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ホロライブプロダクションとタレントからワールドツアー2025について説明が不十分だったため、SWEDENBORYの代表として補足させてもらう。 ホロライブがワールドツアー2025の開催地の一つに香港を選んだことについて、かつての対中関係を理由に疑問視する声もあるかもしれない。しかし、中国本土と異なり、香港は現在でもYouTubeや𝕏へのアクセスが可能で、繁体字文化を共有する台湾・シンガポールと並ぶ国際的な中国語話者の文化拠点である。政治的センシティビティを回避しながら、中国語圏ファンへの接点を再構築するには香港が現実的な選択肢だったと言える。 香港は現在、「一国二制度」の枠組みの下で特別行政区としての法的地位を維持しているものの、2020年に施行された国家安全維持法により、政治的・報道的表現の自由は大きく制限されるようになった。だが同時に、この法制度の中でもアニメやゲーム、Vtuberといった非政治的なサブカルチャーに対しては比較的自由な活動が可能である点は特筆に値する。COVERは、この線引きを冷静に読み取り、政治性のない文化活動として香港に拠点を置くことが許容されると判断したと見られる。 また、日本文化やアニメ・Vtuber文化が香港の若年層に深く浸透しているのは事実であり、同地では過去(2023)にもVtuber関連イベントやアニメコンベンションが成功を収めている。COVERとしても、本土再参入を行わずに中国語圏のファンダムとの距離を保ちつつ、グッズ流通やライブ体験の地理的ハブとして機能する香港の価値を最大化する狙いがあると見られる。 誤解を避けるために明記するが、今回の香港公演は中国市場への“再上陸”ではなく、むしろ国家安全法下の制約と一国二制度の制度的余地を慎重に見極めた上で、文化的接点のみを重視した戦略的展開であり、COVERの対外戦略の成熟とリスク管理の姿勢を示す一手と捉えるべきだろう。