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2024.10.29

イベントレポート|AIと共に進化するメンタルヘルスケアの新しい時代。企業セッション「AIとメンタルヘルスの最前線」レポート

2024年10月10日「世界メンタルヘルスデー」の日に開催されたシンポジウム「AI×メンタルヘルス 活用最前線」では、生成AIを活用したメンタルヘルスケアに取り組む企業によるセッションも行われました。

企業を代表して登壇したのはPharmaX株式会社 代表取締役の辻裕介氏、株式会社アトラエ Wevox事業部 AI責任者の越智涼氏、株式会社Awarefy  取締役CTOの池内 孝啓です。

AI技術を活用した具体的な事例や実際の取り組みについて、それぞれに発表していただきました。

辻裕介氏(Yūsuke Tuzi)

PharmaX株式会社 代表取締役

順天堂大学医学部卒業。順天堂医院にて臨床と研究に従事した後、2018年12月にかかりつけ医療ブランド「YOJO」を展開するMINX株式会社(現PharmaX株式会社)設立。

越智涼氏(Ryo Ochi)

株式会社アトラエ Wevox事業部 AI責任者

2022年に慶應義塾大学医学研究科修士課程を修了後、新卒で株式会社アトラエに入社。在学時はメンタルヘルスに関連した脳画像解析に従事。入社後から、組織力向上プラットフォーム「Wevox」に携わり、データ分析や機能開発を担当。現在は、データストラテジスト・プロダクトマネージャーとして、データ活用戦略の推進やプロダクト開発・企画をリードしている。


池内孝啓(Takahiro Ikeuchi)

株式会社Awarefy  取締役CTO/一般社団法人AIメンタルヘルスケア協会理事

ITベンチャー数社を経て株式会社ALBERTへ入社。2014年 同社 技術担当執行役員 (CTO) に就任。機械学習を用いた推薦システムの開発やビッグデータ活用プラットフォーム事業の立ち上げなどに従事。2015年に同社にて IPO (東証マザーズ)を経験。2015年に独立・起業。株式会社catabira 代表取締役 CEO。スタートアップやエンジニア向けのクラウドサービスを展開。2019年6月より株式会社Hakali 取締役CTO。Go や React などによるWebアプリケーション開発のほか、Flutter によるネイティブアプリ開発、データ分析基盤の構築、Webデザインなど幅広い領域を手がける。


※全文の書き起こしではなく、トークを抜粋し編集しています。 


1.生成AIを活用したかかりつけ医療UX - 辻裕介氏

企業セッションは、PharmaX株式会社 代表取締役の辻氏からスタートしました。辻氏は起業後、かかりつけ医療ブランド「YOJOをリリース。「YOJO」の事業内容やAI技術の導入方法などを紹介していただきました。

AIを活用した、かかりつけ医療ブランド「YOJO」が生まれた背景

起業する前まで、大学病院で医師として勤務していたという辻氏。勤務医時代は、「医療者が多忙で、患者の悩みを丁寧に聞けない」「薬を処方後、フォローアップがしづらい」という課題を感じていたそうです。

そうした状況を変えるべく、「ITを活用し、医師が常にそばにいることで、患者さんに安心感を覚えてもらえるような医療体験を提供したい」という想いから同社を起業しました。

そして生まれた「YOJO」ブランドは、医療者と患者との心理的な距離感を縮め、信頼関係を築くために、AIを活用した2つの事業を展開しています。

 

かかりつけ薬剤師がLINEで健康相談に乗り、体質に合った漢方薬を提案・届ける

  • オンラインクリニック「YOJOクリニック」

「YOJO薬局」を利用する患者に対して、オンライン診療にて漢方薬以外の薬を提案・届ける

AIの力で、よりパーソナライズされた医療を

「サービスにAIを導入した結果、患者さん一人ひとりに合わせた対応が可能になった」と話す辻氏。その例として挙げたのが「YOJO薬局」です。

生成AIが薬剤師をサポートすることで、より適切なアドバイスが可能に。また、患者が以前話した内容をAIが記憶し、再びその情報を活用することで、より深いフォローアップができるようになったそうです。その結果、患者は「自分のことをしっかり見てくれている」と安心感を得ることができます。

