消費税減税にシフトしている」というのも、事実に反してはいませんでした!
問題③「日本共産党は1989年から一貫して消費税減税・廃止を求めてきた」について
消費税減税・廃止の主張を封印し、増税中止で戦っていた2012年~2019年までの赤旗記事の一部と選挙公約を紹介します。
・2012年11月 衆院選の日本共産党の公約(PDFの4ページ目)
https://www.jcp.or.jp/web_policy/data/2012_senkyo-seisaku.pdf
消費税の大増税を中止します
「こんな不況のときに消費税が 10%になったらやっていけない」―悲鳴のような声が街にあふれています。政府の試算でも、年収 500 万円のサラリーマン世帯では、消費税増税で年間 11.5 万円の負担増になります。企業の 9 割近くが増税による「消費の縮小」を予想し、7 割近くが「業績への悪影響」を心配しています(帝国データバンク調査)。国民の所得が減り、消費が落ち込み、市場が冷え込んでいるときに、所得を増やすどころか、13 兆5 千億円もの所得を国民から奪う消費税大増税を強行すれば、デフレ不況の悪循環をひどくし、日本経済の底がぬけてしまいます。そうなれば消費税以外
の税収が減り、財政も悪化します。暮らしも、経済も、財政も壊す、消費税増税を中止することを強く求めます。
「消費税大増税を中止し、富裕層と大企業を優遇する不公平税制をただします」
これは消費税5%から8%にされそうになった時の公約です。さすがに「消費税廃止」は主張してません。
・2014年4月1日 消費税が8%に増税
・2014年4月1日「きょうの潮流」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-01/2014040101_07_0.html
消費税が8%に増税した日の記事です。「国民のために何一つなってこなかった消費税増税の道を、このまま既定路線のように歩ませるわけにはいきません」で締めていますが、「5%減税」には言及しなかったのは今見ると残念です。
・2014年5月15日「主張 消費税増税1月半 過小評価は再増税するためか」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-05-15/2014051501_05_1.html
「国民の圧倒的な世論に応え再増税をやめさせるためにも、増税を過小評価させるわけにはいきません。」
・2014年11月26日 衆院選の日本共産党の公約「消費税10%は、『先送り』実施ではなく、きっぱり中止を 『消費税にたよらない別の道』に転換しよう」
https://www.jcp.or.jp/web_policy/html/2014-sousenkyo.html
「消費税にたよらない別の道」という表現を用いていますが、今見るとなぜストレートに減税を言わなかったのか疑問に思ってしまいます。
https://www.jcp.or.jp/web_policy/html/2016-sanin-seisaku.html
「消費税10%増税は『先送り』でなく、きっぱり断念を。富裕層と大企業への優遇税制をやめ、応分の負担を求めます」
https://www.jcp.or.jp/web_policy/2017senkyo-seisaku.html
「消費税10%増税の中止。格差をただし、くらしを応援する経済政策に」
・2019年4月1日「主張 消費税導入30年 暮らし壊す悪税に頼らぬ道を」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-04-01/2019040102_01_1.html
・2019年4月1日 「れいわ新選組」結成
・2019年6月27日「消費税頼らぬ財源を」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-06-27/2019062704_02_1.html
名古屋駅前での演説を紹介した記事です。その中で「参院選勝利めざし、市民と野党で9条改憲阻止、消費税10%増税中止など13項目の共通政策ができた」と言っており、2019参院選で5%減税を主張しなかった背景が分かります。
・2019年9月30日「消費税引き上げ 日本経済脅かす政策 米経済紙が指摘」
https://jp.wsj.com/articles/SB11588140412100604850204585573221775600224
ウォールストリートジャーナルの記事を引用したもの。「消費税を減税すべき」とは書いていないようです。
WSJの記事(有料会員限定)→
https://jp.wsj.com/articles/SB11588140412100604850204585573221775600224
ちなみに、WSJはこれ以外の記事でも10%増税を批判しています。
・2019年10月4日「消費税減税・廃止へ 新たなたたかいを 各界から談話 医療制度研究会副理事長・医師 本田宏さん 「あきらめ」から「希望」へ」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-10-04/2019100401_07_1.html
山家悠紀夫氏が「消費税率を5%に戻すところまで野党が共闘できれば、大きな一歩になります。廃止についてはまだ全部の野党で一致はできないかもしれないけれど、共産党がそういう方向を打ち出し議論を深めていけば、暮らしの未来に展望が見えてきます。」とコメント。
だが言い出しっぺはれいわ新選組だった…。
そんな感じなので、山本太郎氏が2013参院選で初当選した時から日本共産党は消費税減税or廃止を主張していませんでした。
2019年9月まで、山本太郎氏は参議院で日本共産党の消費税減税or廃止の質疑を現場で見ていなかったという事です。
となると、「1989年から一貫して減税・廃止を求めてきた」と言ってしまうのは「看板に偽りあり」なのではないでしょうか。
「1989年から一貫して消費税と戦ってきた」と言った方が実態に即していると思います。
「山本氏の発言は、こうした事実を無視する暴論です」について
「2019年は、当時の安倍政権が消費税増税を画策。共産党は国会や参院選で徹底論戦を行っていました。」
と赤旗で記述され、実際に問題①の部分でその論戦を紹介しました。
ですが、その論戦は全て消費税増税中止であったため、「こうした事実」そのものに問題があります。
よって、赤旗記事の「暴論」も成立しないのではないでしょうか。
「山本太郎氏は増税中止の戦いを無視している」と言いたいのならそう言うべきで、反論の仕方としても大きくずれているように感じます。
最初から最後まで不適切なのは赤旗では非常に珍しいと思います。
なぜこんな記事を作ってしまったのか?
