撮影/川島悠輝

どんな人間でも幸せに自分らしく生きる権利がある

そんな生き方をしているうちに、このままではメンタルにも影響が出てくると思い、ある時、海外に移住することを考え始めるようになりました。海外に行き始めた頃の話ですが、ある日、男性同士が街中でキスしているのを見て、僕は衝撃を受けました。周りの人たちで、彼らの行動を気にしている人は誰もいませんでした。その時、初めて自分はひとりじゃないんだって、どこかホッとしました。LGBTQ+の人でも堂々と幸せになる道はあるのだと、希望がわいてきました。

完全に自分のセクシュアリティを受け入れるには、そこからさらに時間はかかりましたが、LGBTQ+であろうと、どんな人間でも幸せに自分らしく生きる権利があるんだということに気づかされました。だから、僕も自分らしく生きていこうと、この出来事がきっかけで、自分と向き合っていくようになりました。LGBTQ+の僕たちも同じ人間です。ほかの人と違う扱いをされたくありません。

Photo :Yuki Kawashima
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僕でさえ、このことを受け入れるまでには時間がかかりました。それと同じように、皆さんにとっても時間がかかることだと思います。日本では、あまりオープンにLGBTQ+について話し合うことも少ないと思うので、さらに難しいことだともわかっています。僕自身も、今日カミングアウトをしたばかりなので、これからもLGBTQ+について学ぶことがたくさんあると思っています。

さまざまな固定観念によって、ひとりで抱え込み、悩んでいるLGBTQ+の方たちが世界中にいます。ハラスメント、いじめ、世間的なプレッシャーに苦しみ、それによって精神的にダメージを受ける人も決して少なくありません。僕がとある記事を読んで得た情報なのですが、LGBTQ+と自認している方のうち、48%は自殺について考えたことがあり、さらにそのうちの12%は実際にそれを行動に移していたという統計を目にしました。たとえば自分の性の対象が同性やどちらの性にも向いているというだけで、命を絶つ必要があるのでしょうか。理解されずに、自分のことを責め続けて、最終的に耐えられずに追い込まれてしまう方がこれだけ多く存在するということを、ひとりでも多くの方に知ってもらいたいです。

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