レスポンスも格段に向上しました。以前は対応に半日以上かかることもありましたが、現在では即座にAIが返信を生成し、薬剤師が最終確認をしてから送信するため、迅速に対応できます。少人数の薬剤師で運用していますが、AIの導入で多くの患者をサポートできるようになり、業務効率化も実現しました。

このようなメリットがある「YOJO薬局」は35万人以上のユーザーに利用されており、辻氏はAI導入で患者満足度が大きく向上したことを実感しています。

AIと医療者が支える新しい医療体験

辻氏はこれからについて、2つの事業のさらなるAIシフトを進めたいと考えています。また、かかりつけ医がそばにいて、医療相談できるような新しいアプリを開発中なんだとか。将来的には、「YOJO」サービスで、すべての医療体験が完結する仕組みをつくりだそうとしています。

 

「私たちが目指すのは、患者さんが『いつでも医療者がそばにいる』という安心感を得られること。ときには、薬の処方や検査など対面診療が必要な場合もあります。そのようなデータもAIの活用に役立てながら、かかりつけの医療プラットフォームをつくっていきたいです」(辻氏)

2.AIが伴走するエンゲージメント向上プロセス - 越智涼氏

続いては、株式会社アトラエの越智涼氏によるセッションです。越智氏は「Wevox(ウィボックス)」というサービスの事業部で、AI責任者を務めています。サービスの概要やAIの活用事例について解説していただきました。

組織力向上を強力に支援するプラットフォームを開発

Wevox(ウィボックス)」は組織の状態を見える化するだけでなく、 きづきを得る・対話によって相互理解を深める・改善策を検討する・行動をアップデートする といった"プロセス"を生み出すことで、組織力の向上を図るプラットフォームです。AIによるデータ分析などの強みを持つ「Wevox」は現在、約3400社の企業、組織に導入されています。

 

「Wevox」では、組織のパフォーマンスを高める4つのプロセスをモデル化しています。

  • たずねる(チームや個人の状態を簡単、即時的に見える化)

  • わかる(チームや個人の状態を理解し、気づきを得る)

  • はなす(対話により理解を深める対策を検討)

  • できる(気づきや学びをもとに行動をアップデート)

 

まず、チームや個人の状態をデータとして可視化。それを解釈して、チームで話して行動を変えていくというプロセスを重視しています。このプロセス全体を支援できるようにサービスを設計しているそうです。

データの解釈や行動変容をAIで支援

4つのプロセスのうち、AIを活用しているのは「わかる」の部分です。

「経営のメッセージを伝える、個別のフォローなど、エンゲージメントを高めるさまざまな施策があります。しかし、組織の現状を見ながら施策を打っているかというと、多くの企業ではそこまでできていません。というのも、データから組織の状態を正しく解釈するのが難しいからです。そこで、Wevoxでは組織の状態の解釈をサポートするAIを導入しました」(越智氏)

組織づくりのさまざまな内容を相談できる伴走型AIを開発。AIがデータからチームの状態を解釈し、チームに必要なワークや問い、その先の行動につながるような示唆を与えます。

その結果、エンゲージメントを高め、質の高い行動を生み出していけます。実際に、エンゲージメントスコアが高まった事例もあるそうです。

<AIによる解釈サポートの具体例>

AIがエンゲージメントスコアから現状の組織の強みや弱みを解析し、課題を早期発見。とくに注目してほしいポイントを3点に絞って、サマリーを提示する。更に深掘りしたい観点に対して、AIにチャット形式で相談が可能。