該当の赤旗記事は、以前の日本共産党だったら絶対に書かないと思います。
そもそも該当の山本太郎氏の演説は、れいわ新選組結成当時の思い出話です。
本来は支持者以外スルーする話であり、多くの人はこの演説すら見ていないと思いますし、動画切り抜きでもそこまで再生数が多いとは思えません。
だとすると、なぜこの演説に赤旗編集者が当日に気づき、翌日に記事にできたのかが謎です。
しかも選挙中であり、得票集めに集中する時なのに。
この謎を読み解く方法は、「オール沖縄」です。
本問題と直接関係ない事案ですが、日本共産党はオール沖縄の件でれいわ新選組を"不当に"恨んでいます。
沖縄1区でれいわ新選組が独自候補を立てようとしたのを考慮してもなぜ"不当"と言えるのかは、沖縄4区時系列まとめ記事を読むと分かると思います。
そこから、れいわ新選組を攻撃したくてたまらなくなった赤旗編集者が山本氏の演説を調べて見つけた、という感じでしょうか。
もしそうだとしたら、記事が不適切すぎる点も含めてダサくて見苦しいと言わざるを得ません。
もちろん、Twitterに流れた等の偶然である可能性もあります。
なお、れいわ新選組は演説や記者会見の文字起こしに非常に積極的であり、発言の検証が他の政党と比べて容易にできます。
そういう意味では"攻撃"が簡単だったといえます。
また、消費税減税・廃止を封印していた事がれいわ新選組誕生の理由のひとつなのではと前述しましたが、もしこれを日本共産党自身が認識していた場合、その後ろめたさを感じているかもしれません。
その痛い”歴史”を突かれたと思って逆ギレしたというのはあまり考えたくはありません。
ついでに言うと、この赤旗記事をwebで無料公開しなかったのは不幸中の幸いです。
無料公開していたら、高井たかし氏あたりがTwitterで長文の反論を行い、「デマ」だと批判が殺到し記事取り消しに追い込まれていたかもしれません。
おまけ:2002年~2011年ではどうだった?
今度はウェブで調べられる範囲、2002年まで遡って、これまでの選挙の公約を中心に調べてみます。
・2002年6月3日「主張 政府税制論議 増税攻撃くらし狙い撃ち」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik/2002-06-03/04_0201.html
「消費者と中小業者は消費税の最大の被害者です。『酷税』を『益税』と逆さまに描くのは、被害者同士の対立をあおる卑劣なやり方です。消費税は税率を引き下げ、廃止するしかありません。」
・2003年9月26日「主張 消費税論議“増税隠し”は増税のためだ」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-09-26/02_01.html
「日本共産党は消費税の増税に反対し、消費税そのものの廃止を求めます。まずは増税反対の一点で、力を合わせようではありませんか。」
当時は消費税増税の議論が浮上しても、「消費税の増税に反対し、消費税そのものの廃止を求める」としていました。この二段構えを、2012年~2019年8月または9月の時はとらなかった訳です。
・2003年衆議院選挙の公約「2つの悪政にストップを ―― 消費税大増税・憲法改悪の計画をくいとめるよう、力をつくします」
https://www.jcp.or.jp/seisaku/2003/0310senkyo-seisaku2.html
「消費税大増税の計画に反対する……消費税は、所得の少ない人にほど重くのしかかります。『所得の多いものは多く、少ないものは少なく』、『生きていくために必要な生計費には税をかけない』という近代的な税の大原則に反した『最悪の不公平税制』です。日本共産党は、いっかんして消費税の廃止を主張してきました。ましてや、この悪税を2ケタに増税することなど、絶対に認めることはできません。日本共産党は、消費税大増税の計画につよく反対するものです。」
・2004年参議院選挙の公約「『年金・社会保障財源』を口実にした消費税増税は許さない――3年後にせまった大増税計画にストップ」
https://www.jcp.or.jp/web_policy/2004/06/2004.html
「自民党と公明党は、昨年12月に、2007年度をめどに『消費税 を含む抜本的税制改革を実現する』(与党『税制大綱』)ことを合意し、3年後の消費税増税を打ち出しました。民主党も、2007年度から、『年金目的消費 税』などとして、消費税を8%に引き上げるとしています。」
「増税をかかげる自民党、公明党、民主党への1票は、消費税増税に賛成する1票となってしまいます。日本共産党は、国民のみなさんとともに、3年後にせまった消費税増税計画にストップをかけるために全力をあげます。」
民主党の消費税増税姿勢も容赦なく批判。こういう増税の光景が当時の「与党も野党も茶番」なのだろうか。
・2005年衆議院選挙の公約「庶民大増税、社会保障改悪に正面から反対します」
