「我慢できず…」空きがなく、女子トイレを利用した男性 緊急でも犯罪になってしまう?
●開店前、閉店後の店のトイレでも同様
ーー我慢できずに開店前や閉店後の店や公共施設のトイレを無断利用することは法的にどのような問題があるでしょうか? これまでは、営業中の店舗等のトイレを前提に説明をしてきましたが、開店前・閉店後の店舗や公共施設のトイレを無断で使用する場合にも、住居侵入罪が成立する可能性があることは同様です。 「トイレを使用することが予定されていない時間だから、他の人に迷惑はかからないだろう」という考えはトラブル回避の理由にはなりません。 なぜなら、盗撮のためのカメラなどを設置するために、あえて開店前・閉店後のトイレに侵入する可能性もあるからです。 また、本来の目的以外にトイレを使用する場合も考えられます。 これに対して、一般的に、24時間開放している公園のトイレを使用した場合について住居侵入罪が成立するとは考えられません。 しかし、トイレに侵入してそのトイレが盗撮やのぞきに適していることをSNSで紹介する行為、あるいは本来の目的以外にトイレを使用することについてまで、建物の管理者が許諾をしているとは考えられません。 そのため、そのような場合には住居侵入罪が成立することになります。 したがって、トラブルを回避するためには、常識的に考えて、他人が管理している店舗などのトイレを勝手に使用しない、公園など誰でも使用できるトイレはトイレとして使用し、それ以外のことには使用しないという行動をとるべきです。
●「疑われる行動をとらないことが最善」
ーートイレが空いていない場合、我慢できなかったらどのように行動する必要がありますか? 確実な答えはありませんが、トラブルを避ける方法としては、たとえ明確な了解を得る余裕がないとしても、あらかじめ異性のトイレを使用する前に店員さんなどに声を掛ける、短時間で用を済ます、そして、トイレを使用した後にきちんと謝罪するという方法が考えられます。 もっとも、例えば、女性用トイレに男性がいきなり入ってくれば、その場に居合わせた女性にとっては恐怖を感じるのも当然でしょう。 また、最近では商業施設において重大な犯罪が発生したこともあります。 そうすると、やはり、たとえ自分にとっては緊急事態であっても、異性のトイレを使用するということはトラブルになる行動であると言わざるを得ません。 そのため、トラブルを回避するためには、最初から疑われるような行動をとらないことが最善ということになります。 当たり前の答えになりますが、時間に余裕をもって行動する、あらかじめ用を足しておく、体質によっては薬を用意しておくなどの対応が必要になるでしょう。 最近ではトイレの場所を探すためのアプリもありますので、御自身のスマートフォンにそのようなアプリを入れておくなどの準備も検討してはいかがでしょうか。 【取材協力弁護士】 星野 学(ほしの・まなぶ)弁護士 茨城県弁護士会所属。交通事故と刑事弁護を専門的に取り扱う。弁護士登録直後から1年間に50件以上の刑事弁護活動を行い、事務所全体で今まで取り扱った刑事事件はすでに1000件を超えている。行政機関の各種委員も歴任。 事務所名:つくば総合法律事務所 事務所URL:http://www.tsukuba-law.com
弁護士ドットコムニュース編集部