世界唯一の捕鯨母船…記者が「探索」したら 甲板にドローン庫なぜ?
毎日新聞 / 2025年6月3日 8時45分
史上初めてオホーツク海産のナガスクジラ肉を水揚げするため、2日に仙台港に入港した捕鯨母船「関鯨丸」。総トン数9299トンの巨体には、さまざまな最新設備が搭載されている。保有する共同船舶(東京都中央区)の許可を得て、世界で唯一の捕鯨母船の船内を“探索”させてもらった。
関鯨丸は24年3月に完成したばかりで、全長は112・6メートル、船幅は21メートル。船体上部は純白で、下部は紺色に塗られている。4基の発電機で作られた電気でスクリューを回す電気推進方式を採用。船を横方向に動かせるサイドスラスターも搭載しており、仙台港入港の際にはタグボートの力も借りず、巨体を器用に岸壁へ滑り込ませた。
甲板にはドローンの格納庫と飛行甲板も設置されている。100キロを飛行できるというドローンは、上空からクジラの影を追う。捕鯨船団の目の役割を担う。
乗組員の定員は最大100人。主に船の操縦を担当する「甲板部」やエンジンのメンテナンスを担う「機関部」、食事の調理を担当する「司厨部」など、船ではおなじみの部署が並ぶ。捕鯨母船らしいのは、クジラ肉の解体や冷凍保存などを手がける「製造部」で、全乗組員の半数を占める。
乗組員には、各自に個室が用意されている。女性の乗り組みも予定されていることから、女性用の風呂なども備えている。造水装置があるため、乗組員たちは真水の風呂にも入ることができる。
船体内にあるクジラの解体スペースは縦約60メートル、横約20メートルでテニスコート4面が取れる広さ。共同船舶の所英樹社長(70)は「これだけのスペースがあれば、大きなナガスクジラでも用意に解体できる。言ってみれば『世界一のまな板』です」と胸を張る。スペースの脇には、クジラに打ち込むもりや、長い棒の先に50センチ以上の刃渡りが付いた大包丁も並んでいる。
スペースの後方には「スリップウェイ」と呼ばれるハッチがあり、キャッチャーボート(母船に随伴する捕鯨船)が仕留めたクジラを収容できる。電気推進化に伴いエンジンの容量が小さくなったため、クジラをスムーズに船内へ引き込める。冷凍やパック詰めをする設備もあり、まさに「動く食肉工場」だ。
若い乗組員たちが喜んでいるのは、衛星回線を介してインターネットに接続されており、船内にはWi―Fi(ワイファイ)が備えられている点。仕事のない時間帯にはネットを使って陸地で暮らす家族と連絡を取ったり、ゲームを楽しんだりすることもできる。
また、船内には簡単な手術も可能な医務室があり、船医と看護師が常駐。安心して捕鯨に専念できる。製造部の鈴木湧さん(24)は「個室にはソファや洗面台、十分な収納もあり、テレビも見られる。船内生活はとても快適です」と喜んでいた。
北海道の北東に位置するオホーツク海から岩手県沖の太平洋などを舞台とする関鯨丸。その活躍を目にする機会はなかなかないが、鯨食文化を守り、振興するため、沖合に出る。【竹田直人】
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