AIが組織づくりの正解を教えるわけではない

「我々がしたいのは、組織づくりの正解を教えることではなく、みなさんでみなさんのエンゲージメントを高めていただくことです。そこに伴走できるようなAIを導入しています」と話す越智氏。「この先もさまざまな機能を使いながら、より質の高い組織づくりをサポートしていきたい」と話し、セッションを締め括りました。

3. AIが個人のパートナーとなる世界に向けて- 池内孝啓氏

最後のセッションでは、株式会社Awarefy  取締役CTO/一般社団法人AIメンタルヘルスケア協会理事の池内孝啓が、AIメンタルパートナーの目的やAIとよりよく共存することなどについて発表を行ないました。

医療機関を受診しない人のメンタルケアも支援

池内はセッションのなかで、「心の問題は身近になっているにもかかわらず、精神疾患を患っていても病院を受診する人が少ない」というメンタルヘルスケアの課題を指摘。「いつでも、誰にとってもメンタルケアを当たり前にしたい」と話します。

そこで、心理学の理論にAIの最新技術を組み合わせたスマートフォンアプリ、AIメンタルパートナー「アウェアファイ」を提供。「アウェアファイ」では、心理学の理論にAI(とくに生成AI)をかけ合わせて、ユーザーが大切にしたいことに向き合える状態を目指しています。

心理学の理論としては、ベースとして認知行動療法やマインドフルネスを採用。大規模言語モデルやパーソナライゼーションなど最新のAI技術も活用しながら、ユーザーの自己理解の促進や行動変容まで、心の健康と成長を総合的にサポートします。

アウェアファイAIの進化

続いて池内は、ユーザーのメンタルヘルスケアやストレスマネジメントを総合的に支援するための AI「アウェアファイAI」の進化について紹介しました。

「アウェアファイAI」のリリースは2023年4月。初期段階では、LLM(大規模言語モデル)を利用したAIチャット機能を搭載し、その後もさまざまな機能を追加しています。

<追加機能>

  • AIコーチング(ユーザーの課題に対して具体的な考え方や解決方法、目標達成プロセスを提案)

  • AIレコメンド(ユーザーの状況や入力に基づき、適切なアドバイスや提案を行う)

  • AIメモリー(ユーザーの過去の入力や行動履歴を記憶し、それに基づいてパーソナライズされたサポートを提供)

 

現在、これらの機能を備えたAIメンタルパートナー「アウェアファイ」は累計で60万回以上ダウンロードされ、多くのユーザーがAIによってメンタルケアできたことを実感しています。

AIをよりよく活用し、共存するには

「著作権や報酬の問題など、AI活用にはさまざまな課題があります。それでも分野問わずにAI活用が急速に進むことは、ほぼ確定していると考えています」と話す池内。そうした流れのなかで、AIメンタルヘルスケア協会などを通じて、AIをよりよく活用し共存する方法を探していければ、と言います。

 

「“AIが人類の心のサポート資源たり得るのか”を真剣に話し合っていかなくてはいけません。ユーザとってどのような存在であるべきか、何をどこまで提供すべきか、安全性・信頼性・危険性とどう向き合うかなど、未解決の課題はたくさんあります。それらをみなさんと議論しながら進めていければなと。そして、テクノロジーとさまざまな専門分野をかけ合わせながら、社会問題を解決していきたいと考えています」(池内)

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今回のセッションでは、AIがメンタルヘルスケアにどのように貢献できるか、その可能性を知ることができました。さまざまな企業が、生成AIをいち早く使いこなすことでユーザーの利益につなげ、競争力の強化に努めています。

これからも、「ユーザーにとって本当に価値あるサービスとなるために、AIをどう活用すべきか」をよく考えることが企業には求められている、といえるでしょう。

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AIメンタルヘルスヘルスケア協会では、今後もガイドライン策定を始め、AIのメンタルヘルスケア活用についての情報発信やセミナー、勉強会などを開催していく予定です。

今後のイベント情報は、公式ホームページ内で発信していきますので、ぜひチェックしてください。



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