すき家“23時間営業”が問い直す、外食チェーンの限界と未来
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年6月2日 8時10分
しかし、チェーン店スタッフとして、ただマニュアル作業をこなすだけで、汎用的なキャリアにつながらないのであれば、長期的な貢献に対するリターンが少なすぎて職場の定着率が上がるはずもない。人間には、貢献に応じたキャリアアップが得られる仕事を与えられるべきだ。
外食に限らず、現代はこうしたマニュアル労働的な仕事にあふれている。短期バイトや一時的な副業としてはありがたい存在だが、これを長期間続けると、心の病の原因にもなりうる。
近年、うつ病など心の病の患者数は急速に増えているという(図表2)。これが労働環境と直接の因果関係にあるかどうかは不明だが、現在のサラリーマン社会において、世の中の仕事の多くが「やらされ仕事」であるため、そのストレスに耐えられない人が増えてきたのではないかと、個人的には感じている。
産業革命以降、雇われ仕事は存在し続けているが、やらされ仕事に従事する割合は現在がピークなのではないか。
就業者に占める雇用者(サラリーマン)の比率は、1953年には42%だったものが、2000年代以降は85%、2024年時点では9割を超えているという。就業者のほとんどが雇用者であるが、これは向かない人もかなり多いはずだ。私自身が30年ほどサラリーマンとして働いてきた経験と、周囲を見渡しても、そう実感している。今こそ、テクノロジーの進展が「やらされ仕事」を少しでも減らしてくれることを願うばかりである。
●筆者プロフィール:中井彰人(なかい あきひと)
みずほ銀行産業調査部・流通アナリスト12年間の後、独立。地域流通「愛」を貫き、全国各地への出張の日々を経て、モータリゼーションと業態盛衰の関連性に注目した独自の流通理論に到達。執筆、講演活動:ITmediaビジネスオンラインほか、月刊連載6本以上、TV等マスコミ出演多数。
主な著書:「小売ビジネス」(2025年 クロスメディア・パブリッシング社)、「図解即戦力 小売業界」(2021年 技術評論社)。東洋経済オンラインアワード2023(ニューウエイヴ賞)受賞。
外部リンク
この記事に関連するニュース
- 
                            
                                北九州発「資さんうどん」が大黒柱に?すかいらーくHD会長に聞く“必勝戦略”【Bizスクエア】TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年5月28日 6時30分 
- 
                            
                                すき家「ネズミ混入でも影響小」が示す残酷な現実東洋経済オンライン / 2025年5月17日 7時45分 
- 
                            
                                外食大手「売り上げ好調、でも客は減っている」――実質賃金マイナスとエンゲル係数が突きつける現実ITmedia ビジネスオンライン / 2025年5月13日 6時0分 
- 
                            
                                スシロー、“回転寿司チェーン店舗数1位”で絶好調だが…見逃せない「外食チェーンが抱える根本的問題」日刊SPA! / 2025年5月12日 15時51分 
- 
                            
                                なぜ吉野家は「並盛498円」を値上げしなかったのか…深刻な客離れを起こした「スシローとガスト」との決定的違いプレジデントオンライン / 2025年5月7日 17時15分 
トピックスRSS
ランキング
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする