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パートナーが脳に障害残り入院、同性婚の家事審判「早く動いて」申立人男性に焦燥感

家事審判を申し立てた小浜さん。パートナーの病状に不安の日々を送る

 仙台市太白区の男性カップルが昨年2月、婚姻届の受理命令を市に出すよう仙台家裁に申し立てた家事審判で、申立人小浜耕治さん(62)=太白区=が焦燥感を募らせている。小浜さん側は今月初めまでに書面を出し終えたものの、パートナーの男性が3月に病に倒れ、早期の判断が求められる事態となった。同性婚の実現が遠い状況に「本当に待てない」との思いを強くする。(編集部・佐々木薫子)

「私たちはもう待てない」

 3月上旬深夜。一緒に暮らすパートナーが部屋を出ようとして転んだ。介抱していると顔色が急変。すぐに119番し、同区の病院に入院した。持病の発作で脳に障害が残り、自由に体を動かしたり話したりすることが難しくなった。

 パートナーは小浜さんより10歳以上、年上。2人は1993年、市内のバーで出会い、95年に同居を始めた。生活実態は「家族」そのものだが、年を重ね、健康や相続の問題が切実になり、法的に婚姻関係が保証される同性婚の実現を願うようになった。

 2人は司法の場で闘うと決めた。司法判断の確定期間の短さを優先し、訴訟ではなく家事審判を選んだ。審判の機運を高めようと「私たちはもう待てない」とキャッチフレーズを掲げ、覚悟を込めた。

週2回15分の面会を欠かさず

 申し立てから1年超。小浜さんは社会の変化も感じる。パートナーの入院手続きで、搬送先の病院は「パートナーです」と伝えただけで家族同様に受け入れてくれた。病院によって親族以外は許されない医療処置の同意や面会の受け付けも続柄は「パートナー」で通る。

 長年導入を求めてきた仙台市のパートナーシップ宣誓制度の影響だと感じる。「当事者は家族と主張する権利があることを自覚し、社会は当事者を尊重したいと思えるようになる。制度の力を実感した」

 週2回、各15分の面会を欠かさない。終了時間が近づいてもパートナーは強く握った手を離そうとしない。家族であることをかみしめる一方、「この先の壁を乗り越えられるだろうか」と不安に駆られる。

 葬儀や墓、相続。自分にどれだけ選んだり決めたりする権利があるのだろうか。法的な婚姻関係がないだけで不可能なことがあるとしたら、「そんなことで諦められることじゃない」との思いを強める。

 同性婚の実現を求めながら、道半ばでこの世を去った仲間の顔が浮かぶ。議論が進まない国に、小浜さんは「可及的速やかに動くべきだ」と語る。

国会議論は足踏み

 同性婚を認めない民法や諸規定は憲法に違反するとして国に損害賠償を求める訴訟は、全国各地で提起され、違憲とする判断が相次いでいる。

 訴訟は2019年2月、札幌、東京、名古屋、大阪の4地裁で一斉提訴。同年9月に福岡、21年に東京で2次訴訟が始まり、全国5地裁で6件となった。

 各地裁の判断は分かれたが、今年3月25日までに札幌、東京1次、名古屋、大阪、福岡の高裁判決が出そろい、いずれも「法の下の平等」を定めた憲法14条1項と「個人の尊厳と両性の本質的平等」を定めた24条2項に違反すると指摘した。

 国会での同性婚の議論は、与党保守勢力を中心に慎重論が根強く、足踏みが続く。東京2次訴訟の判決は11月28日に言い渡され、最高裁は早ければ来年にも統一判断を示すとみられる。

 小浜さんの申し立ては、現行の民法や戸籍法に異性同士の婚姻しか認めないという規定はなく、解釈で婚姻届受理は可能と指摘。同性同士の婚姻届を認めない行政の解釈と不受理処分は違憲と主張する。判断が出るまでは数カ月以上かかりそうだ。

家事審判を申し立てた小浜耕治さん

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