Suno・Udioへの大手レコードレーベルからの訴訟が解決へ動き出しそうです
2024年から続いていた、Suno・Udioに対する全米レコードレーベルからの訴訟ですが、解決へ向けて動き出す可能性が出てきました。
業界対応の超概略
✅ 正当なライセンス契約の締結と報酬モデルの確立
✅ レーベル・AI企業間で明確な使用許諾を結び、適切な利用料を設定する
✅ アーティストへ配分される収益構造を透明化し、サブライセンス料も含めた報酬を保証する
参考記事
WinBuzzer : "AI Music Copyright: Suno, Udio, Labels in Licensing Talks"
(AI音楽著作権: Suno、Udio、レーベルがライセンス交渉中)
https://winbuzzer.com/2025/06/01/ai-music-copyright-suno-udio-labels-in-licensing-talks-xcxwbn/
bloomberg : "Record Labels in Talks to License Music to AI Firms Udio, Suno"
(レコードレーベル、AI企業Udio・Sunoと音楽ライセンス交渉中)
WinBuzzerの記事の要約
ライセンス契約を通じて、AIが学習に利用する音源を明確にし、著作権侵害を事前に防止する
レーベルがAI企業に少数株を取得することで、両者の利害を調整し、長期的な協業体制を築く
「フェアユース」の定義を業界全体で再検討し、変換的利用(既存作品をベースにしつつ新たな楽曲を生み出す行為)の範囲と限界を明確化する
訴訟に頼るのではなく、協議によって裁判外で解決を図ることで、コストや時間を削減しつつ業界の信頼を回復する
学習データの透明性を政府や業界団体が求める制度を導入し、AI企業がどの音源を使っているか開示を義務付ける
グローバルな連携を強化し、英国や欧米で進んでいる「学習データの透明化」などの取り組みを日本やアジア圏でも共有・適用する
AIプラットフォームが一度に大きな額を支払うライセンスモデル(YouTubeのような一時払い方式)を参考にし、収益分配のフェアな仕組みを考案する
AI企業とレーベル双方が「著作権保護とイノベーション」を両立させるガイドラインを策定し、事業者が安心して開発できる土台を整備する
AI生成音楽市場で競争が健全に行われるよう、反競争的な訴訟合戦ではなく、共同プロジェクトや開発コンソーシアムを推進する
アーティストやプロデューサー向けに、AI活用時の著作権教育や契約知識を普及させ、自主的に権利保護を意識させる
業界団体(RIAAなど)がAI音楽に関するガイドラインや認証制度を設けることで、ユーザーやクリエイターが安心して利用できるエコシステムを実現する
今後、AI音楽を取り巻く動きを推察する
おそらく次のような動きに移行していくと思われます。
正当なライセンス契約の締結と報酬モデルの確立
レーベル・AI企業間で明確な使用許諾を結び、適切な利用料を設定すること
アーティストへ配分される収益構造を透明化し、二次利用やサブライセンス料も含めた報酬を保証する
学習データの透明性とトレーサビリティの確保
AIモデルの学習に用いる楽曲・素材の出所を明示し、使用許諾の有無を可視化する
どの範囲まで既存楽曲を取り込んでいるかを監査できる仕組みを導入する
フェアユース(公正利用)規定の範囲・基準の明確化
「変換的制作」として認められるケースとそうでないケースを具体例を交えて示す
国内外の判例やガイドラインを参照しつつ、AI音楽への適用基準をアップデートする
競争法(反トラスト法)との整合性検討
レーベル側が訴訟を武器に市場を独占しないよう、AI企業への不当な圧力とならない枠組みを設ける
ライセンス交渉が公平な立場で行われるよう、第三者機関による仲裁や監視メカニズムを検討する
業界ガイドラインや標準契約書テンプレートの策定
レーベル、音楽出版社、AI企業、アーティスト団体などが合意する共通ルールを策定し、契約プロセスを簡素化する
モデルが学習できるデータの範囲、権利帰属、報酬計算方法などを網羅したひな形を公開する
グローバルな法整備・多国間協力の推進
各国の著作権法やAI規制を比較検討し、越境利用における課題を洗い出す
国際機関(WIPOなど)や多国籍レーベル連合で、AI音楽に関する共通ルールづくりを進める
AI企業とアーティストのリレーションシップ構築
AI開発側がアーティストや権利者と直接コミュニケーションを取り、共同制作やコラボレーションの機会を設ける
アーティストの権利意識を尊重し、フィードバックループを通じてAIの出力を改善する
技術面でのデータ管理・クリーンルームアプローチの導入
権利者が提供するデータに対し、アクセス権限を分けたクリーンルーム環境でAI学習を行うなど、不正利用を防止する仕組みの構築
データ使用履歴を開示できるログ管理システムやブロックチェーンによる追跡可能性を導入する
ユーザー教育と啓蒙活動の強化
エンドユーザー(クリエイターやリスナー)向けに、AI音楽の権利やライセンスに関する情報をわかりやすく発信する
SNSやプラットフォーム上での誤解を防ぐため、「AIが生成した楽曲」の注意書き表示を推奨し、正しい利用方法を周知する
継続的なモニタリングと法改正の準備
技術の進化スピードに合わせ、定期的にガイドラインや契約書を見直す体制を整える
著作権法や取引慣行のアップデートを迅速に行い、次世代AIモデルへの対応力を高める
アーティスト側の自己防衛策とコミュニティ形成
権利者同士で情報共有し、AI学習用データ提供時のベストプラクティスを共有するコミュニティを立ち上げる
著作権違反を発見した場合の通報窓口やサポート窓口を拡充し、問題を早期に検知・解決できる体制を構築する
現状、世界規模でAI音楽が大量に粗製乱造されている状況もあり、音楽配信系サービスからの排除も進んでいますので、世界規模での基準づくりと各国における著作権法内でのAI音楽を含むAIコンテンツの取り扱いの確立(罰則規定を含めた法制化・明文化)が急務でしょう。
音楽のみならず、AI生成コンテンツの健全な利用が促進されることを願うばかりです。
国内メディアでもギガジンさんが報じていますね




コメント
2各国で著作権の定義も違うし、法整備もこれからだし、原告のレコード会社への忖度だけでは済まないと思います。結局、日本の場合は、文化庁の見解が、配信リリース中止の主たる根拠であります。逆にボカロに関しては、未だに日本以外は、違法です。まだ、当分は、様子見ですね。日本居住者が、海外の配信トリビュート会社を使ってAI生成100%の音楽を配信した場合は、違法となる事に、注意が必要です。(厳格な割に、フェアユースの定義が曖昧な、米国著作権法だけの問題ではない事に、注意が必要です。米国の場合は、憲法修正1条・表現の自由も絡んで来るようです。)
解決方向に向かったのは一つの安心材料ですが、利用料への影響は不可避ですね。