押さえておきたい3つの金融商品の基礎知識とその本質

押さえておきたい3つの金融商品の基礎知識とその本質

投資がもっと楽しくなる!日興フロッギー選書 クロスメディア・パブリッシング前川 富士雄

2025.6.04

投資や資産形成をもっと楽しくするためにピッタリの書籍を、著者の方とともにご紹介する本連載。今回は、「ほったらかし投資」を構成する3つの金融商品の仕組みと本質について、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)としてこれまで実に1万人以上の資産運用の悩みに応えてきた前川富士雄さんと見ていきます。[PR]

1.債券の仕組み

まずは債券がどういうものか、簡単にご説明しましょう。

債券は、企業がお金を「借りて」資金調達をする方法です。「借りて資金を調達する」方法として、社債(債券)を発行します。会社からすると「借りる」ことですから、業績にかかわらず、約束の期限が来たら返さなければなりません。約束の期限を満期といいます。企業側は決められた利子も払わなければいけません。

例えば、利率2%、5年満期の債券を100万円で発行するとします。毎年2万円分の利子が発生し、企業側から見ると、5年間で利子と元金合わせて110万円を払わなければなりません。毎年の業績にかかわらず、返さなければいけないわけですから、企業からすればリスクの高い調達方法ともいえます。

反対に債券を買う側からすれば、会社が倒産でもしない限り、元本の100万円と利息分10万円(2万円×5年)が上乗せされた110万円が戻ってくるわけですから、安定した投資先になります。

「これなら銀行の定期預金と変わらないのでは?」と思われる方もいるでしょう。ただ、債券の場合は、定期預金と違って流通する市場があります。定期預金は売り買いできませんし、預けたら満期が来るまでそのまま持ち続けるか途中解約するかしかありませんが、債券の場合は証券会社を通じて売買が可能です。そのため、定期預金はインカムゲイン(資産の継続的な保有による利益)しか得られませんが、債券はキャピタルゲイン(資産の売却による利益)が得られる場合もあります。そこが大きな違いでもあります。

例えば、債券が100万円で発行されたとします。債券価格は、市場の金利に合わせて、波打つように上下変動します。一般的には、金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がるという逆方向の動きをします。

では、損することもあるのではと心配される方がいると思いますが、債券の場合は発行時に額面100万円で始まったら、満期時に目減りすることなく、額面100万円で返ってくると決まっています。先ほども述べましたが、債券は国や企業などの借金であり、返済義務があるからです。

債券価格は、金利情勢にあわせて、波打つように変動しますが、毎年2万円分の利息は着実に積み上がり、満期には、額面100万円はそのまま額面100万円として返ってきます。100万円が5年間の利息合計10万円と合わせて110万円として戻るわけですから、手堅い投資先になります。債券投資の本質は「金利の蓄積」といえますね。

なお、この満期の期間や金利については、発行する会社の事情によって異なります。その他に、国が発行する債券として国債があります。

万が一、社債(債券)を発行した会社が倒産しても、会社整理の段階で、お金を借りた人(債権者)から優先的に返金しますので、投資したお金が1円も戻ってこない……ということはめったにありません。仮に元本すべては難しくとも、財務状況によりますが少しは戻ってくるケースが多いのです。もちろん何事もなければ、元本は戻ってきますから、株よりは怖くないといえます。

※編集注:破産手続きによらずに、破産財団から優先的に弁済を受けられる財団債権には劣後します。

2.株式投資の仕組み

そもそも、株式とは何でしょうか? 会社の資金調達の方法には、

①借りて資金調達する(A:銀行融資を受ける、B:社債を発行し資金調達する)

②出資を受けて資金調達する(C:株式を発行し出資を受ける)

と2つの方法があります。株式とは、会社が資金調達するために発行するものをいいます。そして、その株式を持っている人を株主と呼びます。

会社側から見れば出資金(株式)は債券のような返済義務がありません。そのお金を活用して継続して事業ができますので、会社側にとってはありがたい調達方法といえます。

会社側は資金調達するとき、株を発行して投資家からお金を受け取ります。そして株券(現在はペーパーレス化)を投資家に発行します。投資家はそのリターンとして、配当金や値上がり益を得るのです。

