[青森・高総体サッカー]野辺地西が悲願の初V 青森山田の県内連勝記録は418でストップ
青森県高校総体男子サッカーは2日、八戸市のプライフーズスタジアムで決勝を行い、野辺地西がPK戦の末、25連覇を狙った青森山田を破り、初優勝を飾った。青森県高校サッカー史を塗り替えた野辺地西の選手、関係者は歓喜に沸いた。1999年の敗戦以降続いてきた青森山田の県内公式戦の連勝は418で途絶えた。 7人目までもつれたPK戦。青森山田が外して迎えた野辺地西のキッカーDF中野渡琉希(3年)がゴール左隅に沈めると選手たちは抱き合い、喜びを爆発させた。青森山田1強時代に風穴が開いた瞬間だった。「実感がない。びびることなく全力でぶつかった」。主将のFW藤田律(同)は興奮を隠せなかった。 前半7分に右クロスをMF阿部莞太(同)が頭で合わせて先制。後半に追いつかれたが、集中力を切らすことなく延長、PKにもつれた死闘をものにした。 両校は高校選手権も含めて何度も県大会決勝で激突。そのたびに王者の壁にはね返された。それだけに就任22年目の三上晃監督(49)は「決勝で負けた先輩たちの経験が生きている。あらゆる力がプラスに働いた」と強調した。野辺地西OBで昨年度の総体、選手権とも県大会決勝で敗れた悔しさを知る東北社会人リーグ1部・ブランデュー弘前FCのDF奈良良祐(りょうすけ)(18)は“打倒青森山田”の思いで野辺地西に入学した当時を振り返りながら、「頑張ってこのような結果を残してくれた後輩や監督、コーチに感謝したい」と述べた。 スタンドには選手の恩師も駆けつけた。阿部を小学生時代に指導した野辺地サッカークラブの川畑翔監督(40)は「歴史を変えた選手たちの中に、自分のクラブの子がいてうれしい」と喜びをかみしめた。地元では町内放送が流れ、優勝の一報が住民に届けられた。 全国大会では青森山田を破ったチームとして注目を浴びることは必至。阿部は「山田に勝った責任がある。インターハイ(全国総体)でいい試合をしたい」。7月26日から福島県で開かれる全国の舞台で野西旋風を巻き起こす。 ▼「気にすることない」/J1町田・黒田監督 「いずれは途絶える記録。勝負の世界だから仕方がない」。1995年から28年間にわたって青森山田サッカー部の監督を務め、現在はJ1町田を率いる黒田剛氏(55)は2日、東奥日報の電話取材に応じ、県内公式戦で2000年以降無敗、418連勝という記録がストップした古巣について「今まで負けなかったのが不思議。全然気にすることはない」と気遣った。 「すみませんでした」。野辺地西に敗れた試合後、青森山田の正木昌宣監督(44)からは黒田氏に謝罪の電話があったという。連勝が始まる以前のエースFWでもあったかつての教え子に、黒田氏は「こんなこともある。まだまだこれからだよ」と励ました。黒田氏自身も青森山田の監督時代、野辺地西には何度も冷や汗をかかされており、「青森山田を脅かす存在として頑張っていた姿はよく分かっている。三上監督が毎年諦めずにチャレンジし続けた成果が実った一日になった」と拍手した。