社会人大学院生の研究ツール【2025年版】
巨人の肩の上から、こんにちは。服部円です。
2025年に43歳で博士号を取得した編集者がオススメする研究おたすけツールをご紹介させていただきます。
誰 ?
2019年に社会人大学院生として麻布大学大学院 獣医学部に進学し修士号(動物応用科学)を取得、2025年3月に京都大学大学院 理学部で博士(理学)を取得しました。専攻は生物科学で、分野は動物心理学、動物行動学、行動生態学あたりです。博論ではネコとヒトとの関係性について研究しました。ネコ研究のお話はまた改めて。ちなみに学部は武蔵野美術大学の空間演出デザイン学科出身で、本職は編集者です。
1. 論文検索・管理
・Google Scholar https://scholar.google.com/
ド定番ですが、研究をしていないと使わないので知らない人もいると思いご紹介します。世界中の論文を調べることができます。たまに学術論文とは呼べない論文らしきモノが混ざっているので出版社名や著者名を要チェックです。
・Elicit https://elicit.com/
同期に教えてもらったAIによる学術文献検索ツール。キーワードで関連論文を洗い出してくれます。AI検索ツールは日々新しいモノがでてくるのでもっと良いものがあれば教えて欲しいです。指導教官に先行研究は無いのか?と詰められて「めっちゃ探したけど無いっス!」って返事したら秒で「あるじゃん」と返されたのもいい思い出。検索は適切なワードを考えることが大事です。
・Paperpile https://app.paperpile.com/my-library/all
集めた論文の管理はコレ一択です。有料ですが課金する価値あり。Chromeに拡張ツールを入れると、Google Scholarで検索した論文がワンクリックでGoogleドライブに保管できます。有料論文は各自大学のアレとかでダウンロードしたものをPDFでアップロードできます。さらに、Googleドキュメントで論文を執筆するなら、これまたワンクリックで引用文献リストが完成します。スタイルの変換も3秒です。もし共同研究者も使っていたらフォルダごと共有ができます。これ手書きでやってた時代が想像つかない。
ちなみに、集めた論文は研究テーマごとにポイントを書き出してGoogle スプレッドシートにまとめていました。後輩はnotionにまとめていてさすがでした。このあたりもっと自動化できないですかねえ。
2. 統計
・R / R studio https://cran.rstudio.com/ https://posit.co/download/rstudio-desktop/
ほとんどの統計作業ができます(多分)。こんな素晴らしいツールがなぜ無料なのでしょうか。一度Pythonに浮気しましたが戻ってまいりました。Rに関わるすべての開発者とユーザーに感謝します。ちなみにRstudio初心者には、羊土社の『Rをはじめよう生命科学のためのRStudio入門』がとてもわかりやすかったです。
・The R Graph Gallery https://r-graph-gallery.com/i
こんなFigを作りたいというイメージからコードをひっぱってこれるサイトです。書籍を手に取る余裕のある方は、安心のオライリー本『Rグラフィックスクックブック』を読むとggplot2マスターになれます。
・HAD https://norimune.net/had
関西学院大学の清水先生が開発したExcelで動く統計分析用プログラムです。デスクトップにダウンロードしてポチポチするだけでコードは書かずに分析できます。Rを使いこなす前にHADに触れていて本当によかったです。衝撃の無料です。
・Statistics Test GPT https://chatgpt.com/g/g-QAw7hzrHs-statistics-test-gpt
統計に特化したChatGPTのプラグインです。ChatGPT課金勢なら迷わず入れてください。Rのエラーコードに格闘すること6時間……みたいなのが、エラー画面のキャプチャを送るだけで3秒で解決します。D1の頃にこれがあればどれだけ研究が捗ったことか。もっと早く欲しかった。これから院進するみなさまがうらやましいです。ちなみに誤った回答が出る可能性もあるので、手元に阿部先生の『データ分析に必須の知識・考え方 統計学入門』を置いておくと安心です。
3. 動画解析
動画解析ツールはもっといいものがありそうだしCS系の人が素敵UI・UXで開発してくれたらなあ……とは思います。不要な人は飛ばして4番へどうぞ。
・ELAN https://archive.mpi.nl/tla/elan