株主の権利は3つあります。

1つ目は利益配当請求権といって、配当金などの利益分配を受け取る権利、2つ目は議決権といって、会社の経営方針などについて株主総会で意見を述べたり、議決に参加したりできる権利です。そして3つ目は残余財産分配請求権といって、もし会社が解散する場合は、株式数に応じて残った財産が分配される権利です。

次に流通市場、つまり、マーケットを見てみましょう。投資家は株を売りたいとき、会社に直接買ってもらうことはできません。株式の流通市場を通じて、売りたい人と買いたい人が売買取引をします。そこでついた価格が株価になります。高くてもいいから買いたい投資家がたくさんいれば、株価は値上がりする傾向がありますし、その逆もあります。一般的には証券会社を通じて売買の発注を行います。

 

株式の本質

株式の本質についても少しだけお話ししましょう。

会社が毎年利益を出していけば、その利益が蓄積されていきます。株式投資の本質は「利益の蓄積」なのです。

例えば第1期では、100万円の資本金を使って、結果として利益が20万円出たとします。そうすると、利益率は20%となります。

この場合、

自己資本〈純資産〉利益率(ROE)

=当期純利益(20万円)÷自己資本〈純資産〉(100万円)×100[%]

=20[%]

となります。

この利益は誰のものでしょうか? 利益は社長のものでも、従業員でも、債権者でもなく、会社の所有者である株主のものです。株主のひとつの喜びですね。

そして利益20万円を、内部留保(社内に蓄積する分)と配当(その期に分配する分)に10万円ずつ割り当てました。配当はその期に直接もらえます。これがインカムゲインになります(利益配当請求権)。内部留保は会社に蓄えて、翌期以降の事業活動に活かしていきます。継続して蓄えた「資本金+留保(剰余)金=純資産」も株主のものであり、この蓄積に応じて本質的価値は積み上がります。そしてこの利益の蓄積が値上がりにつながるのです。これがキャピタルゲインになります(残余財産分配請求権)。

すなわち、「利益」は株主のものであり、2つの恩恵があるのです。ひとつは「配当」として利益の一部をその期にもらえるインカムゲイン、2つ目は「留保金」として利益の一部を蓄積し、毎期積み上がっていく「純資産の大きさ」、つまりキャピタルゲインです。この2つが株主の本質的喜びです。

では次に、株価について見ていきましょう。

日々の株価は、本質に沿って理論通りに動いているのでしょうか? 決してそんなことはありません。

仮に本質として、1株あたりの純資産が「1.1」の価値があるとします。ただ、高くてもいいから買いたい人が次々にあらわれて、株価が「5」まで上がりました。株式市場では一時期、理論的にどうみてもおかしい水準まで割高に上がる現象が起きます。バブルともいわれますね。ただ、もし株式市場が正しく機能しているとすれば、本質と比べて、あまりにも高いことに気づき、売りたい人が増えていきます。

逆に本質(1株あたり純資産)が「1.1」なのに売り込まれて、例えば株価「0.1」まで下がっていったとします。株式市場では、理論的にどうみてもおかしい水準まで不安が先行して売り込まれたりします。暴落といわれます。ただ、もし株式市場が正しく機能しているとすれば、本質と比べてあまりにも安すぎることに気づき、再び買いたい人が増えるのです。

結局、株価は常に上にも下にも変動します。しかし、あまりにも本質からのブレ幅が大きすぎると、修正されるという株式市場の価格調整機能が働きます。そして5年、10年と長期的なスパンで本質、つまり利益が蓄積されている限り、ブレながらも株価は本質に沿って上がっていくといえます。

 

3.REITの仕組み

次にREITについて、少しお話ししましょう。REITと聞いて「何のこと?」と思われる方も多いでしょう。

REITとは「Real Estate Investment Trust」の頭文字をとったもので、不動産投資信託といいます。多くの投資家から集めたお金で、オフィスビルやマンション、商業施設、物流施設、データセンター、ホテルなどを購入することで、そこからもたらされる「家賃(賃貸料)収入」や「売買益」で得た利益を投資家に分配するものです。

