チベットの人権や自由について議論する「世界チベット議員会議」が3日、国会内で開幕した。29カ国130人の国会議員や研究者、活動家が参加。中国チベット自治区ではチベット仏教の信仰が侵害されるなど漢族への同化政策の進展が懸念されている。参加者はチベット文化やアイデンティティーの維持に向けた連帯を確認した。
チベット亡命政府(インド北部ダラムサラ)と日本チベット国会議員連盟の共催。
同会議は1994年にインド・ニューデリーで初開催され、欧米諸国で過去8回実施。日本開催は初めて。最終日の4日に「東京宣言」を取りまとめる。
自治区では、中国当局がチベット人の児童らを家族から引き離し、寄宿学校で中国語の学習が強制させていると問題視されている。
目下の焦点はチベット仏教の最高権威でダライ・ラマ法王14世の後継問題。7月6日に90歳を迎え、中国政府による介入が危惧される中、ダライ・ラマは7月初旬にダラムサラで開かれる亡命政府の会議で転生(後継)に言及する可能性がある。
亡命政府のペンパ・ツェリン首相は「世界で紛争が起きる中、法王が語る非暴力のメッセージは共感されている」と述べ、チベットについて「中国共産党に抑圧的に支配され、『中国の一部』は受け入れられない。皆さまの応援が継続されることでチベットの地で尊厳をもって生きることを求めていきたい」と訴えた。
チベット議連の山谷えり子会長(自民党)は「中国政府はチベットを昔から中国の一部だったと歴史を書き換えようとしている。チベット人はチベット人として生きる自己決定権がある」と強調。「チベット問題は中国の内政問題ではなく国際問題だ。チベットの人権状況を知るためのアクセスを強く求めたい」と語った。
同会議にはチベット問題に取り組んだ安倍晋三元首相の妻、安倍昭恵氏も出席した。(奥原慎平)