立憲案は、現役世代の厚生年金カットを防ぎ、年金を増やす!
立憲民主党の泉健太です。
今回は年金法案について語ります。
この年金法案は「重要広範議案」これは、与野党で充実審議することが大前提の重要法案です。
しかし与党は、法案提出を2カ月も遅らせました。自民党は参院選への悪影響を恐れ、石破総理にはリーダーシップが欠けています。
これに対し、立憲、維新、国民、共産党、れいわなど野党各党は「審議時間が足りない」と反発しました。
ただ会期末は6/22。問題は、法案の扱いです。5年に一度の年金「財政検証」による年金政策の軌道修正をせねば、当初の予測と実際の年金の乖離がどんどん大きくなってしまいます。
今回の主題は、このままだと減ってしまう、就職氷河期とその下の世代全体の年金額を、いかに「増やすか 」ということ。
与党が以前導入した「マクロ経済スライド」を残したままにしておくと、今後、就職氷河期以降の若い世代の年金受給額が抑えられてしまう。それを防がねばなりません。
それゆえ立憲は、与野党協議を始めました。
現在、88.3%の人が国民年金と厚生年金の両方に加入経験を持っています。
就職氷河期以降の多くは、厚生年金と国民年金を行き来していて、厚生年金積立金には、「以前は厚生年金で今は国民年金」という方々の保険料も含まれています。
なので、「今は国民年金」という方々の年金額が、厚生年金積立金によって底上げされることは政策としてありうるのです。
確かに国民年金のみに加入している5.6%の方々の受給額引き上げに厚生年金積立金を充てるべきかどうか、これには議論があります。
ただ、さらにいえば国民年金と厚生年金は基礎年金の財政負担のあり方でも連動性があり、無関係ではありません。
近年の傾向として、国は厚生年金の加入者を増やすために、労働時間などの加入資格を緩和。
それにより、
→国民年金の加入者が減る
→国民年金積立金から基礎年金財政への拠出金が減る
→それに伴い厚生年金積立金からの基礎年金への拠出金も減る
→それに伴い厚生年金積立金は基礎年金(1階部分)よりも報酬比例(2階部分)により多く流れる。
→基礎年金が弱くなり、報酬比例が強くなる。
という現象が生まれました。国民年金と厚生年金のマクロ経済スライドは、当初2023年に同時終了する予定でしたが、国民年金のマクロ経済スライド(受給額抑制)だけが長期化してしまう。それが明らかになったのが、今回の財政検証でした。
就職氷河期とその下の世代全体の年金額をカットさせず、「増やす」には、今回の制度改正が必要なのです。
ちなみに、今回の制度改正には、年金保険料のアップや増税は伴いません。なぜなら人口減少社会に入り、現在の年金制度に投入されている国庫負担(年あたり約13兆円)も、これ以上膨らまないからです。
私たちはまず、就職氷河期とその下の世代の年金額を確保し、その後は、現在未成年の世代が一定額の年金を受け取れるよう、年金資金の運用に加え、応能負担に基づく税収の確保、税による年金財政への支援を続ける必要があります。
「こんな年金制度はやめてしまえ」「自分の力で蓄えよう」という年金廃止論、自己責任論もありますが、国民全体の生活を支える年金は、社会の安定の基盤でもあります。年金改革の議論は今後も必要です。先送りせず、今後も党派を超えて議論し、更なる年金制度の改善をしてまいります。
お読みくださり有難うございました。
泉健太


コメント
1「確かに国民年金のみに加入している5.6%の方々の受給額引き上げに厚生年金積立金を」
→ この5.6%という数字はどのように導出されたのでしょうか? 国民年金と厚生年金の両方に入っていた人は、期間に応じて正しく按分していますか? もし短期間しか厚生年金の履歴がない人も100%厚生年金側でカウントしたら、国民年金の5.6%は著しく過小で無意味な数字となります。(厚生労働省と立憲民主党がこの数字を小さく見せたい気持ちは分かりますが)