REITの特徴として、次の3点が挙げられます。

①購入、管理などは不動産のプロが行う

②複数の不動産への投資なので、リスクが分散されている

③取引所に上場しているため、株式のように売買できる

REITの本質は、継続的に入ってくる「家賃(賃貸料)収入の蓄積」であるといえるでしょう。

投資信託としてREITを組み入れる場合は、上場している「上場不動産投資信託」をいくつかまとめて組み入れて運用されます。

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みんな、どの記事から株買った? 5月の人気記事ランキング

みんな、どの記事から株買った? 5月の人気記事ランキング

みんな、どの記事から株買った?人気記事ランキング 日興フロッギー編集部

2025.6.03

みんなが記事から買っている人気の記事を、ランキング形式でお届けする本連載。今回は、配当金がもらえる銘柄や「万博」に関連する銘柄を紹介した記事をご紹介します。

年10万円の配当金がもらえるポートフォリオを紹介した記事が1位に

5月に買われた記事では、45歳で早期退職して配当金生活を実践している長期株式投資さんにインタビューした「年間10万円の配当金ポートフォリオ 長期株式投資さん前編」、「業界首位のグローバル銘柄を! 推し配当株TOP5 長期株式投資さん中編」が1位、2位にランクイン。3位は「電子部品専門商社に、まちづくりのプロも! 5月の配当金銘柄6選」がランクインしました。


注:集計期間は2025年5月1日~5月25日

FIREを達成した長期株式投資さんが選んだ配当株は……?

1位にランクインした「年間10万円の配当金ポートフォリオ 長期株式投資さん前編」では、配当を重視した投資戦略で資産を築いた長期株式投資さんに、年10万円の配当金がもらえるポートフォリオを教えていただきました。
長期で保有できるような業績が安定している銘柄を、PERやPBRが低い時期に買う、判断に迷う時には長期的な企業の方針を確認するなど、銘柄選びのポイントや買うタイミングも分かりやすく解説してもらいました。

また2位の「業界首位のグローバル銘柄を! 推し配当株TOP5 長期株式投資さん中編」では、長期株式投資さんがおすすめする配当株を紹介しました。

長期株式投資さんいわく、選んだ5銘柄はいずれも「超長期で保有でき、配当利回りが高いということに加えて、業界首位級でグローバル展開している」とのこと。たとえ業界2位の方が高配当だとしても、業界首位の銘柄を推す理由など、分かりやすく解説してくれました。
日興フロッギーでは100円から投資でき、単元株(100株)に満たない株数でも配当金が受け取れます。配当株投資に興味がある方や配当金生活を目指している方は、ぜひ記事をチェックして、気軽にチャレンジしてみてくださいね。

2025年最大級の国内イベント「大阪・関西万博」がスタート

9位にランクインした「国内最大規模のビッグイベント「万博」関連銘柄をチェック」では、関西万博の開催で業績に追い風が吹きそうな銘柄を取り上げました。
関西万博は、2025年に国内で催される最大級のイベントの1つと言え、国内消費の改善や関西地方の経済活性化に期待が高まっています。外部環境の不透明感が続き、投資対象の選定が難しい状況下では、こうしたイベントをフックに銘柄を選定してみてはいかがでしょうか。

※LINEヤフー(4689)は記事執筆時点で、記事執筆時点で証券金融会社の注意喚起銘柄に指定されています。

INPEX
日本たばこ産業
みずほリース
三菱商事
ブリヂストン
ヒューリック
三井物産
三菱UFJフィナンシャル・グループ
日本電信電話
東京海上HD
オリックス
バンダイナムコHD
コナミグループ
セコム
西日本旅客鉄道
阪急阪神HD
TIS
セガサミーHD
GMOペイメントゲートウェイ

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簡単なようで難しい「顧客を正しく理解する」こと【前編】

簡単なようで難しい「顧客を正しく理解する」こと【前編】

上場企業の社長に聞く! 夢とお金の本質・ハルメクホールディングス・宮澤孝夫社長 宮澤 孝夫

2025.6.02

50代からの心豊かな生き方を提案する女性誌『ハルメク』は、独自企画商品の販売も好調。全国の百貨店に実店舗も拡大している。同誌をグループで発行するハルメクホールディングスの宮澤孝夫社長は、質の高い情報による信頼づくりを軸に、顧客に寄り添う事業を磨く。再建を託された会社を新たなステージへと導いた経営の実践を聞いた。