https://www.jcp.or.jp/web_policy/2005/08/post-445.html#s1-1
・2007年参議院選の公約「税・財政の転換──『庶民に増税、大企業・大金持ちに減税』という『逆立ち』税制をただし、血税のムダづかいをなくします」
『最悪の不公平税制=消費税の増税にきっぱり反対します』
https://www.jcp.or.jp/seisaku/2007/07saninseisaku/01-seisaku.html#_02_0
「政府は、参院選挙後には『消費税を含む税体系の抜本的改革を実現すべく取り組む』(安倍首相の施政方針演説)と宣言しています。日本経団連は、法人実効税率を40%から30%に引き下げることを要求していますが、御手洗会長は、消費税増税をこの減税の財源にすると説明しています。定率減税廃止による庶民増税分だけでなく、消費税を増税してまで、財界・大企業にもっと回せという身勝手きわまりない要求です。『福祉財源のため』というのも、増税のための口実にすぎません。消費税導入から今年で19年、この間、社会保障はどんどん改悪されました。消費税収は累計で188兆円にもなりますが、この間に企業の税金(法人3税)は159兆円も減少したのが実際の姿です。」
この時は「消費税廃止」に言及しませんでした。
・2009年衆議院選挙の公約「消費税など庶民増税を許さず、大企業・大資産家優遇の『逆立ち税制』をただします」
https://www.jcp.or.jp/web_policy/2009/07/post-89.html
「消費税は、将来的には廃止をめざしつつ、当面、次のような改善をすすめます。」
・食料品など生活必需品の消費税を非課税にする
・消費税の免税点が年間売上3000万円から1000万円に引下げられてしまった。引き上げなおす
・病院や診療所が仕入れる医薬品や医療機器などにかかる消費税には「ゼロ税率」を適用し、「還付」する
・2010年6月25日「主張 参院選公示 消費税増税の大連合に審判を」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-06-25/2010062501_03_1.html
菅直人政権も消費税増税を狙っていたといいます。ちなみにこの記事では「消費税廃止」に言及していません。
・2010年参議院選挙の公約「消費税など庶民増税を許さず、大企業・大資産家優遇の『逆立ち税制』をただします」
https://www.jcp.or.jp/seisaku/2010_1/sanin_bunya/2010-00-05.html
消費税廃止に言及していますが、文章は2009年のものの大体コピペなので説明は省略します。
これ以降、選挙で「消費税廃止」を長らく封印し、「増税中止」で戦う事になりました。
・2011年1月21日「主張 『税と社会保障』 財源は消費税増税に頼らずに」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-01-21/2011012101_05_1.html
「取りまとめを担当する与謝野馨経済財政相が20日付の各紙インタビューで、政府案には消費税の増税幅も明記したいと語りました。税率は少なくとも10%に上げるべきだというのが同氏の持論です。」
「年収200万円以下の給与所得者が4分の1を占めるほど貧困が広がっている日本で、所得が低いほど負担が重い消費税の増税はあまりにも非現実的です。いまこそ税制は負担能力に応じた応能負担の原則に立ち返るときです。」
・2011年1月31日「列島だより ストップ消費税増税 私たちの声で」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-01-31/2011013113_01_0.html
「2011年は消費税増税から、減税・廃止に転じる年にしなければと思います。」と言及していました。
・2011年4月23日「主張 復興財源に消費税 人災に人災を重ねる庶民増税」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-23/2011042301_05_1.html
「政府・民主党が東日本大震災の復興財源として消費税増税を検討しています。消費税率を3年程度の間、3%引き上げる案が浮上していると報道されています。」
「消費税の直接の納税義務者は事業者です。事業者は一定の売り上げがあれば赤字でも自腹を切って消費税を納税しなければなりません。何とか事業を再開して雇用を守りたいと汗を流す中小業者の努力に水を差す酷税です。」
消費税という「悪税」を一貫して批判しながらも、実は減税・廃止に関しては密かにブレていました。
昔から増税を目論む与党とも野党とも闘ってきた日本共産党は素晴らしいと感じつつも、微妙な一貫性の無さを見て「ダサい」と思ってしまいました。