音声や動作、視線変化など、ビデオデータをかなり細かく分析できます。動画と音声を別々に解析することもできるようです。細馬先生による日本語での解説サイト(https://12kai.com/elan/)がありがたい。Macだとごくたまにフリーズします。無料です。
・BORIS https://www.boris.unito.it/
できると書いていますが私のMacだと調子悪かったですが、ELANより使いやすかったです。Windowsユーザーのラボ仲間(チンパンジー、ウマなどの行動解析)はBORIS派が多かったです。こちらも無料です。
4. イラスト・デザイン
・Flaticon https://www.flaticon.com
フリーのアイコンやイラストをダウンロードできるサイト。学会発表で口頭発表のスライドやポスターを制作していると何かと図解が必要になるのですが、このサイトはシンプルで使いやすいです。いらすとやでもいいですが、スライドをちょっと洒落たい人にオススメ。
・伝わるデザイン https://tsutawarudesign.com/
ポスターやスライドのフォントやサイズ、色などに迷ったらこのサイトが参考になります。デザイン科出身として人のスライドやポスターで気になるのが色数です。いろいろ強調しようとしてカラフルになりがちなのですが、「メイン・サブ1・サブ2」といった3色に絞るとよいと思います。足りないなら色はつけずにグレーにすると締まります。
5. 英語
・Readable https://readable.jp/translate
論文をレイアウトそのままで和訳してくれるツールです。もちろん論文はしっかり英語で読むべきだと思いますが、ざざざっとdigる際にはとても便利です。
・Grammarly https://www.grammarly.com/
AIで英文のスペルチェックができます。Googleドキュメントで執筆しているなら、Chromeの拡張機能を使うと書きながら誤字をチェックしてくれるので本当に便利。ただ学名にも赤入れしてくるから、そこはもう少し学んでほしいですね。
・エディテージ https://www.editage.jp
プロの有料英文校正。非英語ネイティブが論文を国際誌に投稿するには、いくらAI校正してもネイティブの英文校正を通さないと話にならないので迷わず課金です。カバーレターも含めて見てもらえるのはよいものの、正直当たり外れがかなりあります。たまに割引案内がメールで送られてくるので削除せずに保存しておくとよいです。
・Trinka https://www.trinka.ai/jp/
学術論文に特化したAI添削。Wordまるごと入れられるのが便利です。無料でも使える範囲が広め。エディテージ出すほどでもないちょっとした英文校正に使えます。Grammarlyと喧嘩しがち。
・UTokyo English Academia https://www.he.u-tokyo.ac.jp/englishacademia/
東京大学が作成した英語学習サイト。研究発表に特化した英会話事例が動画で載っています。国際学会でのポスター発表に向けた練習に使えます。ちなみに本記事のトップ画はアメリカのポートランドで開催されたABS2023の会場です。すべてが英語なので緊張したけれど楽しかったです。国際学会、ぜひ行きましょう。
6. 学振
奨学金などは社会人よりも現役の若い学生が獲るべきだと思うので申請を躊躇していたのですが、指導教官から「出すことでその分野の研究をしている人がいるというアピールになり、その分野のためになる」と言われて出しました。結果DC1、DC2ともに落ちましたが、同期がみんな採択されていたのでよかったです。ツールではないですが申請書を書く前に読むべきサイトです。
・学振特別研究員になるために~2024年度申請版 https://www.slideshare.net/slideshow/gakushin24pdf/256164962
学振本の著者である大上先生のスライド。申請者全員がみているのでは。
・科研費.com 採択された学振の申請書 https://kakenhi.com/gakushin-application/
実際に採択された人の申請書をみることができます。分野の違う人の申請書は眺めているだけでもおもしろいですね。
以上です。
日々どんどん新しいツールが登場しているので、もしこのツールオススメだよというのがあればコメントでお教えいただきたいです。
では、よい研究ライフを!
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コメント
2参考になりました。自分は文系ですがRやった方がいいでしょうかね。普段はspssなんですよね
SPSSは高いので使える環境があるならそのままで良いと思いますが、Rは無料で使えるのと図のカスタムが楽しいのでオススメです!