一番の資産は「読者との信頼関係」です

「50代からの女性がよりよく生きることを応援します」。当社の経営理念は、創業以来まったくブレていません。

近年、「パーパス経営」という考え方がよく聞かれるようになりましたが、我々は一過性の流行語としてではなく、日々の事業判断の根拠として、この言葉と真剣に向き合い続けています。

発行する月刊誌『ハルメク』の定期購読者は約47万人と、現在国内で発行する女性誌ではナンバーワンの販売部数となりました。雑誌の誌面と連動して独自に商品を企画し、通販カタログや実店舗を通じて販売しています。

神保町のオフィスにて、インタビューに応じる宮澤社長

もともと私は出版社の世界に身を置いていたわけではなく、経営危機に陥った会社の立て直しのために呼ばれた立場です。

社長になった当初は、正直言って雑誌のことはよく分かっていませんでした。しかし、事業に取り組むうちに徐々に見えてきたのは、雑誌というメディアがもたらす「信頼」の力です。

質の高い情報を継続的に届けることで、読者との間に生まれる信頼関係。それこそが、我々の最大の資産であり、様々なビジネスの展開の起点になるのだと気づいたのです。

そして、その信頼があるからこそ、我々が衣料品や食品を売るときの提案は読者の生活に寄り添い、「これがあったら、毎日が少し明るくなるかもしれない」という期待に応えることができる。そんな存在でありたいと考えています。

たとえば、読者のお一人が「『ハルメク』で知った服をスポーツクラブに着ていったら褒められて、気持ちがパッと明るくなった」というお便りをくださった。そんな言葉は、我々にとって何よりの原動力なのです。

2016年に『いきいき』から誌名を変え、リニューアルした雑誌『ハルメク』

顧客理解への第一歩

ハルメクという会社は単に雑誌をつくり、販売する会社ではありません。

情報と商品・サービスを組み合わせた「ライフスタイル提案型」のビジネスモデルです。そしてその中心にあるのは、常に「顧客理解」です。顧客理解を徹底するための仕組みづくりは不可欠であり、私たちが一番時間をかけているのもそこです。

顧客を正しく理解する。その第一歩となるのが、「誰に向けて発信するかを定めること」。一口に「50代以上の女性」といっても、国内に3200万人もいる全員に求められる商品をつくるのは不可能です。

単純に年齢で分けるだけでなく、生活パターンや価値観によって「マーケットを細かく切り取る」ことが重要だと考えています。

環境の変化もニーズに影響を与えます。たとえば、これから夏に向けて下着の商品開発をするとなれば、「毎年記録を更新するような酷暑の環境下で、積極的に外出を楽しみたいアクティブなシニア女性が、日中に身につける下着に求めるのはどんな機能か」と、できるだけ具体的にお客様のニーズを特定していきます。

加えて、商品開発の際に我々がよく議論するのが、オケージョン(場面)ベースでのニーズです。

たとえば、ワンピース1枚とってみても、「家の中で過ごすときに着る服」なのか、「近所のスーパーに行くときに着る服」なのか、それとも「旅行に行くときの勝負服」なのか。それぞれで求められる機能も、デザインも異なってくる。

さらには、同じ商品に対する期待の重心も、人によっても異なります。価格重視の方もいれば、素材や着心地を何より大事にする方もいる。

私たちは、それらを細かくグルーピングしながら、商品ごとに「このタイプの読者に向けて提案していこう」と丁寧に議論を重ねていきます。「誰のための、なんのための提案なのか」を明確にすることで、伝えるべき言葉が定まり、使用シーンも含めたライフスタイル提案として誌面で届ける情報が決まる。するとようやく「これは私のための商品だ」と買っていただけるのです。

