【独自】立憲民主党・篠田奈保子衆院議員に浮上した「生活保護の不正受給黙認」疑惑

Aさんが中川弁護士に送っていたメール
Aさんが中川弁護士に送っていたメール

「どう説明するかは先生と相談出来ればと思います」

そのメールはまず、’13年9月13日午前11時15分に、中川潤一弁護士からAさんに送られている。ここで登場する中川弁護士は篠田氏の夫である。2人は北海道釧路市内で法律事務所を開業し、Aさんの代理人も2人で務めていた。篠田氏のメールアドレスはCC部分に記載され、同じ内容を共有できるようになっていた。

〈弁護士の中川です。(中略)

篠田が出張中なので,私が代わってメールします。

昨日の裁判では,お互いの書面,証拠が提出されました。(中略)

財産分与に関して,双方名義の口座を全部出そうということになりました。(後略)〉(原文ママ)

財産分与のあり方は、離婚にあたって協議する基本的な条件の1つである。互いにこれまでにつくった金融機関の口座をすべて明らかにし、まずは全財産を把握しようということだろう。

そして、Aさんは同じ日の午後2時8分、中川弁護士だけに次のように返信した。

〈(前略)ゆうちょ銀行は夫には10万(円)位しかないと言っていましたが、66万位ありました。生活保護を受けるにあたり、40万位は親に預けました。それをどう説明するかは先生と相談出来ればと思いますが、通帳は全て夫のとこなので、まずは送ってもらわないといけないと思います〉(丸かっこ内は引用者)

このメールから考えられるのは、貯金額を故意に減らすことで、Aさんは、生活保護を不正に受給していたのではないかという疑惑である。

当時、Aさんが暮らしていた北海道釧路町で、生活保護を担当する地域課の職員は、筆者の取材に対して次のように話した。

「生活保護の受給希望者の経済状況に関しては、基本的に収入がなく、預貯金や現金の手持ちもなく、家族からの援助も期待できない人が対象になります。各家庭によって異なりますが、母1人、子ども2人の場合、一般的に、最低限の生活を維持するためにかかる費用は約18万円程度。預貯金は10万円程度であれば、生活保護の対象になり得る」

裁判資料のなかには通帳の写しもあり、Aさんがメールで語ったような出金の動きも確認できる。まさに、生活保護の受給条件に合う程度まで貯金残高を減らしていたようなのだ。

ところが、財産分与の協議にあたり、過去の通帳を夫側に見せる必要が生じた。そこには入出金した日付や金額が書かれていて、離婚や子どもの親権などを巡って対立している夫に、不正を把握される事態に直面したのである。

実際に、同日の午後4時22分に、Aさんが中川弁護士に送ったメールからは、彼女が動揺している様子がうかがえる。

〈ゆうちょ銀行の通帳は使えないようにしてあるのですが、それをしたのが遅かったので(夫に口座の入出金履歴を)知られている可能性はあります〉(丸かっこ内は引用者)

これらのメールは、生活保護の不正受給という〝罪の告白〟ではないのか。そして、依頼人からのこのような告白を受けた篠田氏はどのように対応したのか。

本来ならば、不正を知った段階でAさんをただし、受給もやめさせるべきである。ところが実際には、篠田氏はそうした対応をしていなかったように考えられるのだ。