「半歩先のニーズ」にこだわる

こうした取り組みの積み重ねによって、少しずつですが「『ハルメク』が勧めるのなら信頼できる」と思ってくださる方が増えてきました。私たちがこれからさらに進めていきたいのは、そうした信頼をベースに、シニア女性の「これからの人生」を応援する新しい提案です。

今の時代、あらゆる商品・サービスがコモディティ化し、そのもの自体の機能やスペックだけでは差別化は難しい。意味や文脈を伴った情報の提供こそが、顧客の心を動かすはずです。

「50代からの女性がよりよく生きることを応援します」という経営理念に向かって、本当に真面目で愚直な会社だと自負しています。

ただし、「ブレないこと」と「変わらないこと」は違います。

時代とともに、女性たちの価値観や暮らしも変化します。私たちの使命は変えずとも、そこにどう応えるかの手段や内容は、常に変化に対応していく必要があります。その象徴的なテーマが「デジタル」です。

50代から80代までのシニア女性は、デジタルリテラシーのばらつきが非常に大きい。インスタグラムで情報収集する50代もいれば、スマホの操作に苦労される80代もいらっしゃる。こうした“まだら模様”にきめ細かく対応しなければなりません。

我々が毎年実施している「スマホ特集」は、そのような読者の不安や関心に寄り添う一例です。テクノロジーの進化や読者のニーズに合わせ、毎年少しずつ内容を変えながら、読者の“半歩先”を照らすような提案を心がけています。

大人気「スマホ特集」は、初心者向けに〝毎日が楽しくなる〟使い方を厳選

重要なのは、この半歩先をつかむ感覚です。「ChatGPTが話題だから、そろそろAIの特集を……」と考えたくもなりますが、読者の声に耳を傾けると「さすがにそれはまだいいわ」という反応もある。0.1歩先だと物足りない。1歩先に行きすぎると引かれる。その“ちょうどいい距離感”を保つことが、本当に難しい。絶妙な塩梅が求められます。

シニア男性マーケットは絶対に「ある」

私は『ハルメク』の顧客理解を通じて、シニアマーケットに向き合い続ける中で、シニアビジネスの可能性をより強く感じるようになりました。

「年を取ったらおとなしくすべき」「派手なことは控えるべき」。そんな昭和的な古い価値観は、世の中にまだ根強く残っています。特に今のシニア女性は、若い頃は子どもや家族のために尽くし、年齢を重ねても親の介護や孫の世話など、常に「誰かのために」生きることを美徳とされてきた世代です。

しかし、時代は確実に変わりつつあります。「もう我慢したくない」「自分の人生を自分のために使いたい」――そういう新しい価値観を口にできる人が、少しずつ増えてきたように感じます。

明るい色の服を着て、お友達を誘って出かけてみようか。そんな“ちょっとした勇気”を支える存在となる事業をつくりたいと、私は考えています。
そして、この可能性は女性に限りません。これはまだ私の個人的な希望の段階ではありますが、将来的には、シニア男性の生き方提案にもチャレンジしたいと考えています。

私自身もシニア男性の一人ですので、実感をもって言えるのですが、男性は現役時代に「仕事一辺倒」の生活を送ってきた人が少なくなく、定年退職後に「社会との接点」を失いやすい傾向があります。

体力も知識も、やる気もある。でも、どこに居場所があるのか分からない。そういう状況に陥ってしまってエネルギーを持て余してしまうのは非常にさみしいことですし、社会的損失でもあります。

一昔前には“モテたい中年男性”向けの雑誌が流行しましたが、もっと上の世代――60代、70代にも、実は大きな市場があるのではないかと感じています。

単なるファッションや趣味の提案にとどまらず、人生のステージに応じた「自己肯定」や「社会との再接続」を後押しするような情報や商品、サービスを届けていけたらと思います。

もちろん、まだまだ女性の領域でもやるべきことはたくさんあります。

同じ60歳でも、5年前の60歳と今の60歳とでは、求められることがまったく違うように、世代が変われば価値観も変わる。顧客理解に終わりはありません。

だからこそ、この仕事は常に挑戦であり、創造であり、変化に向き合うことの連続だと感じています。

ハルメクホールディングス
次回は6/10(火)配信予定です。